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御先祖様…いつか、お会いできることを楽しみにしております  作者: はぎま
アスきゅんジョーカーへの道
372/375

みんなの力

 意識が切り替わり、目が覚めた感覚。

 快眠したみたいに凄くスッキリしていて、目を開けると……いや開けらんねえ。

 土の中に埋まってんな。

 みんな元気ー?

 《あぁ、みんな無事だぞ。聞こえるか?》

 《──ちゃーんっ!》

 ……ママン、なんかみんなの声遠くない?

 《今は我がマイクを持っているからな》

 マイク? あぁ、ごちゃごちゃに聞こえるからマイクを持った人の声が聞こえるのね。

 ちゃんとみんなに渡してあげてね。

 《……》

 渡してあげてね。

 《……え? ……ち……回線……悪い……たいだ》

 聞こえているのは知っている。カラオケでマイク離さない女子とか嫌われるからね。

 とりあえず土の中だから喋れないな……トリスちゃんは大丈夫?


【うん、流石に反物質相手だと私も痛いからねー。地中深くに逃げたんだー】

 へぇー、とりあえず地上に転移しよう。

 とうっ!


 ……地上は、なんも無い。地平線が広がる二次元の平面のような景色が、ぐるーっと見渡す限りに広がって、ポツンと槍を持った私だけが存在していた。

 覇道ちゃんとラグナは? もしかして戦い終わった? そんな事無いよね?


「ところで、反物質ってなぁに?」

【簡単に言うと触れ合ったら対消滅する物質なんだけど、ラグナちゃんが作る反物質は全ての物質に反発する凶悪仕様なの。だから対消滅したエネルギーが膨大で力を上に逃がしても地平線が広がっちゃうんだー。数字にしたら凄いよー】


 何処かの世界で使ったら敵味方全員犠牲にする一撃必殺ってやつか……そりゃアスターのみんな怒るよね。


【うん、ああ見えてラグナちゃん調子に乗っているから、終わったらみんなにお説教される未来が視えるね。あっ、三世界分くらい向こうで戦闘中だよ】


 そんなに遠くに行ったのか。

 よし、行くか……いやちょっと土まみれだからシャワー浴びたい。お月見ゼロアーマーの胸元から土が入ってきて切ない気持ち……でもシャワーなんか浴びたら覇道ちゃんに怒られる。

 でもお洒落大事……くっ、間を取って水の中に入るか。誰かお水出してー。


 《我は出せないな。誰か、水を出せるか? おっ、じゃあよろしく》

 水が出てきた。

 透明ではなく、なんか見覚えのある毒々しい水……入っても大丈夫だけれど、これは毒酒ちゃん?


 《うん、アレスティアの力になりたい》

 一応毒酒ちゃんは玉座の間で寝ていたので寝込みを襲って拉致……げふんっ、連れて来ている。

 毒酒ちゃんの力は私には重いというか、難しくて躊躇していた。

 それにラグナの能力と相性が悪い……アレスティア毒の武器とか作られたら私がピンチだ。

 だって禁薬もそうだけれど、禁毒作製の原料って私の血とか体液なのよ。だからラグナにその武器を作られたら私と覇道ちゃん特効の武器になる。

 それだけは避けたい、


「だから一撃必殺チャンスの時にお願いするねっ」

 《うん、力……溜めとく》


 少し不安だけれど、私の封印解除れべるすりーの力は溜め終わっている。後は、私得意のゴリ押しあるのみ。


【じゃあ、私はアスティちゃんとお話出来たから行くね】

「トリスちゃん……次に会う時は、敵なんだね」


【ふふっ、そうなるね。言っておくけど、全力で迎え撃つから覚悟してねー】

「トリスちゃんの全力は、ちょっと困るなぁ。手加減してね」


【そう言ってー、自信ある癖にー。じゃあ準備してくるねー】

「へへっ、ちょっとね」


 みんなの力を借りれば、勝機はある筈。

 黒い槍が消えていき、地平線だけが見える場所に私だけがポツンと立っている。なんか、寂しいなぁ。


 《アスティ、この戦いが終わったら……お祝いしような》

「えっ……」


 《おいルゼル、変な旗を立てようとするな》

 《ルゼルさん……今言います?》

 《黒金……わっちでも言わんぞえ》


 《……えっ? 何がだ?》

 《えっうそ、天然で言ったの? 効果倍増でしょ……》

 《アスティ、今のは忘れなさい》

 《負けフラグ立ておって……空気読めんにも程があるじゃろ》


 ママンが責められている。

 何に対して責められているのかわからない様子なので、みんなが説明を始めた。

 あっ、責められてムスッてしている。見えないけれど解るよ。

 おっ、さっきの発言は撤回して言い直すみたいだな。


 《……アスティ、今夜は焼き肉っしょ!》

 誰の真似だよ。

 言い直すならもっとまともなやつにしろし。多分それ言った人その後死んでいるからさ……

 《だって……》

 あっ、いじけた。


 《アスティ、そろそろ行かないと危険かも》

「そうだね。行くかぁっ。覇道ちゃんはっと……おっ発見っ、次元転移!」


 バシュンと次元転移した先……


『限界超突破! 全力全壊!』

『ぐっ、まだ強くなるのか……不滅の構え』


 押している。

 押しているよ覇道ちゃんっ!

