第3部 第7話 抗う者たち
議会前の広場。
夜風の中、群衆がざわめいていた。
風見派の議員たちが、次々と議事堂に集結。
その背後には、AI復帰を望む市民たちのデモ隊。
「秩序を取り戻せ!」
「AIを返せ!」
「ゼロレクイエムは失敗だ!」
人々の声が渦を巻く。
屋上で広場を見下ろすカイとレイ。
「……民意は割れたな。」
レイが低くつぶやく。
「風見は、
この混乱を計算していた。」
「それでも。」
カイは強く言った。
「俺たちは、戻れない。」
レイが振り向く。
「分かってる。
分かってるんだ、カイ。」
「でも……。」
彼の拳が震える。
「妹を助けられなかった自分が、
この理想をまだ信じていいのか――
分からない。」
沈黙が落ちた。
やがて、カイが小さく笑った。
「それでいいさ。」
「……え?」
「迷えばいい。」
カイはまっすぐ前を見据えた。
「迷って、悩んで、
それでも立って、進む。」
「だって俺たちは、
人間だからな。」
レイの目が、かすかに揺れた。
そして――笑った。
「……そうだな。」
「兄さん。」
レイは深呼吸し、携帯を取り出した。
「榊兄さん、
今から合流してくれ。」
『やれやれ……。
弟の無茶には、慣れている。』
通信越しの声に、二人は笑った。
議会の奥。
風見惣一郎は懐中時計を鳴らし、
最後の駒を盤上に置いた。
「さあ、若者たちよ。
見せてもらおう。
理想の力とやらを。」
秘書が問う。
「風見様……
もし彼らが勝てば?」
「勝つさ。」
風見はかすかに笑った。
「私は最初から、
そうなるよう仕向けていた。」
深夜。
議会の前に、カイとレイ、榊が並んだ。
「準備はいいか?」
「当たり前だ。」
「行こう。」
三人は歩き出した。
民意が揺れ、世界が変わる、その瞬間へ。




