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蒼き魔物2

 

「ハイエナジーヒール」


 ミズキを回復中に戦略を考えよう。

 今の所解っているロンドの能力は、空間魔法…次元を越えるレベル。冥属性…深淵魔法の別名か似た魔法かな。

 そして深魔貴族序列十位くらいの強さ。


『貴様の様な雑魚が我を殺すなど、無理な話だ』

「殺す。皆の仇…この日をどんなに待ち望んだか…」


 これを羅刹煌がどこまで引き継いでいるか…だけれど。

 エーリン、素になっているぞ。いつもの口調じゃないと不安になるから戻ってー。


『ふんっ、死ね。冥空裂衝』

 羅刹煌が地上に降り立ち、両腕を振り下ろすと黒い刃が発生。空間を斬り裂きながらエーリンへと向かう。


「ナメられたもんだ。剛鬼拳」

 ドゴンッ! と、黒い刃を殴り飛ばした。

 …えっ、なにそれ。殴れんの?


『中々やるな。冥空雷撃衝』

 今度は真上から黒い雷が押し寄せる。


「王鬼爆裂拳」

 すげー。素手で次々と落ちる雷を殴り飛ばしている。

 王鬼の力…視てみると面白い。

 魔法を物理的に干渉出来るのか。

 エーリンらしい能力だな。


『この世界の赤鬼も面倒なのだな。強制転移』

 あっ…エーリンが消えた。何処かに転移されたのか…いや、十キロ先…割りと近い。

 おー…直ぐに走ってきた。

 少し羅刹煌が嫌な顔をしてきたな。確かに魔法を殴る敵なんて嫌だし。


「ごほっ、レティ…ごめんね、役立たずで」

「何を言っているんですか。転移能力を封じたらまた出番ですよ」


「ははっ、厳しいねぇ」

「嫌いじゃないですよね、こういうの」


「…まぁね。ありがとう、また、力を溜めるからよろしく」

「もちろん。呪解・完」


 呪いの力を最大限に…深淵も合わせて強化していく。

 広範囲にしたら失敗する。なんとか直接呪いを叩き込めれば…


「もう、転移は受けたから効かない。瞬陀殺」

 エーリンの動きが加速。迫る黒い刃を弾き飛ばし、低姿勢のまま回り込み両腕が見えない程の連撃。

 一度受けた魔法は効かない? なるほど…


「エーリン…もうやめろ。身体がもたない」

 エーリンの拳から血が流れ、腕からは血管が浮き出て脈動していた。ギチギチと軋む音が聞こえ、身体が限界を超えている…

 馬鹿野郎…


『くくっ、限界を超えていたのか。それならば、脆い。蒼刀羅刹』

 羅刹煌が回転し、身体中から刃を出した。

 回転する刃がエーリンの拳に食い込み、両腕がボロボロに…

 はぁ…馬鹿エーリン。

 ソルレーザーで気を引いてエーリンを回収。


「ぐぁっ…もう少しなのに…」

「ハイエナジーヒール。エーリン、隙を見てこれを叩き込んで」


「これは?」

「転移能力を封じる呪い」


「…了解です」


 魔法を物理的に干渉出来るなら、私の呪いも持てる筈……よし、良い子だ。


「さて…ここなら使えるか」

 朱天の剣を取り出し、力を解放していく。

 赤黒いオーラが立ち昇り、転移板に触れるとオーラが転移していく。なるほど…転移板は対になっているから規則性ありか。


『何をしても無駄だ。蒼刀転移剣』

 羅刹煌の身体から次々と刃が射出。

 転移板に触れると刃の起動が変わり、どこから刃が来るか解らない。


「ふふっ、羅刹煌…あなたはまだ転移能力を使いこなせていませんね。朱剣奥義・天壁!」

 赤黒いエネルギーを転移板へと向ける。

 転移板に接触すると次々と転移。

 転移している数は百を超え、刃を散らしながら視界が赤黒く染まっていった。


『ふんっ、この程度…なにっ!』

「これだけ大量のエネルギーを大量に転移…処理が追い付かない様ですねぇ」


