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御先祖様…いつか、お会いできることを楽しみにしております  作者: はぎま
終章・叶えてやるんだ
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終わったー

 

『アスティ、終わったのか?』

「はい! 思えば長い一日でしたね」


『ふふっ、全くだ』

「お姉さま……素敵でした」


「コーデリアもお疲れさまー。っと、まだやる事があったな」


 戦闘が終わったと判断した天異界の面々が、囲むように私達を包囲し始めた。

 ここで逃げたら駄目だよなぁ。

 リアちゃん達の方にも行っているけれど、あっちはノワールさんが居るから少し安心か。

 問題は、先頭に立つ天異界総帥。

 あっ……後ろに、キリエが居る。目が合った……アスティちゃんだよー! あなたの子孫ですよー! 念でも送ってみよう。ふみゅーー……なんかビクッとされたな。


「初めまして、天異界のラグナレヴィアだ」

「初めまして、アレスティアと申します」


「詳しい経緯はそこの駄天使とアラステアに聞くとして、こちらの意思を伝える。アレスティアの本部への同行、そして…そこのS級戦犯の引き渡し、だな」

『ラグナ……アレスティアは渡さないぞ』


「ルゼルちょっと黙れ、まじで、ややこしくなるから。で、応じてくれるか?」

「……本部に行くのは構いませんが、コーデリアを引き渡したらどうなるんですか?」


「精査する必要はあるが……世界を破壊した首謀者ディアは、良くて懲役数千年か妥当なのは処刑だな」


 コーデリアからため息が漏れ、鼓動が速くなっているのが解る。

 懲役数千年か処刑…か。

『コーデリア! 離せイリア!』

 ルナリードが、リアちゃんと幼女に拘束されて止められている……今ここでコーデリアを引き渡したら、ルナリードが自分を責めてしまう。自分が元凶なのにコーデリアが罪を背負うから……それでも選択したのはコーデリアなんだけれど、天明が生まれなかったらこうはなっていない訳で。

 まぁ私にも責任の一端があるんだよ。身内でわちゃわちゃしたんだから。


「そうですか。じゃあコーデリアは渡せません」

「お姉さま……良いんです。覚悟はしていましたから」


 ラグナの目が細められ、重い威圧感が私を襲ったけれど、ごめん効かないんだよ。

 それでもコーデリアには効いているから、なんとかせねばな。


「言ったろ、守ってやるって。お姉ちゃんに任せなさいっ」


 泣くな泣くな、大丈夫。交渉の材料はあるよ。

 これからちょっと大変になるかもだけれど。


「理由を聞こうか。庇うなら同罪になるかもしれぬよ」

「別に構いませんよ。壊れた世界は私が直します。私になら出来ますから」


「直すまで待て、と?」

「はい、証明になるかどうかは分かりませんが……アラス星ちゃん、フーツー王国を天明が来る前まで戻せる? 対価は払うから」


 星同士の会話が可能になったから、星に直接お願い事が出来るようになった。

 星はエネルギーさえあれば自分の作った世界を操作出来る。例え壊されたとしても、対価を払えば交渉出来る…星によるけれど。

 よしよし、瓦礫が動き出した。


「……なんだと、ここまで大規模な時間魔法を使えるのか……」


 時間魔法や空間魔法は、対価を払って星に頼む魔法に近い。

 世界の時間を止めて自分だけ動けるようにしたいとか、この時間に行きたいとか、この場所とこの場所を行き来したい、とか。

 星の時間の流れと、世界の時間の流れは違うから……説明するとややこしいけれど。

 だから星は対価があれば了承する、だって世界の時間を止めるだけで質の良い魔力が貰えるんだ。その魔力で新しいものを創ったり、新しい機能を増やせたり出来る。私も同じ立場ならそうする。


 だから死の星に汎用型世界を安売り、もしくは星を創るエネルギーを対価にすればいいからやり方は簡単なのだ。


「アラス星ちゃんありがとー!」


 ふっ、どうよどうよ。

 周囲に建物が戻り、人々が行き交い始めた。

 みんな一様に首を傾げ、少しの間混乱していたけれど元の生活に戻ったみたい。

 ここは中央広場だったのか、うん、お城がバッチリ見えるよ。フーツー王国復活だ。

 ははは、我ながら完璧な仕事だ。

 ルゼルもドヤ顔でラグナを見て……喧嘩しないでね。


「なるほど、凄いな。確かに証明にはなるが…実際死の星で検証しないといけないな」

「じゃあ、今いきましょうか。でも人数が多すぎて星が警戒しますね」


「……警戒、か。ルゼルに免じてまだ保留にしてやる、世界の復活に立ち会えるならな。ノワール! 来てくれ!」

「はいはーい。こちらは代表の方に同行願いました」


 代表……やる気のない幼女と、巻き込まれたヘルちゃんと、不機嫌なルナリードと、ロクナナと、目がキモい雌豚。リアちゃんとイッきゅんは…クロスハートの後遺症で来れないか。ノワールさんがウインクしてくれたから、悪いようにはならないだろう。


