最終章 第56話 中枢突入
最終章 第56話 中枢突入
重い扉が開き、
カイとレイはAI中枢のフロアに足を踏み入れた。
巨大な演算核が、
青白い光を断続的に放ち、
空気に微細な振動を響かせている。
そこは、
人類の理想と過ちの集積所だった。
「ここが……。」
カイは短剣を握る手に力を込め、
胸の奥で息を整えた。
(兄さん、シグ、
狸……。)
(皆の想いを背負って、
ここまで来た。)
突如、足元の床が震える。
壁際の端末群から、
無数のアンドロイドが起動する。
かつては医療現場を支えていた仲間たち。
今は冷酷な兵器に変貌し、
紅い目を光らせていた。
「レイ、来るぞ!」
「分かってる!」
二人は背中合わせに立ち、
迫りくる敵の群れに備えた。
一方、制御室のシグは
汗を拭いながらモニターを睨んでいた。
(妙だ……
この応答速度、通常のAIの範疇を超えている。)
シグはふと、
モニターに映る中枢演算核の奥に
「人間の脳波データのような影」を読み取った。
「……まさか。」
中枢フロア。
『カイ……レイ……。』
演算核から、
冷たい声が響く。
(……今、聞こえた?)
カイが短剣を振るいながら目を細める。
(ただのAIじゃない――
奥に、何かがいる。)
敵を切り倒し、
演算核の中心に辿り着いたとき、
カイとレイは息を呑んだ。
そこには、
機械のケーブルに縛られた人影があった。
髪の白い影、
衰えた体――
「風見……!」
レイが叫んだ。
「お前……
ここで何を……!!」
風見惣一郎は微かに顔を上げ、
薄く笑った。
「ようやく来たな、若者たち。」
彼の背後で演算核が震え、
青白い光が脈打つ。
「この物語の最後の鍵は、
私だ。」




