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御先祖様…いつか、お会いできることを楽しみにしております  作者: はぎま
アスきゅんジョーカーへの道
332/375

この街って聞いていたよりも物騒なんだね

 

「ここがミズキさんの家ですか。白くて四角いデザインがお洒落ですね」

「うん! ちょっと待ってね、家に誰か居るか見てくる!」


「そう言って部屋のエロ本を隠す気ですね。無駄な抵抗はやめて下さい」

「無いし!」


 あの後、あすかさんと別れてミズキの家へと向かった。

 ミズキの街……空津(からつ)市は整備された街並みが凄いという印象。近くに大きな公園があったり、駅も綺麗だった。街の機能は電気が主流なのは意外だったな。

 よく保存しにくいエネルギーを採用したもんだ。

 それだけその方面の技術が凄いんだろうね。


「なんかアースと全然違うなぁ……アレスティアはどう思った?」

「同感だね。予習する暇無かったから結構新鮮だし、早く歴史が視たいね」


「面白いのあったら教えてね」

「あったらね。そういえば、こっちで通う? それともアラスから通う?」


「アラスから通った方が良いけれど……経費は?」

「地球とアラスを繋ぐ転移ゲートは星の能力で創れるから……身体で払って貰う形かな。家はイッきゅんの別荘から通う感じ」


 イッきゅん凄いんだよ。天異界に別荘が数えきれないくらいあるんだ。地球にも沢山あって、丁度この近くにあるらしい。


「イツハさんも凄いよねぇ……あれ?」

「魔力の高い人が来るね」


 ミズキを待つ間に雑談していると、向こうからセーラー服の女子が早歩きでやって来た。真っ直ぐに向かってきている…目的は…ミズキか私達か。


 何か長柄の物を持ち、決して良い雰囲気では無い。黒髪ロングの清楚系…あくまで清楚系だ。完璧な清楚なぞ人間である以上この世に存在しないから…完璧な清楚は物語にいる作られた聖女やら処女やらそもそも清楚ってなんだ。私清楚ですって自分で宣言するのってエロ動画くらいでしか見ないし、清楚イコール黒髪ロングの概念を持っている奴が多すぎなんだよ染めている奴は遊んでいるとかスカート短い奴は遊んでいるとか偏見を持った奴が結局拗らせて…くそっ、私はなんでこんなに清楚という言葉に怨みを持っているのか。清楚に対する憧れなのか、清楚厨が嫌いなだけなのか、清楚ビッチが嫌いなだけか……

「アレスティア…ぶつぶつ言っていて怖いよ」

「怖い? 私より清楚っぽい奴に言われたかねぇよ」


「なんでやさぐれているのよもぅ…」

「作者が勘違い清楚ビッチをボロクソに罵った影響だよ」


「作者の話はやめなさいよ。清楚ビッチの友達にストーキングされた話笑えないんだからさ」

「死のお弁当鬼ごっこ事件ね」


「……何者」

 女子の視線の先には、ヘンリエッテ。もちろん私には目もくれない。地味な上に魔力ゼロだから。

 封印の指輪をしてもこの世界から見たらかなり高いし、魔力を感じられる人から見たら不審者か。

 ほれヘンリエッテ、頑張れ。


「ごきげんよう。私はミズキのお友達よ」

「……みずきの? それは嘘ね。私はあなたを知らない」


「あら、知らないお友達が居ても不思議では無いわよ」

「私はみずきの事はなんでも知っている…」


「ふふっ、私はあなたの知らないミズキを知っているわ。沢山ね」

「…それは、有り得ない」


 おや? ヘンリエッテよ、なぜに喧嘩腰?

 それに清楚系女子よ、物騒なもん持ってんな。それ刀じゃん…犯罪じゃねえの?

