表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/375

私は行き遅れを狙っている。

 風の日。学校へ行き、六年二組の教室へ。

 後ろの席に座っていると、前の方に座っている男の子達が盛り上がっている。


「今日居るかな?」

「先週は風と土の日だったからな」

「俺見れなかったんだよ。居たら教えて」


 誰か有名な人が居たのかな?

 帝都だから、有名人なんて沢山居る。

 騎士団の人とか、魔法士団の人とか、劇場の人とか……そういえば、王女のお芝居どうなったんだろ…

 フラムちゃんとなら行けるけれど…なんか気不味いというか…

 王女と皇子の話なんて、空想の話なんだけれどね。



「ようアレス。今日も地味だな」

「やぁティーダ君」


 今日も地味だなって言われるのが普通になっている。

 まぁ、私に取っては褒め言葉だけれどね。


「アレスは見たか?」

「何を?」

「天使だよ。凄い綺麗な子が居るんだ」

「ふーん。何組?」


 凄い綺麗な子と聞いたら見に行きたい。

 お近づきになりたい。

 でもティーダ君が言うには、学年も組も謎らしい。


「フラムと一緒に歩いて居たらしい」

「フラムちゃんと? 聞いてみようかな」


 フラムちゃんのお友達でしたか。

 それならお近づきになれそうですね。


 学活が終わり、ティーダ君と魔物学の教室へ。

 四組の方を見たけれど、人の壁があるだけでフラムちゃんは見えなかった。



 魔物学の教室でも、天使の話題が聞こえる。

 気になるさー。


「アレスは剣術やらないのか?」

「やるけれど、人気の無い流派だからね。帝国流剣術は出来ないし」


 学校で習うの剣術は、帝国流の剣、槍、斧術。

 興味が無いのが現状。


「まぁ帝都大会だと、上位に入るのが帝国流剣術ばかりだからなー」


 帝都大会、男子の部と女子の部で分かれている。

 一応学校、道場、騎士団から出場出来るけれど、やるなら女子の部かなー。

 強くて可愛い子に会えるから。



 今日は魔物学で面白い事を聞いた。

 理論上…魔物を倒して、壁を超えるという事に限度は無いらしい。

 取り入れる魔力の量が壁を超える度に少なくなるから、成長が頭打ちに感じる。


 それが本当なら、強さに限界は無いという事だ。

 私に取っては朗報だ。


 授業が終わり、一人になったので『聖域』へ行く。

 人の流れは把握している私に死角は無い。


 ……


 ……


 地味眼鏡を外してピンクのワンピースを装着。

 二番『聖域』から出ると、誰も居ない。

 フラムちゃんや、何処ですか?


 とりあえず、一番と三番の『聖域』に行ってみよう。

 聖域間の距離って結構遠い。トコトコ歩いて一番を目指す。

 …みんな見てくるけれど、今日の服は似合わないかな?


「あの! 何組なんですか!」


 ビクッ――男子よ…いきなり大声出さないで下さい…びっくりしたなぁ。

 何組って言われても…秘密じゃ駄目?


「…友達を…迎えに…来ただけです」


 苦しい言い訳。間違ってはいないよね。着替えてフラムちゃんを迎えに行くっていう…

 逃げるように移動。話し掛けてきた男子が他の男子に連れて行かれた…仲良しさんかな?


 あっ、フラムちゃん発見。

 四組の前に居た。

 …今日は一段と友達多いね。30人くらいに囲まれて、フラムちゃん人気者。少し分けてくれないか。


「フラムちゃーん。迎えに来たよー」

「あっ、ごめん! 通して!」


 ギュンッ! っていう擬音が適切かな…友達が全員こっち見た…ビビる…


 フラムちゃんが私の手を取って早歩き。

 友達も付いてくるけれど、皆帰りかな?


「フラムちゃん。凄い綺麗な子と友達って聞いたけれど、どんな子?」

「…えっ?」


 何言ってるの? っていう顔で見ないで。何? 私?

 ……なるほど。

 私が可愛くて可愛くて噂になっておると…ふむ。

 私この学校では可愛いのか。


「フラムちゃんと並んでも、釣り合いが取れるなら嬉しいよ」

「アスティちゃん…他には何も感想無いの?」

「うん。どうせ私は男の子と付き合えないし」

「そ、そうなの?」

「家柄が激しく邪魔しているからね」


 フラムちゃんには、良い所の家柄とは言ってある。

 絶賛家出中な私だけれど、守っている事はあるんですよ。


 男性との交際は成人まで出来ない。

 一応、元王女ですから…交際は出来ません。


 だから逆を言えば、成人してしまえばこっちの物!


 婚約者も居ない行き遅れですからね!



「じゃ、じゃあ彼氏は作る気無いの?」

「成人すればなんとやら。18歳までは男性とお付き合いは出来ませんよー」

「そ、そっかぁ。じゃあ私もアスティちゃんに付き合うね!」


 それだと、フラムちゃんが行き遅れになるから駄目だよ。

 一般的には、女性は18歳で大体結婚する。

 20歳はまだ大丈夫。

 25歳超えると絶望的。


 貴族や王族は、20歳で結婚出来なければ行き遅れ。


 私はこれを狙ってる。



 あっ、でも子供は欲しいかも。




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 フラムちゃんは道場へ行くかと思ったら、風の日は休む。

 私に合わせてくれた。


 という事で、着替えて二人でラジャーナへ。



「フラムちゃん。ラジャーナは辺境だから、まだ開拓していない場所があるの」

「その開拓していない場所を探すの?」

「そう! 一攫千金! 最低でも鉄の鉱脈が欲しい!」


 周辺の地図を眺めながら、考えるけど鉱脈がありそうな場所は結構奥…フラムちゃんが危険。今度一人で来よう。


 早速今日は諦めた。

 仕方無い。

 地道にオーガを狩ろう。


 いつもの通り、岩場方向へ。


 衛兵さんから、オーガの素材だけを納品する新人冒険者が居るらしい。

 多分私達が放置したオーガかな。

 大地に還るまで一時間くらい掛かるから、おこぼれを狙ったんだろう。


 光の魔力を強く込めれば1分で大地に還る。

 今日はこれで行こう。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「――首狩り!」


 フラムちゃんが身体を沈め、

 全身のバネを使って高速移動。

 オーガの首を跳ばす。


「出来たぁ! アスティちゃん! 出来たよぉ!」


 フラムちゃんがピョンピョンと飛び上がって喜びを表現。

 ポヨンポヨンとおっぱいが揺れている。


 大分首狩りが上手くなった。

 やっぱり実践あるのみだね。


 フラムちゃんは10体くらい倒してもう一回壁を超え、もう一対一なら楽勝。

 倒したオーガから魔石を取ったら、直ぐに光の魔力を当てる。



 遠目に冒険者が見える。

 おこぼれを狙った奴らかな。

 あげないよ。

 自分の努力で勝ち取ってくれ。


 正直おこぼれを狙うのは良いけど、オーガが徘徊しているから危ないよ。

 ほら、遭遇して逃げてる。

 言わんこっちゃない。


「アスティちゃんは冒険者助けないの?」


「余程暇じゃない限り、助けないかな。自己責任だし。助けたら助けたで、いちゃもん付けられるんだ。

 俺たちが狙ってたオーガだから寄越せってね」


「なんか嫌だね。恩を仇で返すなんて」


 全員がそうじゃ無いのは解ってる。

 良い人だったら大歓迎。

 良い人でも、悪い人が周りに居たら駄目。


 線引きはしっかりしないと。


 人付き合いは大事だから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