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第22話 合否と校長先生

  王立学校から合否通知が届いた。


合格!


何かまだ手紙が入ってる。



レオン・ランカスター様


合格おめでとうございます。

王立学校校長のエドモンド・ハリスと申します。今回の入学試験の事でお話がありますので、2日後の午後14時頃、校長室まで来て頂けたらと思います。


エドモンド・ハリス



合格という事は何かやらかした訳じゃ無さそうだけど、、行ってみないことには分からないな。



──2日後、王立学校校長室にて


(コンコン)

「失礼します、レオン・ランカスターです。」

「ほう!入ってくれ!」

「噂はよく聞いてるよ、私や妻、子供達も最近かるたにハマっていてね。今日も会えるのを楽しみにしていたよ。」

「ありがとうございます。」

「今日は試験の事でお話があると手紙に書いてありましたが、、。」

「そうなんだよ!別に何か問題があるとかではないから安心して聞いて欲しい。レオン君、君に首席挨拶をやって欲しいんだ。」

「首席挨拶ですか?」

「うん。」

「レオン君、君はハッキリ言って天才だよ。筆記試験は全教科満点、先生達がどうせ解けないだろうとおふざけ半分で出した大学の問題も中にはあったのに、、。それに実技!担当してた先生もすごくびっくりしていたよ。まさか応用魔法を使うなんて!」

「友達にも言われたんですけど、応用魔法ってそんなにすごいものなんですか?」

「君!知らないで使っていたのかい?」

「はい。魔法は執事のセバスチャンに教えて貰っているんですけど、特に何も言われてなかったので。」

「執事のセバスチャンってセバスチャン・ノースの事かい?」

「そうですけど。セバスチャンを知っているんですか?」

「彼は有名だよ。」

「︎︎彼は私と同級生なんだが、、3年間ずっと首席だったんだ。彼も天才だった。彼のような優秀な人材を欲する人は決して少なくなかったが、彼は入学時から既にレオナード様に仕えますと意志を曲げなかったんだ。」

「入学時には私の所にと意気込んでいた人達も、彼が卒業する頃には意志の固さに皆んな諦めていたよ。」

「何でセバスチャンはそんなにおじい様に仕えたかったんでしょう?」

「レオナード様は彼にとって恩人だったんだよ。」

「おじい様がセバスチャンの恩人?」

「そうだよ、彼は子爵家三男で長男のように爵位を継ぐ事も出来なかったし、長男のスペアである次男でもなかった。親からは期待されず、冷遇され、ろくな教育をしてもらえなかったんだ。そんな時、それを知った遠い親戚筋だったレオナード様がセバスチャンを引き取り、代わりに教育したんだ。」

「今までろくな教育を受けてなくて才能が埋もれていただけで、彼はきちんとした教育を受けることで才能が開花した。」

「まあ、そのせいで少しゴタゴタがあったが、、。」

「今は爵位を継ぎノース子爵になれた訳だ」

「そんな彼に勉強を教わっていた訳だから頭が良いのはそれを聞いて直ぐに納得したけど、それにしても君は天才達の中でも頭1つ抜けている。フェンリル様が選んだのも納得だよ。」

「そうだ!」

「それでなんだけど、お願いしたい事があったんだ、、。」

「なんですか?」

「フェンリル様と会ってみたいんだ。知っているかは分からないんだけど、、我がハリス家はもふもふ好きで有名でね、屋敷にも沢山の動物が居るんだよ。でも神獣となると、もふもふ度が特別なんじゃないかって思ってね、、。昨日も妻や子供達と話していたんだ。」

「良いですよ。」

「本当かい?」

「はい。」

「琥珀!」

「うむ。」

「ハリス家と言ったか?」

「はい!」

「ハリス家はよく覚えている。あの時の変人が確かハリス家だった、、。我が会ったのは2代前だったがな。」

「たまたま森で鉢合わせたんだ。普通の人だったら怯えて逃げるのに、逆に追いかけ回してきて我が逆に逃げたのをよく覚えている。」

「変人だ。」

「ちょっ琥珀!」

「おお!フェンリル様に我がハリス家の人間が会っていたとは!なんと感激な、、。」

「あっそうだ、琥珀。校長先生に毛を触らせてあげてもいい?」

「良いだろう、話はずっと聞いていた。」

「どうぞ。」

「では、、」

(もふっ)

(ふわっ)

(ふわわっ)

「こっこれは!全然違います!」

「ハリス家の人間が見たら間違えなく追いかけますね。」

「ハリス家の方々は、そんなにもふもふした動物が好きなんですか?」

「はい、周りが驚く程もふもふに目がないんです。」

「そういえば、こんなに毛並みが綺麗なのには理由が!?」

「なっなにか秘訣があるのですか!」

「うむ、我は神獣達の中でも特に毛並みに自信がある。だがここまで綺麗になったのは、主が毎日頑張ってブラッシングとやらをしてくれているからだと思う。」

「それをしてから更に綺麗になった。」

「レオン君!ブラッシングになにかコツでもあるのですか?」

「そうですね、ブラシには特にこだわっています。毛の状態に合わせて、色んな種類のブラシを使い分けていますね。」

「なるほど!」




それからもふもふの話や雑談で盛り上がり、16時頃に帰る事になった。


「今日はありがとうございました。」

「こちらこそ!今日は妻や子供達とフェンリル様の話で盛り上がりそうです。首席挨拶の件も、ありがとうございます!」




今日は、首席挨拶をする事が決まったし、セバスチャンの知らなかった話を聞けたり、久しぶりにもふもふ好きな人と話す事が出来たりと最初に手紙を読んだ時は少し緊張したけど、楽しく終わる事が出来て良かった。


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