さぁ、帰ろう!
……
……結構時間掛かるな。
……みんな暇そうなのが気まずいぞ。
……ルナリードがお茶くれた。ありがとう。
……あっ、良いかんじ。
……えっ、みんな団らんしないでよ、寂しいじゃん。
……世界規模の逆再生だから時間掛かるなぁ。
……おっ、出来た出来た。
しばらく頑張ると、一面に草が生え、一本の物凄く大きな樹がある広場が現れた。
これがこの世界の世界樹かぁ。
へぇーおっきー。
「「「おぉ…」」」
ふっ、どうよ。
これで私が世界を直す証明が出来た筈。
「これは凄いな。アレスティア、アスターで働かないか?」
「考えておきますが、仕事を邪魔するクセの強い方が多めに付いて来ますよ」
「……それは嫌だな」
「ふふっ、これで信用してもらえましたね。全て世界を戻したとしても、コーデリアの罪が軽くなるだけで消えはしない、ですよね?」
「まぁ、そうだな。懲役は軽くなるだろうがな」
「そこで、私からお願いがあります!」
「聞こうか。私は気分が良いから融通してやるぞ」
「ありがとうございます。昔、とあるS級犯罪者の女の子が試練を受けて、罪が免除になった話を聞きました」
「……あぁ、あの試練か」
「はい、私とコーデリアでその試練を受けたいんです。もちろん私は人として参加します」
「お姉さま…」
とあるS級犯罪者…Gが受けた試練。
ジョーカーになる試練だ。
条件はアスターの女神に勝つ事らしい。
少し厳しいけれど、罪を消すにはこれしか無い。
「……確かに、それは可能か。丁度どこぞの駄天使が女神になってしまったせいでジョーカーの枠が空いた訳だし。私は死の星が復活するならそれを受け入れたいな」
「ラグナ様、私も賛成です!」
『アスティ、我も手伝うぞっ』
「おかぁさんが出ると反則なので駄目ですよ」
『あすてぃ……』
「うるうるしても駄目です。そんな必殺技身に付けないで下さいよ」
『……ラグナ、手を抜け』
「不正は駄目だ。まぁ日程等が決まれば追って説明する。ルゼルは後で本部に来てくれ」
『…分かった。じゃあまたな』
……ん? 終わり?
えっ、解散なの? 誰も覇道に触れないけれど良いの? まぁ良いなら良いか……あっ、コーデリアも放置で良いのか? 謎だ。
現地解散…本部行かないのか。ちょっと行きたかったけれど。
「それでは、また会おう」
「アレスティアちゃん、連絡するねー」
ラグナとノワールさんはシンプルに帰っていった。
またねー。今度ノワールさんにアスターを案内してもらおう。
「アレスティア、帰るぞえ」
「ちょっと生クリームあげるので待って下さい。キリエさん、近い内に会いに行っても良いですか?」
「うん。良いよ。アレスティアちゃんならみんな喜ぶと思う」
「ありがとうございます。連絡しますね」
キリエも帰るみたいだな。
また会えるから、言葉を焦らなくて良いし。
一番言いたかったお礼が言えた。
私は満足だよ。
よし、よしよし、アスターに加えてルビアにも遊びに行ける。
またねー。
『アレスティア、迷惑掛けたな…コーデリアの事、ありがとう』
「ん? 待って下さいよ。何帰ろうとしているんですか?」
『ん?』
ん? じゃなくてさルナリードさんや。
家は私がぶっ壊したから無いし、今回の元凶だからオハナシしないといけないのだよ。
コーデリアの今後の話もあるしさぁ。
「一応コーデリアの上司ですよね? 今後の話もあるのでアラスに行きますよ」
『……分かった』
後はみんなでアラスに行くだけか。
よーし、帰ろー!
直接パンパンで良いか。
転移でバシュッとパンパンに帰還した。
パンパンに帰ると、店員さん達がパタパタと準備に取り掛かっていた。
フラムちゃんとミーレイちゃんとチロルちゃんが看板を取り付けている……『色々お疲れさま会』というザックリとした題名。パーチーやるのね。
あっ、幼女とロクナナとルナリードが店員さん達に連行されていった。奥にライラとテンちゃんと妖精さん達が居るから可愛い枠か?
