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第1部 第5話 未来からの依頼



「……頼み?」


バーの隅、カイはグラスを置き、目の前の男を睨んだ。

天城レイ――議会の若き政治家、TVでも見かける顔だ。

だが、実物の彼は、画面の中よりずっと冷たい印象を持っていた。


「君の技術、君の信念、そして君の怒り。

それが、未来を変える鍵になる。」


「何を言ってる?冗談は他所でやってくれ。」


カイは立ち上がろうとした。

だが、レイは一言だけ呟いた。


「シグ、という名を聞いたことは?」


その名に、カイの背筋が凍った。

失踪した天才科学者、シグ――

ナノマシン、再生医療、未来技術の権威。


「彼は、君を見込んでいた。」


カイは座り直し、険しい目を向ける。


「……話を聞こう。」


レイは微笑む。


「良い返事だ。」


彼の手の中の指輪型端末が淡く光った。


その夜、カイは夢を見た。


真っ白な手術室。

自分の手が、信じられない精度でメスを動かしていく。


目の前の患者は、かつて助けられなかった少女。

未来の記憶の中で、何度も失敗し、

それでも立ち上がったあの日の自分。


「君ならできる。」


微かな声が耳元で響いた。


カイは目を覚ます。


額には冷たい汗。


「……ふざけるな。夢の話なんか……!」


だが、手元の肌が、わずかに銀色に輝いたのを、

彼はまだ知らなかった。


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