転生(トーマ視点)
俺は、坂村 稜。
至って普通の学生だ。
ある日、学校から帰っていると、突然後ろから、悲鳴が聞こえてきた。
「きゃーー!」
急いで後ろを振り返ると、ナイフを持った男が、こちらに向かって走ってきたのだ。
俺は、すぐに避けようとしたが、その時、何か変な電流の様なものが体の中に流れ、身動きが取れなくなり、俺はそのまま刺された。
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「俺は、死んだのか?」
俺は目が覚めると、何もない空間に倒れていた。
「何処だ?ここは。」
「ここは、神界じゃよ、坂村 綾君。」
「!」
後ろを振り向くと、いかにも神という感じの人が立っていた。
「いきなり呼んで済まない、綾君。」
「儂は神、正確に言うと異世界の神だ。」
(え、ちょっと待ってこれって異世界に転生してくれとか言うテンプレなパターンじゃない?やばい、ワクワクしてきた。)
「その通りじゃよ。」
「え?」
いきなり考えたことに返事をされ、変な声を出してしまった。
「そういえば考えたことは全て聞こえるからの」
「そうなの!!」
「ああ、まるっきり聞こえておったぞ。」
「そう、ですか。」
「さて、転生の話に移るとするかのぅ。」
「はぁ。」
「さて、君には転生してもらうのじゃが、何もないままじゃ不便じゃろう。」
「何か希望はあるかのぅ。」
「うーん、あまり思い浮かばないので、適当に付けといてください。」
「わかった、君にはとある貴族の長男として転生してもらう。」
「ちなみにあちらだと君は五歳ということになっているから、気をつけるのじゃぞ。」
「分かりました!」
そう言うと、体が下半身から消えていき、視界が真っ白になった。
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「・・・!、ここは・・」
目が覚めると、獣耳としっぽが生えた女性がこちらを心配そうに見ていた。
「おはようございます、トーマ様。」
(可愛い)
ふとそう思ってしまった。
そんなことを考えていると、一気に記憶が流れ込んできた。
俺が五歳の、トーマ・ウォールとして、育てられた記憶が流れ込んできた。
この人は、リンと言うのか。
少し戸惑いながらも、挨拶を返さねばと思い、とっさに挨拶を返した。
「うん、おはよう。」
「お体は大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。」
「それは良かった。」
「また何かあるといけないですから、もう少し安静にしていてくださいね。」
「分かったよ、リン。」
「すぐ外にメイドがいますので、何かあったら呼んでくださいね。」
「分かった。」
リンが部屋から居なくなり、少し心を落ち着け、自分のステータスを見てみることにした。