『ぐぉおぉおおお!』


 あー、やっと攻撃が通じた。

 転移板を撒き散らした時点で思ったけれど、戦い方を解っていない。

 天壁が直撃しているけれど、致命傷にはなっていないし…打たれ強いな。

 でも…


「堕ちろ…瞬陀羅」

 エーリンが天壁を無視しながら呪いを拳に乗せて叩き込む。


『なにっ! 混沌だとっ!』


 ちょっと…もう少し待ってよ。

 上手く直撃したから良いけれど…おっ、やるねー。

 空中からミズキの方へ叩き落とした。


「秘奥義・絶命華!」

 墜落した所で力を溜めていたミズキが渾身の一撃。

 光の爆発が連続して起き、攻撃を返された様子も無い。呪われた状態での聖剣の一撃……今度は綺麗に決まった。


『がはっ!』


 そしてそのまま私の方へ飛ばしてきた。

 さぁおいでおいでー!

 私の必殺技をお見舞いしてやろうではないか!


「深淵呪解ハイエナジーフォース! 私流奥義・黒銀滅!」

『がぁぁあああ!』


 深淵と呪いを最大強化!

 周囲一帯が死の大地に早変わり!

 黒銀のエネルギーに包まれて良い感じに効いている!

 頑張れ深淵。頑張れ呪い。


「はぁ、はぁ、レティ…勝ったの?」

「うーん…ダメージはかなりありますがね。このまま死んでくれるとありがたいです」


「アレスティアー、ミズキー、ありがとうございますー」

「おっ、エーリン口調が戻ったね。まだ油断しちゃ駄目だよ」


『ぁぁぁあ! ぐがっ! ごげっ! ぬごっ!』


 …なんか叫び声が独特だな。


「なんとか死なずに済みましたねー」

「なんとかだよ本当に…ところで、迷宮で手に入れた物は使ったの?」


『ぐっ、がっ、ぎゃ、ぎゆゎ!』


「いえー、あれは……あのー、私の家系は御先祖様の力の一部を身に宿して戦う戦巫女と呼ばれていました」

「あぁ…王鬼の力?」


「はいー。王鬼は御先祖様の力の一部を呼ぶ時に使いますー」

「一部か。全部の場合は?」


『ぬぎゅっ! なっ! じぇ!』


「それはー……アレスティア…何か、おかしいです」

「うん、叫び声がおかしいよね。いやぁ…実はさぁ、嫌な予感がするんだ」


 なんか、死ぬ寸前まで行っているのにそこでずっと止まっているんだ。

 それに、この叫び声。私の必殺技とは別の痛みを感じているような…


 あぁ…羅刹煌の力が、増している。

 これは、ミズキには荷が重い。


「レティ…もしかしたら、私、本当に足手まといになるかも。もう、足が動かない」

「…はい。悪いけれどエーリン、ミズキさんを抱えて遠くへ行って」


「嫌…と言いたいですがー…ちゃんと戻って来ますからねー」

「うん。待っているよ」


 足が竦んで動けないミズキを、エーリンが抱えて走っていった。

 流石にミズキはまた死にかける…守りきれる自信が無い。

 …もう見えない程遠くへ行った。少し安心か。


 そして、羅刹煌の力が跳ね上がり、パァン! と、黒銀滅が弾け飛んだ。

 ……ははっ、まじかよ。


『中々隙を突けずに出てこれないとは、我ながら情けない。先ずは、貴女に感謝を伝えましょう』

「……」


 蒼いスーツに、蒼い髪の毛をオールバックに纏めた男が立っていた。

 前に見た時は黒かった。

 羅刹煌の影響で色は変わっているけれど、間違いない。

 この圧倒的な存在感は、羅刹煌を軽く上回っている。


『おっと申し遅れました。私は、裏世界の王に仕えるロンドと申します』

「……アレスティアと申します。それでは…」


『殺し合いましょうか』

「…そうですね」


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