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御先祖様…いつか、お会いできることを楽しみにしております  作者: はぎま
終章・叶えてやるんだ
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美人を眺めながらなら、例え不味いパンでも美味しくなるよ

 

「ねぇアスきゅん、星ってなんだと思う?」

「星? 世界の土台…とかですか?」


「ふふっ、そうだね。土台でもあるし、今見えている全てが星でもある」

「うーん…星と世界の違いってなんですか?」


「それはね、星が創ったものが世界…かな」


 リアちゃんの転移で、久し振りの自殺の名所ツアーへやって来た。

 前に来た時とメンバーは一緒。

 私、リアちゃん、ムルムー。

 違う所を挙げるとすれば…リアちゃんとムルムーが透明になっているという点と、あれから私が強くなったという点か。


「概念の話なので難しいですね。人によって認識は違うでしょうし……創ったという事は、星は生きているんですか?」

「そうだよ。星には意志がある」


「だから、時折何かが聞こえるんですかね」


 たまに聞こえる。

 星属性を使う時。

 声というか意志というか。見守ってくれる感覚。


「星属性は、星に愛されている証拠よ。じゃあ…神ってなんだと思う?」


「神…その世界で一番偉い人?」

「んー…少し違うかなぁ。偉くない神だって居るし、弱い神も居る」


「じゃあ…神の格を持っている人?」

「そう。神は星が創った世界を管理する資格を持った者の総称ね。あくまで神格は資格だから、必ず管理しなきゃいけないという訳ではないけど」


「でも管理しないと死の星になるんですよね?」

「そうね。世界って意外と脆いのよ。隕石で壊滅したり、科学兵器で滅びたり、裏世界から進行されたり」


「へぇー…じゃあ、この大きな谷を放置していたら大変なんですね」

「まぁ長い目で見たらね。元々ここはバランスがおかしいから影響は少ないけど…」


 現在上空から自殺の名所ツアーを見下ろしていた。

 広大な砂漠、鬱蒼としたジャングル、大渦の湖、頂上の見えない垂直の山……そして、ジャングルの中に大きな谷があり、底の方にはマグマが噴き出していた。新たな自殺の名所が現れたね。


「この谷が戦闘跡っぽいですね。コーデリアが剣を振り下ろしたのが視えました」

「そう…もっと近くで見ようか」


 上から見たから解るけれど、バラス級の魔物がうようよ居る。

 凄いなぁ…ここはどうしてこんな魔境なんだろう。

 リアちゃんが威圧を放つと、魔物達は離れていった。良いなー私も威圧したい。


 ていーっ。

 うん、魔物居ないから意味ねえ。


「うーん…あまり視れないですね。なんか持っている…あれが生命の宝珠かな? なんか他の世界と色が違うけれど…」

「多分この世界の宝珠は特別なのかな。ちょっと私も欲しいかも」


「子供欲しいんですか?」

「うん。私は子供が産めない身体だから」


「そうだったんですか…イッきゅんは?」

「イツハは養子だよ」


 似ていないもんな。

 恐らくこの世界の生命の宝珠は特別。

 どんな者の血でも生命が産まれるとすれば、物凄く価値があると思う。

 子供が欲しいけれど出来ない神からしたら、喉から手が出る程に…


「…あれ?」


 ……なんだ?

 何か…視える。

 コーデリアじゃない。

 白く長い髪の女性…一人で佇む姿はどこかで…

 なんか急に…眠くなってきた。

 これは、私の意志じゃない…何を…視せる気だ…


「アスきゅん?」

「リアちゃん…ちょっと…眠ります」


「…ふふっ、じゃあ、お家でも出そうかな」


 少し拗ねた表情の中に喜びを持ったリアちゃんが、ドンッと大きな家を出した。

 リアちゃんにお持ち帰りされている途中で、意識が飛んでいく。

 ムルムー…透明化を解きやがった…くっ、何をする気だ…


 眠いー……おやすみなさーい。



 ……あー、懐かしい感覚。キリエの時みたい。

 ……ここは、さっきの場所? それにしてはジャングルとは違う明るい森の中。少し神聖な感じもする。

 後ろを振り返ると、大きな樹の前に美人なお姉さまが立っていた。


 この視点は…移動出来るから人じゃない。

 何かの視点? その内解るかな。


「はぁ…こんな所に次元の歪みが…盲点じゃったな。キリエはここから出て行ったのか…」


 私のハートど真ん中を居抜きそうな白髪の美人なお姉さまが次元の歪みを見てため息を付いていた。

 喋り方が幼女っぽい。

 ……あっ、幼女だな。若かりし頃のアラステアちゃんという事か……可愛い。


「のぅ賢樹…教えてくれても良かったじゃろ」

『お主が中々ここに来ないからな。それにあの子に儂の声は届かん』


 うおっ、樹が喋った。ルビアの世界樹みたいなやつかな? 同じくらい大きいし。


「忙しいんじゃよ。それにただでさえ忙しいのに邪族の臭いがぷんぷんしておる」

『深淵の扉が開くみたいだな。どうするんだ?』


「どうするったって、戦うしかないじゃろ。頼れる者は居ない」

『眷族がいるだろ』


「居ない。前任と共に天異界という場所に引き抜かれたのじゃ」

『そうか…だから災害級の魔物が多かったのか』


「すまんの…神が一柱だけの世界は天異界に加盟出来ない。だから、助けは無い。でも…わっちがなんとかしてやるでの」


 前任の事は聞いた事が無いな。

 天異界に入る前の時代…か。

 これからキリエの時みたいに、ロンドが主催した邪族の進行が始まる。


 天異界に加盟出来れば、少しくらいの助けはあるけれど……でも、今も女神幼女が一柱なのに何故天異界に加盟しているんだ?


『戦うのは、得意だったな』

「あぁ、それに幻の神武器師から武器を買うたでの。運が良かったぞえ」


『期待しているよ。あぁそうそう、神武器師の出て行った場所がその歪みだ』

「…ルルめ…歪みを直していけの」


 ルルが出て行った次元の歪みをキリエが見付けて入った訳か…ならルルはルビアへ行ったんだな。


『恐らく…あと数時間で深淵の扉が現れるぞ』

「解っておる。出来る準備はしたつもりじゃ」


 ……それにしても、移動出来るというのは素晴らしい。

 至近距離でアテアちゃんを眺められる。

 じー……美人だ。

 アテアちゃんをおかずに素パン十五枚は余裕だな。

 触ってみよう…あっ、すり抜けた。やっぱり駄目か。


『一応儂の眷族は喚んであるが、気休め程度に思ってくれ』

「いや、とても助かる。感謝するのじゃ」


 うーん…この記憶は、私に視て貰いたいという意志を感じる?

 当てはまるのは…星の記憶、かな。


 でも…これを視た私に、星は何をして欲しいのだろう。


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