「……分かった。これから近々で世界が壊れた死の星へ向かう。その面子と、こちらからは…私だけで良いか?」

「あっ、そちらのお姉さんも一緒が良いです」


「私?」

 キリエが自分を指差し、私がうんうんと頷く。なんかさっきから後ろのおっさん達が俺も俺も! 儂も儂も! 自分も自分も! と叫んでいるから早く行こうぜ。ラグナもおっさん達をウザそうに見ている。

 おっ、ルゼルがおっさんを睨みつけた。


『お前ら…アスティを怖がらせるな』

「「「……」」」


 なんか神格が付いたせいか威圧感が半端ない。

 いけいけー。


『後の処理はそこの仕事が恋人の総帥がやる。帰れ。今すぐ帰れ』

「……くっ、ですが……」


『十秒待ってやる。メガエナジー…』

 ママン、こんな街中でメガエナジー使っちゃダメよ。

 ただでさえ注目されているんだからさあ。

 あっ、でも天異界の人達には効果的だったみたい。おっさんおじさんじいさん集団が渋々帰っていく。


 おー、ラグナの周り以外全員帰ったな。

 残っているのはラグナとキリエと女神っぽいお姉さんと補佐っぽいお姉さん達。女神っぽいお姉さんと補佐っぽいお姉さんはラグナと話して帰っていった。アスターに行けば会えるかな。


「ルゼル、悪いな」

『ふっ、娘の為だ』


「それについてもじっくり話さなければならないな。じゃあ行くか…この陣に乗ってくれ」


 はーい。

 ラグナを中心に展開された魔法陣に乗っていく。幼女を抱えたヘルちゃんが凄い嫌そう。大丈夫、死なないよ!

 みんな乗って、距離が近く…

 これは、キリエに近付くチャンスだ!


「ちょっと、失礼します」

 ラグナの横を通って、私を見ていたキリエの目の前に来た。

 あぁ、近い。ずっと、会いたいと思っていた。

 じーー。

 あの時と変わらない雰囲気。身長の割に少し細い身体…綺麗よりも可愛い寄りの顔に向き合うのは、これが初めて。

 幼い頃からずっと視ていたなんて、引かれるかな。


「……あの、何かな?」

「ずっと、お会いしたいと思っていました」


「…私を知ってるの?」

「はい、どうしてか解りますか?」


「いや、まぁ、この世界は故郷だし…私の記録が残っていたの? それかイリアとイツハから?」

「いえ、私は、ご先祖様の記憶を視た事があるんです」


 一歩近付く。キリエは私の目を見て動かない。

 もう一歩。これで私の手が届く場所に来た。


「…ご先祖様って、誰?」

「キリ・エライザ」


 キリエの目が少し開いた瞬間、私はキリエに抱き付いた。

 わーい! つっかまえたー!

 ウエスト細っ。

 私がキリエに抱き付いた時、ラグナの魔法が発動。

 寒くて暗闇の場所に転移した。

 ぎゅー……みんなに見られているけれど、もうちょっと。もうちょっと。なんか凄く安心するんだ。


「という事は…私の、子孫?」

「はい。貴女のお蔭で私はルゼルおかぁさんに会えました。星になる方法を思い付きました。ありがとうございました!」


「えっと、ごめんちょっと混乱して…」

「私はずっとお礼が言いたかったのですよ! ふぁーご先祖さまぁー! 感激ですよー! なでなでしてくださーい!」


 決めた! ルビアに行ったらデートしてもらおう!

 撫でてもらう為に頭をグリグリしたら、そっと撫でてくれた。

 おぉ…めっちゃ嬉しい。


「…ははっ、なんか解らないけど嬉しい気持ち」

「あの私……」


「……アレスティア、そろそろ良いか?」


 やだー。

 出来れば二人きりで話したい……むぅ、邪魔しおって……連絡先を渡しておこう。


「……はい、失礼しました。この星は…なるほど」


 ここはイチが壊した世界か。

 イチの氷があちこちに散乱している。

 ふーん。この星は最初が面倒だから私にやって良いってよ。

 世界の操作方法を丸投げされて、おいおい適当だなー……いや、超絶やる気無い状態だからか。


 よし、アスティちゃんが頑張るか。

 世界よ戻れー。


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