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実は誕生日なんです

全てのフュギュア2000体の首を付けた俺はいよいよ田辺が待つ決戦のち居酒屋(旨すぎる肴)に着いた。


 すでに田辺は居酒屋の入り口で首を長くして待っていて俺が近付くと「遅い」と文句を言ってきた。


「すまんすまん。フュギュアの首にてこずった」


「たく、まぁ生憎女の子もまだ来てないみたいだからいいけど」


 言葉通り辺りを見回しても女の子はまだ誰一人として、ここには来ていなかった。


「確か約束の時間って20時だろ?もう30分も過ぎてるじゃん」


「女の子って準備に時間がかかるから、多少の遅刻はしょうがないよ」


 田辺は何の根拠があるか分からないが、胸を張り自信満々な態度を俺に向けてきた。


 女の子に対しては田辺の方が詳しいのは間違いないので、俺は大人しく待つ事にした。




 9月の夜の風邪は肌にヒンヤリと寒さをあたえる。


 時刻はただいま22時。


「おい、さすがにもう来ないだろう?」


 俺は横で待つ田辺をを見ていうと携帯電話をいじっていたので、声が届いていないみたいだった。


「た···」


 田辺に文句を言おうとしたら夜の闇が切り裂くように、二人組の美少女が俺達の所にゆっくりと向かってきていた。


 田辺は俺の顔を見ていてニヤリと笑った。


「今回当たりだろ」


 当たりと言うのは綺麗な人、可愛い人の事を言う。


 失礼な話しなのは間違いはないが、男の判断基準はそこだけなのもまた間違いない。


 女の子二人は僕達二人に頭をペコリと下げて満面の笑みを浮かべると、田辺が紳士を気取ってエスコートするようにお店の中に招き入れた。


 俺も後に続くようにゆっくりと居酒屋の中に入った。




 居酒屋の中の店内が忙しいガチャガチャ音なのか、それとも俺の鼓動の音なのかは分からないが、もの凄い緊張している事には間違いがなかった。


 四人一組のテーブルで俺の横には田辺が正面には可愛い女の子が。




「それでは自己紹介始めましょう」


 田辺は軽快な喋りと、慣れたようにみんなの前で喋りだした。


 田辺の簡単な自己紹介が終わると田辺の目の前の女の子が自己紹介を始めた。


工藤愛梨(くどう あいり)です。趣味は家でゴロゴロする事です」

 話し終えると横の人が空気を察して自分の番だと気付いた。

 って事は最後の発表俺じゃん。


笹野りん(ささの   )です。趣味は猫とゴロゴロすることです」

 話し終えると目の前にいる笹野が俺にアイコンタクトをしてきた。

 可愛い。

 惚れてまう。惚れてまう。

 というかもう惚れてます。


「大池代です。趣味は···」

 と一通り話し終えると、しっかり伝わったか分からないけど、みんなうなずいてはいた。

 

 時間は既に24時になり、解散の雰囲気になっていたので俺達は店を後にした。

 

 店の外に出ると何事もなかったように、二人組の女の子は俺達に頭数を下げてどこかへ消えて行った。


 女の子が完全に俺達の視界から消えると、田辺が口角を上げて俺の所をニヤニヤしながらみてきた。

「プッハハハハハハ。お前全然喋れてなかったな。しかも自己紹介の時も声が小さくて、ほとんど何言ってるか分からなかったし」

 そんなの俺が一番良くわかってるってーの。

 彼女達と喋ってはいたが、合コンもこれが初めてではなかったので良く分かる。

 きっと上手くいかないのだと。

 可能性達との会話に集中出来ないというか、何故か上の空というか。

 同じ意味合いだがそんな所だ。

「まぁ次も機会があればこういう場設けてやるから」

 と言って田辺は僕の元から離れて行った。


 くそー惨めだ。

 惨め過ぎて涙がでそうになる。

 実際はでていないけど。

 そもそもあいつがそういう場を作れるのがおかしいし、何で俺よりモテるんだよ。

 さっきの合コンでは間違いなく、俺と話してるより女の子の目がキラキラしていたしな。

 ちくしょー。

 しかも俺は今日誕生日だったのに、気分が悪い日だよまったく。

 

 お酒は飲んでいないはずなのに千鳥足になりながら歩いていると、目の前の車に気付かずそのまま車とぶつかり俺は意識を失った。

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