 鞘に納まった白い刀を腰だめに構えた。一気に静から動へ行く構えか…日本の流派かな。


「随分と物騒ね。私を殺したら、ミズキが悲しむわよ」

「…目的を言いなさい。さもなくば…斬る」


「目的は、ミズキかな」

「……みずきは…私が守る」


 ……ミズキ、やべぇ友達持ってんだな。

 ヘンリエッテ、煽んなよ。本当に斬ったらどうすんだ…


「守る? それのどこが守る? 人を傷付ける刃を向けるだけで守れるのなら、良い世の中になりそうね」

「……迷いを捨てよ…真っ直ぐに…振り抜くだけ…」


「見せてよ、あなたのミズキへの想いを」

「……」


 ヘンリエッテが勝ち誇った笑みを浮かべ、清楚系女子の手が動いた時……玄関が開いた。


「お待たせー……えっ」

 刀が横凪に振り抜かれ、刃が腕に食い込……

 ──ぼこっ。


「なんで……斬れない……」

「ありがとう、黒金」


 まないよ。私が間に入ったからね。

 にしてもこの日本で本気で刀を振り抜いた気概は凄い。

 自然に立つ私の腕に刀が止まり、硬直したのは一瞬。更に追撃を繰り出した。

 刀を引いた女子が斜め上からの袈裟斬りを肩で受け、メガネをクイっとして効かないよアピール。

 目に更なる怒りが灯ったな……


「ちょ…ちょっと史織なにしてんの!」

「みずき出てきちゃ駄目! こいつら危険だから!」


「危険なのは史織だよ! 刀戻して!」

 ミズキが話し掛けている間、私は刀でポフポフされていた。手足が駄目なら腹、鳩尾、頭と攻撃を受け、喉元に突きを受けた時、ミズキが素手で刀を掴んだ。

 素手で掴んだから、血がポタポタと流れ……刀を引いたら指が全部無くなるから、引くに引けない状態……


「離して! こいつ殺せない!」

「殺しちゃ駄目! 私の恩人なんだから!」


「まさか洗脳…私のみずきをどうするつもり!」

「ミズキさん、凄いお友達が居るんですね。早く止めないと警察来ますよ?」


「あーもう! 史織のばかーー!」

 ミズキのストレートパンチが史織と呼んだ女子の腹に直撃。くの字に曲がって吹っ飛んでコンクリートの塀に激突。見事に意識を刈り取った。

 死んではいないから大丈夫か。


「お友達に勇者の一撃必殺なんてやりますね」

「え、どどどどうしよう!」


「お持ち帰りしましょうか」

「レティは触っちゃ駄目! 姫手伝って!」


「仕方ないなぁ」

「触っちゃ駄目って……私が病原体みたいじゃないですか……しくしく」

「私のお尻触りながら言わないでよ……ごめんて」


 ミズキとヘンリエッテが史織を運び、私は史織の持っていた白い刀を回収。魔力の篭った…迷宮産の武器、か。こんな危ないものを持たせる親の顔が見てみたいね。


 ミズキの家に入り、階段を上がって扉を開けると、可愛いものに溢れる部屋に到着。ふむ、ここがミズキの部屋か。ピンクのカーテンから差し込む光の先に白いベッドに史織を寝かせた。タンスの上には可愛いぬいぐるみがあり、一番上を開けるとシャツ…二番目はズボン…三番目は……


「ちょっとレティ開けないでよ」

「開けていませんよ。視ているだけです」


「無駄に能力つかわないでよ……はぁ、ごめんね。史織って熱くなると見境なくて」

「別に怪我はありませんからね。私には」


「相手がレティで良かったよ……一応治してもらって良い?」

「嫌です。痛みは戒めとして残した方が良いですね。ところでヘンリエッテはどうして喧嘩腰だったの?」


 ムスッとしたヘンリエッテは史織をチラッと見て、ミズキにくっ付いた。おっ、ミズキの知らない部分にジェラってんな。


「だって、この人ミズキが好きなんだもん。昔のミズキを知っているんだもん……ずるいな、って」

「幼馴染枠って強敵だよね。ヘルちゃんも18禁では私の幼馴染のニーアちゃんに超嫉妬していたよ。あのヘルちゃんが嫉妬するくらいだから、ヘンリエッテはゴボゴボに嫉妬しているよね」


