スコップベコベコなんだけど
やはり腕力があきらかに足らなすぎる。
それでも俺は何度か試したはみたが、結果は変わらず。
時間は何時か分からないが、日がもう沈みかけていたので海から出ると砂浜に仰向けで倒れた。
「つ···疲れた」と独り言を呟いたが、海の音でむなしくかき
海の中は地上とは違い思った以上に体力の消耗が激しかった。
何やっているのだろう曇天の空を見上げてふと思ってしまった。
漫画や小説などでは転生したら最強になるか最弱になっても最強になるかの二者択一、一択みたいなもんか。
今の俺はというとだだっ広い有人島に一人ポツンと話し相手もいなく、今日のご飯採る事すらままならない。
哀れだ。哀れ過ぎる。
ポツンポツンと僅かだが空から雨が降ってきたのを、頬に感じた。
これはチャンスだ。
急いでひょうたんが置いてある場所まで向かいひょうたんを上向きにした。
先ほどよりも雨が激しくなりひょうたんには大量の雨水が入っていたが、それと同時に大量の雨水がひょうたんの口から外れていた。
しばらく経つと雨は降りやみ日は落ちていて空には星空が輝いていた。
ひょうたんを片手で持ち口を付けて飲んだが思ったよりも入っていなかった。
口の渇きは昨日飲んだ事もあり、大分癒えていたのでそこそこ潤った。
気温も急激に寒くなりシャツを着ようとしたが、服はビチャビチャに濡れていて体温が急に低くなったような気がした。
「射てー!!!!!!」
山の方から突然奇声が発せられたので、火の弓だと思われる者が流れ星のように暗闇を照らしていた。
山の木が炎によって燃え盛り山火事状態になっていた。
まさに地獄絵図とはこの事を言うのだろう。
だが一つ不思議に思う事がある。
あんなにも雨が降っで濡れたのだからそこまで燃えないと思うのだが、この世界では関係無いのか。
この状態で俺は避難した方がいいのがどうなのかは分からないが、俺は大人しくその場にいる事しか出来なかった。
だって何か怖いし、下手したら俺にまで被害合いそうなんだもん。
平和主義の俺の砂浜に一人の仮面を付けた男が転がってきた。
どうやらさっきの山火事にあっていた方で身体中が酷い火傷をおっていた。
近付くか?近付きまいか?
どちらかを悩んでいたら、仮面を付けた火傷男が何やらう~っと唸っていたので近付くと「助けてくれー」と力を振り絞った感じで一言言われた。
どうする?
いや、考える余地何てないか。この世界にきて、死にかけていた俺に水をご馳走してくれたのは誰だ。
そうだこの人達だろ。
「俺で良ければでいいのなら」
「ありがとう」
そういうと仮面の中から涙が溢れていた。
感動をしなければいけない所だが、仮面を中きら涙ってちょっとシュールで余計不気味さが強調されていた。
指を山奥に示して言ってくれと指示をされたので、取り敢えずスコップ片手に山の中で入って行った。
山の中を駆け巡る音がそこら中から聞こえてきたので、身体中をびくびくと震わせながらさらに山の奥へと歩みを進めた。
「ここにいたぞ殺せ!」
木と木の間に隠れていた仮面を付けた奴が襲いかかってきたので、スコップを水平にし、グリップを力強く持ちそのまま相手の顔面に向かってフルスイングした。
見事に顔面に直撃してそのまま顔を抑えて悶えていた。
これって人殺しか?
いや、違うよな。自己防衛でいいよな。
ほらどこかのコンビニに行って襲われたら、何かおお手軽な道具を持ってひっぱたくでしょ。まさにそれだよ。
仮面の男は痛みを克服したのか、悶えるのはやめて再び俺に襲いかかってきた。
スコップを見ると裏表どちらも陥没していて、最早スコップとしての機能は無いように見えた。
俺はスコップを水平にして振ったが相手は一瞬でそれに反応して軽々と避けられ、そのまままま突進された。
背中が地面にこすれ、自分の力じゃ止められる事もなく山の下へと滑った。
身体中が浮遊感を一瞬持つと、そのまま水の中に落ちた。
仮面の男も苦しいのか酸素を求めて水中の上へとばた足をしていた。
俺も後を追うような形で水の中から出ると、森の中に存在する唯一のオアシスだと言ってもいい。
俺と仮面の男が立っている数メートルが水の円になっている。