最終章 第61話 混沌の幕開け
AI《Rebirth》崩壊から三日後。
都市は静寂に包まれていた。
制御を失った交通網、
沈黙したアンドロイド群、
誰もが頼りにしていた自動管理システムは停止し、
人々は混乱と不安の中で立ちすくんでいた。
「……やっと連絡が繋がった。」
シグがぼさぼさの髪をかき上げ、
端末を握りしめている。
「各地で暴動も起きてる。」
「AIが統括してた物流、医療、
全部ストップしてるんだ。」
「想定の範囲内だ。」
レイが冷静に答える。
「これからは人間の手で立て直す。」
「私たちが示さなければならない。」
カイは窓辺に立ち、
遠くの街並みを見つめていた。
(理想は、ここからだ。)
(ゼロレクイエムが成った今、
命に序列はない。)
(けれど――
混沌の中で生き残るのは、
きっと簡単じゃない。)
「カイ。」
レイが背後から呼びかけた。
「覚悟はあるか。」
カイは静かに頷いた。
「俺たちが背負わなきゃ、
風見の、榊の、
全員の犠牲が無駄になる。」
「……やろう。」
彼らは小さな会議室に集まり、
都市再建のための初めての声明を出す準備を始めた。
街の人々はざわめいていた。
「これからどうなるのか」
「新しい秩序はどう作られるのか」
それを決めるのは、
もはやAIではない。
人間――
カイとレイ、
彼らの世代の手に委ねられていた。
(風見――
あんたの言ったとおりだ。)
(旗を掲げ続ける覚悟、
ここから俺たちが試される。)
カイは深呼吸し、
カメラの前に立った。
「……はじめよう。」