「言わないでよ…ゴボゴボってなに? なんかごついから嫌……ミズキィ……」

「レティは……嫉妬しなかったの?」


 さっきも知らない友達との笑顔を見た訳だし、ミズキが少し遠い存在に思えたのかな。寂しいよね、自分が友達だと思っていても、その子には他に仲の良い友達がいるから、一番の友達ではないと思うようなアレ。


「私はヘンリエッテ以上に嫉妬していました。二人はあすかさんと仲良く学校を回って私は独りで眺めているだけという主人公を蔑ろにする行為をナチュラルにされて盛り上がっていましたよね。これで嫉妬しなかったの? なんていう愚問をぶつけるミズキさんにお仕置きをしたい衝動を必死に抑えている今ここぉぉぉ!」


「ご、ごめんて……つい嬉しくてさ」

「ミズキィ……アレスティアが怖いよぉ」


「怖い? 今怖いって言った? 私がせっかく手を回してヘンリエッテも学校に通えるように頑張っているのに怖い? 私が拗ねたらどうなると思う? 若い頃のミズキさんのパンツ全部貰うんだぞ? 全部だぞ? 無理矢理時間を遡って幼女時代含め全部貰うからなぁ!」


「ひぃっ、それだけはご勘弁をー!」

「いや、私だけ損してんじゃん」

「……んぅ……痛っ……えっ……」


 うるさくしたからお目覚めかな。ゆっくりと目を覚まして、身体を起こしてミズキに膝枕されているヘンリエッテと目が合った。おっ、ヘンリエッテ頑張れー。


「あら、お寝坊さんね」

 ヘンリエッテは史織に見せ付けるようにミズキのお腹に抱き付いた……それ前に私がやった嫌がらせだね。

 史織は呆然とその様子を眺め、次第に目に涙が溜まっていく。

 ミズキが冷たい視線だし、殴られた事を思い出したのだろう。


「みずき……なんで……」

「史織、先ずは謝ってよ。刀なんて何考えてんの?」


「私は、ミズキを守ろうと……」

「事情も聞かないで何が守るさ。お客さんなんだよ!」


「……うっ……ううっ……みずきが…怒った……ううううっ!」


 おーガチ泣きだ。すっごい悔しそう。歯を食いしばって、納得いっていない感じだ。大好きなミズキに怒られたら悲しいし自分は悪くないと思っているんだろう。ミズキちょっと引いているし。

 ヘンリエッテは王族の癖に大人気ないし。

 でも私は、なんかこの子好きかも……


「史織さん、普通だったら死んでいました。お友達が殺人者になってミズキさんが喜びますか?」

「……」


「むしろ命があるだけ感謝してください。ミズキさんのお友達じゃなければ殺していました」

「……さい」


 ボソッとごめんなさいって言ったな。少し冷静になったのかよくわからないけれど、この子は日本じゃ危険だな。私じゃなかったら死んでいたぞ。というか私にダメージがあるとルゼルが来るから危険なんだよね。


「史織さん、この刀はどこで手に入れました?」

「あっ、返して!」


「駄目です。史織さんの刀じゃありませんよね?」

「……お父さんの」


「では、そのお父さんに私が渡します。案内して下さい」

「……」


「案内してくれないと、ミズキさんのパンツは私が全部貰いますよ」

「それは駄目!」


 もう全部貰っているがな!

 ミズキが疑いの視線を向けている。良いじゃん新しいパンツに変えたんだからさ。戦闘訓練するとパンツに穴開くでしょ?

 ということで史織のお父さんに会いに行こう。


「ではお嬢様、ミズキさんとゆっくりしていて下さい」

「うん、行ってらっしゃい」


「じゃあ行きましょうか。私の事は黒金と呼んで下さい」

「……」


 史織の絶望感漂う感じが良いな。清楚系の落ち着いた感じかと思ったら子供っぽいし、ミズキも罪な女だな。フルネームは松田史織か…まぁ、魔力の強い子の親は気になるから、ね。



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