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26話 前世の家族と聖女召喚

「夢、か、、。」



今回みた夢は凄くリアルだった。

転生してきてすぐの頃はよく前世の夢をみていたけど、それは全部過去に起こった事を動画で再生してみているようなもので、亡くなって転生した今の自分が会って話したりするようなものではなかった。

夢での事に頭がいっぱいでぼーっとしたまま、気づいた時には学校に着いていた。

それにしても今日は一段と人が校門に集まっていて、騒がしい。

校門近くにいた1人の学生に何があったのか声を掛けると、昨晩違法にも聖女召喚が行われその情報を王族でいち早くよく知るアルが学校に来るから少しでも教えて貰おうと集まって来た人達らしい。

確かに、この国では聖女召喚は違法とされている。それは聖女召喚は黒魔法を絶対に使わなければいけないからだ。黒魔法は、この国が建国される前に最も戦争の火種になったものだった。それに終止符を打ち、戦争の火種になった黒魔法を禁止にしたのが初代の国王だ。

元々この国は5つの小さな国で出来ていた。5つの国は黒魔法を使ってそれぞれ自分の国が1つの大きな国になり、黒魔法を使って人々を支配出来るようになる事を望んでいた。

そんな5つの国の一つ、カーライル国の第2王子だった初代国王は小さい頃から黒魔法に支配されていた父を馬鹿らしいと思っており、同じくそう思っていた仲間達と共に革命を起こした。そうして1つの国が完成した訳だ。

それから80年が経った今まで黒魔法が使われた事はただの1度もなく、平和そのものだったのに今回黒魔法が使われたっていうんだからそりゃ皆混乱するよね。


「レオンはどこにいる?」

「先程馬車が到着したようです。もうすぐ来るかと。」


少し焦ったようなアルの声が聞こえてきて、急いでアルの居る方に向かった。


「アル!何かあったの?」

「あ、レオ!良かった。」

「それが、国で違法に聖女召喚が行われたんだ。」

「さっき聞いたよ。」

「結局、聖女召喚に成功しちゃって異世界から聖女様がこの国に来た訳だけど、何故かその聖女様がレオン・ランカスターに会わせろって。」

「どういう事!?何で聖女様が僕を知ってるの?」

「それは分からないけど、聖女は国王よりも位が上だからね。とにかく早くレオンを連れて来いってお父様が。」

「分かった。」


それから僕達は急いで王城に向かった。


「お父様!」

「ランカスター伯爵!到着したか。」

「アルフレッドもご苦労だった。」

「アルから事情は聞きました。聖女様が僕を呼んでいると。」

「聖女様は今どちらに?」

「嗚呼、今お待ちにな」

(バンッ)

「聖女様っお待ちくださいと」

「居たーー!!」


えっ、、この聞き慣れた声は


「お姉ちゃん?」

「おう!」

「全然見た目違う!ずるい!私も美少女になりたかった〜」

「すっかりイケメンになっちゃって!」

「お姉ちゃんは相変わらずだね。」

「レオ、聖女様の事知ってるの?」

「知ってるもなにも、姉弟だし。」

「「「えぇっ」」」

「え?」


この後僕は正直に、王族の皆んなにこことは違う世界で亡くなってしまった事や神様にこの世界に転生させて貰った事、召喚されて来た聖女は前世の姉だという事を事細かく説明した。


「レオにそんな事があったなんて。」

「ランカスター伯爵、困ってる事があったらいつでも言ってくれ。」

「そうですよ。いつでも私たちに頼って下さいね。」

「皆、、」


こんな突拍子もない話信じてもらえないかもと今まで話すのを躊躇っていたけど、こうしていざ皆んなに話すと心が軽くなった。


聖女召喚から数日が経って、ようやく王族管理下の新聞社から聖女召喚について・召喚された聖女について詳しく書いてある記事が国中に出た。


───────────────


先日行われた聖女召喚の儀式にて、1人の聖女が召喚された。


名は山口 紗夜。異世界の日本という国から来た黒髪黒目の女性である。


聖女はランカスター家でこれから暮らす予定だ。


───────────────



聖女召喚の翌日からすぐにお姉ちゃんはランカスター家で暮らし始める事になった。

王族に転生の事を話した後、すぐに弟のノアと執事のセバスチャンにも話した。

そして今日、前世の姉と、今世の弟が初めて顔を合わせる事になった。普段そこまで緊張しないノアも今日はここまで伝わってくるほど緊張しているのがわかる。


「こんにちはー。弟からもう事情は聞いていると思うけど、姉で聖女の山口 紗夜です。」

「こ、こんにちは。弟のノア・ランカスターと申します。」

「裕太、何この子本当に男の子?めちゃくちゃ綺麗なんだけど。」

「間違いなく男の子だよ。」

「信じられないわ、、。」

「お兄様、2人で何を話してるんですか?」

「まさか僕がさっきの挨拶でミスをしてしまったとか、、。」

「違う違う!今は君の顔が綺麗だっていう話をしていただけだから。ね?」

「かっこいい...」

「お姉ちゃん、ノアまでたらしこまないでよ。」

「?」


この人全然分かってないな、、。

そう、僕の姉の紗夜は僕の前でこそただのオタクだが、客観的に見ると凄くかっこいいのだ。

身長も女子にしては高く168cm あり前世では僕とそんなに変わらないくらいだったし、表情や仕草は中高女子校出身だった事から女の子を沼らせる方に特化した仕様になっている。

いちばん厄介なのは本人に沼らせようとかたらしこもうという意思はなく、その自覚は全くなし。

お陰で僕も姉に失恋した人達から、ほぼ毎日当てつけのような事をされていた。(本当に散々な目に遭った、、。)


まぁ、そんなこんなで姉と弟の顔合わせは無事に終わった(?)ので、屋敷の案内や姉には絶対紹介したかったシアタールームとハンモックも紹介して姉と今は映画鑑賞中だ。

シアタールームを紹介した時は「これも観れるの〜!」「やばっこれ見逃してたやつじゃん!」って凄く喜んでくれた。

なので早速見逃していた作品を2人で一気に消費している。

いつの間にか琥珀も来ていて僕と姉の間に座っていた。(かわいい)

前世でも僕達姉弟は動物が大好きだったけど、姉が犬と猫どちらもアレルギーがあり飼えなかったから最初琥珀が姉の近くに来た時、大丈夫か心配したけど全然神獣だから大丈夫だった。(←一応琥珀にも確認済み。)

姉も長年の夢が叶って大喜びで映画に琥珀に大忙しだ。


映画をイッキ見しようと張り切っていた僕達だけど、数日の疲れが溜まっていたせいか2時間も経たないうちに寝落ちてしまった。


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