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御先祖様…いつか、お会いできることを楽しみにしております  作者: はぎま
終章・叶えてやるんだ
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私の想いよ…

 

 ダメージゼロ結界の外に転移した。

 覇道の攻撃を回復していなかったのは…まあいいか。

 もう、天異界の結界は無く、ダメージゼロ結界を囲むように四つの集団に分かれていた。


「誰か来たぞ?」「血だらけだ」「関係者か? くそ、こんな非常事態にアラステアは何処に居るんだ」

 恐らく天異界の者達と思われる兵士達とオジサンおっさんじいさん集団。あの中には入りたくない。


「あっ、アレスティアちゃん」

「ノワール、誰だ?」

「ルゼルさんの娘さんですよ」

『あすてぃ…』

 天異界総帥とノワールさん、ルゼル、キリエと何名かが居る美人集団。あの中に入ったらドキドキが止まらないだろうな。


「アレスティアだ…」「エロい方だ」

「お腹空いた……」

『アレスティア…血だらけじゃないか…』

 ロクナナ、幼女、ルナリードが居る美少女集団。あと雌豚。

 幼女はそこに居て良いのか? 普通大人モードで美人集団に入って状況説明するでしょ。


「みんな、アスきゅんが来たわよ!」

「「「アスティーちゃーん!」」」

 最後はリアちゃんイッきゅんヘルちゃん率いるパンパン集団…なんで? お友達のフラムちゃんやミーレイちゃん、チロルちゃん…クーちゃん、ミズキ、ヘンリエッテもみんな居るし……危ないよ。ムルムーどこ行った?

 テンちゃん率いる妖精さん達が太鼓をドンパチ鳴らして…きゃわゆい。その前に私が血だらけなのにみんな笑顔で応援しているから、この集団が一番まともに見えないな。


 とりあえずこの集団同士…仲が良い訳ではないだろう。

 オジサンおっさんじいさん集団はお堅いイメージだし、美人集団は近寄り難いに加えてルゼルが居る。

 美少女集団は破壊神が居るし、幼女なんてこのままロクナナに紛れてやり過ごそうとしている駄目っぷり。

 パンパン集団は……この世界の美少女達だから、神なんてどうでも良い感じだ。リアちゃんが神だから。


「おいルゼル、行かないのか?」

『……あすてぃは、ここには、来ないからな』


「……良いのか?」

『……あすてぃは、凄いんだ。どんな困難も、乗り越える。見ていろラグナ…凄いんだから』


「はぁ…わかったわかった。ほんと、ルゼルが羨ましいよ」


 みんな私を見ているけれど、近付いて来ない。お互いに誰が行くのか牽制し合っている。

 私がどの集団に向かうかにも注目されていそうだ。

 まぁ、おっさん集団は論外。美人集団はルゼルがウルウルして来て欲しいオーラ全開に加えて、私が会いたい憧れの人ナンバーワンのキリエが居る……だからあそこに向かったらコーデリアが耐え切れるまでに帰って来れる自信は無い。

 美少女集団はまだ用事は無い。

 という事でこの集団の中で一番用事があるのがパンパン集団なのだ。

 誰かが来る前に転移!


「リアちゃん、なんか気まずい状況ですね。みんな応援ありがとー」

「アスきゅん、来てくれると思ってた。見て見て、みんなの悔しそうな顔…どやぁ」


「勝ち誇った顔をしないで下さい。後で荒れますよ」

「荒れたら良いのよ。土足でこの世界に入って来て勝手な事言って…プンプンなんだから。ねぇイツハ」


「まぁあっちが正論だよ。条例で裏世界の王が現れたら天異界の指示に従うってね。ママがプンプンなのは相手がアッきゅんだからでしょ」


「プンプンリアちゃん可愛いですね。あっ、ヘルちゃん回復してっ」

「…アスティおかえり、フェアリィタッチ」


 ……ヘルちゃんが素直だ。なんか後で怒られそう…ヘルちゃん、傷口グリグリしないで…

 回復して身体は治ったけれど、ジャージがボロボロ……あっ、今更私にはロンドの服作製の能力があった事を思い出したよ。

 白い服にへーんしん! アクセサリーはみんなに勝手に着けられた…ブレないね。


「それで? 天異界を掻き回したアスきゅんは何をお望み?」

「はい、リアちゃんの儀式魔法クロスハートを使って欲しいんです」


「…その目的は? 覇道のアスきゅんを消す願いなら、この世界丸ごと生贄にする必要があるよ」

「そんな事願いませんよ。私は、この星に聞きたい事があるんです。だから、私の声を届けて貰えませんか?」


「それは、前にアラステアちゃんの声を届けているから出来なくは無いけど、代償は大きいよ」

「覚悟の上です。因みに、どれくらいの代償ですか?」


 リアちゃんがんー…と唇に人差し指を付けて辺りを見渡し、またんー…と唸り出した。えっ、結構重い代償なの?


「私とイツハとアスきゅんが頑張って……三人で死ぬだけ、かな」

「ちょっと条件重すぎじゃないですか?」


「だってこの前祈りパワー全部使っちゃったもん」

「困りましたね……」


「アスティ、私達も祈るわよ。ねえみんな?」

「もちろんだよ!」「アスティちゃんの為に頑張るね!」「私達もやりますよ!」


 みんな……ありがとう。意味はわかっていないと思うけれど、リアちゃんの為なら命を賭ける覚悟があるんだろう。

 これなら、いける?


