暑苦しいのはちょっと…
帰り…ラジャーナでは地味スタイル。
帝都では眼帯をして、レティスタイルで帰る事にした。
レティは剣聖と仲良しだよアピールをすれば、半端な人は近付かない。
「アスティの正体は誰が知っているんだ?」
「パンケーキのお店パンパンの関係者と、爺やかな。友達にはまだほとんど言っていない」
「極力言わない方が良いな。アレスティア王女って凄い人気なんだよ……最近じゃあ『アレスティア王女みたい』って言われるのが貴族の中で最高の誉め言葉になりつつある」
「あの捏造演劇のせいでしょ。どれだけ美化しているのさ……民を想って泣いた事なんて一度も無いし。私は自己中の極みだよ」
「本当のアスティ様はあんな演劇よりも何倍も何倍も素敵ですよ!」
シエラ、有りがたいんだけれど熱量を下げてくれ。
そろそろラジャーナに着くんだから。
うわっ、なんか人多いな。
剣聖が来ているって噂が回ったのか…流石有名人。
沢山の視線を浴びながら転移ゲートを目指す。
リックが威圧的だから話し掛ける人は居ないけれど、地味地味聞こえる。私は新人冒険者の有名人だからね…悪い意味で。
また絡まれるんだろうな。剣聖を紹介しろとかズルいとかなんとか。
シエラ、もう少し離れて。お願いだから空気読んでね。
転移ゲートを潜り抜け、帝都に到着。
早速レティスタイルに変身。
これで半端な人は近付かない。
半端な人は…だけれど。
「ようリック、両手に華…か……レティちゅわん!」
「よう…レーダン」
「あっ、どうも騎士団長さん」
騎士団長さん。今まで出勤の時は毎日会っているんだけれど、キャラが濃くて認識しないようにしていたのに……プライベートに単体で現れたら認識せざるおえないじゃないか。
癒しの天使ちゃんを広めている犯人はこの人だと思っている。
歳は同じくらいだから…リックと同期かな。
短髪口髭の厳つい系おじさんというイメージだけれど、私の事が好き過ぎてキャラ崩壊している人物。よく副団長さんに引き摺られているのを見る。
「リック! ぬぁぜレティちゃんと一緒に居るんだゴラァ!」
「…シエラ、レティ…先帰って良いぞ」
「はーい、リックまたねー。シエラちゃん行こっか」
「はい! お供します!」
「お…おい…俺なんてまだ名前で呼んで貰ってねえんだぞ! なのにリックだぁ!? ぶっ殺す! 勝負だ!」
「嫌だよ…暑苦しい」
先日シエラにぶっ殺す発言をしたおじさんは騎士団長さん。
私関係じゃなければ完璧な騎士団長なんだけれど…
ミリアさんの休憩時間を狙って来る辺り…あっ、昨日居なかったからクッキーあげてないや。
「騎士団長さん」
「――なんだいレティちゃん!」
「先日来てくれたお礼です。良かったらどうぞ」
「ぅ…ぉ…な…に…クッ…キー…手作り…クッ…キー…だ…と」
クッキーが入った袋を出すと、震える手で受け取って…歓喜の涙を流し始めた……リックが凄い引いている。
あっ、リックとシエラもあげる。一人で食べてね。
騎士団長さんは悪い人では無い…私に向ける視線は孫のそれだし。
ただ暑苦しい。とても。
クッキーに気を取られている間に退散。
あっ、リックも逃げ出した。