 凄いねっ、これは戦えば戦う程強くなる天明の特性か。

 咎星剣から溢れる破壊の力が桁違い……ルナママンより破壊神っぽいぞ。

 《ルゼル……今アレスティアがママって呼んでくれたぞっ。おいルゼル聞いているのか? 不貞腐れて寝るなっ、起きろっ》

 ラグナの力も凄いけれど、力の天井に変化は無さそう。これは長期戦の方が有利か。


『これで決める! 裏奥義・世壊神滅!』

『私は壊れぬよ! 絶対不変!』


 ──オォぉォオオォオオぉおお!

 ちょっ、何その無差別全体攻撃……

 神滅を超広範囲でやりやがって……

 そう、転移した途端に覇道ちゃんの攻撃を食らっている。モロに。

 味方の攻撃で死ぬって嫌だ。道連れなんて私が散々やっている事だけれど嫌だ。でも神滅に捕まって動けんのよ。ダメージゼロを貫通するまで後数分くらい。それまでに死なないようにしないと……

 エターナル・リヴァイヴなら……余裕で死なないけれど、あんな不完全な魔法は嫌だ。

 嫌だ嫌だと言っているけれど、嫌だは物事の原動力なのよ。

 という事で今この場で魔法を作ってやるんだ。

 荒れ狂う邪悪、混沌、破壊の中で手の平を合わせ、その中で銀色の魔法陣に星の力を重ねて、聖なる魔法陣と、深淵の魔法陣を重ね、零魔法をぶっ混む。


「コーデリア! 死なないやつの上位版やるから手伝って!」

 《はいっ詠唱します! 例えこの身が砕けようとも、己の信念を守る為、愛する者を守る為、何度でも……何度でも立ち上がる!》


「よっしゃここから任せて! 愛する者を守る為に、神をも超える力を手にした私は願う! 愛する者と共に歩む奇跡を! 世界を守る英雄の未来を!」


 魔法陣から光が溢れ、神滅でも壊れない強固な魔法陣が出来た。

 コーデリアに手伝ってもらって少しずつ形を変え、球体の魔法陣に変化。

 良いねぇこの決戦用魔法。

 防御なんて必要無いと思う程の超再生と痛みを感じる前に回復する超回復。


「《新星魔法! 完全無欠の永久不滅!》」


 魔法陣を身体に押し込め、身体の内部で発動。魔力消費は激しいけれど、みんなでエリクサーがぶ飲みよろしくっ! コーデリアっ量産してねっ。

 《はいっ! とりあえず百個作りますっ!》


 ……みんなワイワイしてエリクサーを選んでいる。味が色々あるのね……えっ、楽しそう……


 《コーデリアー、生クリーム味無いのかえ?》

 《無いですね。作ってみます……うん、生クリーム飲みながら飲んで下さい》


 《ねぇコーデリア、イチゴミルク味無いの?》

 《果肉入りもありますよ》


 《ねぇねぇ……アスきゅん味は?》

 《……三つだけ混ぜました》


 《《《探せーーーー!》》》

 楽しそうで羨ましくて私の嫉妬が大爆進中だよっ!


 これで、準備万端。死ななければなんとかなる。

 神滅がそこかしらに点在する大地で、隙間を縫って移動……当たっても死なないけれど触れるのはね。

『……早かったね』

 今、地面に咎星剣を突き刺して動けない覇道ちゃんの横に来た。この規模の神滅なんて想像を絶する辛さだと思うし……

 少し離れた先にラグナが居ると思われる神滅の塊というか壁というか景色というか……凄い規模。もう一人の私は、ここまで極めているのか……ははっ、今戦ったら負けるだろうな。


「お姉ちゃんも、手伝うねっ。封印全解除」

 お月見ゼロアーマーが分離し、無数の球体に変化した。

 一つ一つがみんなの力を宿した星。

 その星を、神滅の届かない空に打ち上げる。


『……それが、目指した強さ?』

「まぁ、そうなるかな。私はみんなの力が無かったら何もできない弱い存在だ。だから、最後までみんなと共に、ね。そうそう、アスターには……神級魔法を超える魔法が存在していたんだ」


 裏世界に、ある筈の無い星空を描く。

 みんなの力の宿った様々な星を、魔法陣の星座に配置。

 その星座の中心から、白金に輝く太陽のような天体が姿を表した。


『銀河魔法……か』

「覇道ちゃん、私の得意な道連れ魔法……一緒に受けて。銀河魔法・星英旅団」


 全力も全力。

 これが私の、集大成。



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