「みんなで祈っても……まだ、足りない。アラステアちゃんに使った時は何十年分も祈りを溜めていたから……良くて全員身体の半分を取られる、かな」

「結局全員死ぬって事ですか…」


 それだけ、星に言葉を届けるのは難しいということか。

 どうする……賭けに出るか……いや駄目だ。なんとか代償は最小限にしたい。


「アスティ、何かおかしいわ」

「えっ、まさか……」


 ──ピキピキ……

 嘘だろ……ダメージゼロ結界が……割れる。

 コーデリア…もう少し頑張ってくれ。


「アスきゅん、どうする?」

「……幼女も道連れにしましょう」


「そうね。アラステアちゃん召喚」

「ほえ?」

 魔法陣から幼女が現れ、リアちゃんが生クリームを口に突っ込むと、幼女が立ち上がった。

 幼女はキョロキョロとみんなの顔を見渡し、肩を竦めてリアちゃんに向き合った。珍しい…ちゃんと空気を読んだな。やれば出来るじゃないか。


「アラステアちゃん、これからアスきゅんの為にクロスハートを使うの。よろしく」

「…なるほどの。アレスティアの為ならどんな代償も払うぞえ」


「……アテアちゃん、ありがとうございます」

「今失礼な事思ったじゃろ」


「はい、思いました」

「……」


 幼女の目から涙が零れ落ちた。

 遂に嘘泣きまで習得したのか……やるな。


「アレスティア、私達も手伝う」

「頑張る」

「ここは……楽園か……桃源郷か……」

「ロクちゃん、ナナちゃん…ありがとう。雌豚黙れ」


 いざとなれば私が全ての代償を背負えば良いか。

 リアちゃんが少し離れた場所にいたルナリードをチョイチョイと手招きすると、ルナリードが少し俯いて近付いて来た。そう言えば二人は知り合いだったっけ。


「これからアスきゅんの為にクロスハートを使います。手伝って貰えませんか?」

『……わかった。あの、アレスティアの事、見守ってくれてありがとう』


「言葉は受け取りますが、破壊の女神は礼を言わないものですよ」

『破壊神として礼を言った訳じゃない。まぁ、その、なんだ、身内、として…』


「すっかりアスきゅんの虜ですね。ねーアースきゅーん」

「……」


 ……なにさリアちゃん。私はノーコメントだよ。時間ないから早くしようよ。天異界の人が来たらややこしくなるよ。

 ……なんでみんなで私をジーッと見るのさ。


「アスきゅん、言ってあげなさいよ」

「……何をですか」


「全員かのj……」

「──それ今言う事じゃないですよね!」


 ったく、油断したらこれだ。

 別に全員彼女と言う訳じゃないじゃん。

 パンパンの店員さんの中には彼氏持ちだって居るんでしょ? 男子と歩いているの見た事あるよ…いやあれは男装した店員さんだった。

 いやこんな事を考えている余裕はないのだよ。

 早くやってよ。ルナリードが全員何? って気になる前にさ!


「アスきゅん、これだけ揃えばみんなは辛うじて安全だと思うけど、私には負担が大きいから後遺症が残るかもしれないの」

「その時は私が面倒みますよ」


「一生?」

「治るまで」


「一生?」

「治るまで」


「……ぐすん」

『…あのさ、全員なに?』

「さぁクロスハートを使って下さい! 本気で時間がありません!」


 ダメージゼロ結界の亀裂が半分まで達しているんだよ!

 遊んでいる場合じゃないの!

 拗ねている場合じゃないの!

 みんなも言ってあげなよ! ってみんなも拗ねているし!


「アスティ、諦めなさい」


 何をさ。

 ……これ終わってからで良い?

 最善は尽くすよ。最善は。


「前準備無しのクロスハートは発動まで時間が掛かるの。ちゃんと術式組んでいるから安心して。みんな、行くよ」

「「「はい!」」」


 リアちゃんの足元に真っ白い魔法陣が現れ、みんなの足元まで広がった。発動までの雑談に緊張感がなさすぎる点は生き残ったら反省会だな。

 この中で祈れば良いのか。

 よし、やるぞー。


「この星に、想いよ届け。神位魔法・クロスハート」


 魔法陣が純白の光を溢れさせながら、私達を光で包み込んだ。暖かい…陽だまりのような感覚なのに、力がどんどん吸われる。キッツイなぁ……

 私の想い…届くかな…


 ──バキンッ! ダメージゼロ結界が壊れた…早くしないと…焦るな、焦ったらみんなの想いが台無しになる。


「……硬い結界だった。あの光は…クロスハート」

 壊れた結界から、負の力を漲らせた覇道が現れた。力が、増している……コーデリアと閻魔は…倒れて…くそ……


「アスきゅん! 動いちゃ駄目!」

「でも! 覇道が!」


 クロスハートの影響で、身体が、動かない。

 無理矢理に動くと台無し…でもみんなを守らないと!


「何をする気だ? …まさか…あの馬鹿な理論を実現する気か! 破壊神剣・烈戒!」


 破壊の斬撃…来る……ごめんみんな、やっぱり私は……


『…メガエネジーストライク』

 ドゴン! と、破壊の斬撃が上から降ってきたエネルギーの塊に弾かれた。

 上を見上げると、光の向こう側に翼を広げた漆黒の天使の姿。

 ははっ、このタイミングで来られたら…惚れ直してしまうよ。


「…おかぁさん」

『守ると、約束した』


 ……ありがとう。


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