ミズキとヘンリエッテとフリシアちゃんが装飾を付けていて、ヘルちゃんが肩をすくめて手伝いへ。
ルゼルは蒼禍が立つカウンターに座り、コーデリアも座った。足手まといを自覚したか。
……これは、私も手伝った方がいいか。
でもやる事無いな…キッチンはレーナちゃんとクーちゃんとエーリンが居るし……あっ、雌豚がムルムーと話している。
そうだ、リアちゃんは……バックヤードかな。
バックヤードに行くと、目に包帯をしたリアちゃんと呆れた顔のイッきゅんが居た。
クロスハートの後遺症は、失明……か。
「リアちゃん、ありがとうございました。目は、治りそうですか?」
「アスきゅんお疲れ様ー。目はその内治るわよ」
「……イッきゅん、本当ですか?」
「うん、治る方法はある。願いの宝珠と、時空石が必要かな。どちらもルビアにあるけど、ママったらアッきゅんに養って貰うから治さなくて良いだって。呆れちゃうよね」
「いや、治しましょうよ。ルビアに行きましょう」
「治ったらアスきゅんは私を捨てるもん。いやー」
「捨てませんって。私はリアちゃんの目が好きなんですから、治せるなら治したいです」
「ねぇねぇ、私もアスきゅんの女神になりたい!」
「ママ……それは色々問題になるからやめて」
いや、そうなったら面倒だよ。
リアちゃんルビア所属じゃん。幼女の心労が凄いぞ。
とにかく、パーチーが終わったらルビアに行こう。キリエにも会えるしっ。
あっ、リアちゃんの口元がへの字になった……
「……リアちゃん、どうしました?」
「……ルビアに行ったらキリエに会いに行くんでしょ」
「……そうですね」
「ぐすん、イツハ……私は捨てられるのよ。しくしく」
「ママ、発想が幼女になってるよ。別にアッきゅんが取られる訳じゃ無いじゃん」
「そうですよ。私はキリエさんに聞きたい事やらがあるだけで…」
「ん? 代わりに聞いてあげりゅ」
代わりにって、私とキリエを会わせない気だな…
リアちゃんが邪魔しようとしている時は、邪魔が成功するまで諦めない。悪戯心に火が付く前に言ってしまうか。
「…いやぁ、ルルさんに会えたのかなって」
「あぁ…キリエのお母さん? イツハ、会えたんだっけ?」
「どうだっけ? ラグナさんには会ってるみたいだけど、わかんない」
「聞いておくねっ。そうだ、アスきゅんどんな感じ? 星になったんでしょ?」
「人の感覚が主なので気持ち悪いですね。一応人モードと星モードになれます」
人モードから星モードに切り換えて見せたけれど、大して変化は無いらしい。代わりにルゼルが顔を出してジーッと見詰められた。ルゼルは何か感じるのかな。要調査か。
「星になって、これからどうするの?」
「当面はジョーカー試練を受けながらダラダラと日常を過ごしますよ。ちょっと色々あり過ぎましたので……それぞれの処遇も決まってからかな……この際なので破壊神さんにも働いて貰いますか…」
「じゃあみんなで旅行に行こっか。パンパンも一ヶ月くらい休んで」
「そうですねー。しばらく何も無さそうですし…」
「よしっ、じゃあパーチーしながら決めようか。準備が終わったみたいだし」
ホールの方から私達を呼ぶ声が聞こえたので、パーチー会場に入るといつもの装飾にパンパンの料理が並んで……帰ってきたなーって思う。
レーナちゃんにグラスを渡され……あっ乾杯は私なのね。
この雰囲気は……なんか喋れと。
「えーっと……皆さんのお蔭で、無事平和に戻って来れましたーありがとうございます! この度私は星という存在になった訳ですが、今まで通り接して貰えると嬉しいです!」
「アスティちゃーん!」「可愛いー!」「後ろの美人さん紹介してー!」
「後ろの? あぁ……母と妹です」
『アスティの母ルゼルだ』「い、妹のディアです!」
「「「……」」」
いや、シーンとしないでよ。
わかるよ、存在感バリバリだもんね。
……まずい、みんなの質問責めが来る!
「はいっ! 質問は後で受け付けまーす! かんぱーい!」
「「「かんぱーい!」」」
まぁ、問題は山積みだけれど…先ずはお疲れ様ということで……




