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友達って一緒に努力するものだよね!

 昨日は無事、フラムちゃんの初出勤が終わりました。


 そのまま私の部屋に泊まって、今日は二人で仲良くお出かけ。

 私はいつもの少年スタイル。フラムちゃんも似た格好だけど、女の子だと直ぐに解る。目的地だと、ちょっと危ない。地味眼鏡を装着させる…地味フラム…地味だ…


 二人で転移ゲートに行き、軽い旅行気分で目的地に到着。

 そのまま南門へ行き、衛兵さんに挨拶をしてから街道を外れる。

 目的地はどこって?そんなの決まっています。


「アスティちゃん…本当にやるの?」

「大丈夫。私を信じて」


 辺境の街ラジャーナに来ています。


 とりあえず、いつもの岩場へ向かう。岩場周辺は、オーガやギガースが多いから。

 前よりも冒険者の数が多い。装備を見る限り新人か…今日は絶対に助けない。

 何故ならフラムちゃんが居るから。フラムちゃんと知らん人を天秤にかけるという発想にはまずならない。

 自己責任ですよー。あっ、地味眼鏡返してね。帰りにまた渡すから。




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「あっ、居たよー」

「――やひぃ!」


 オーガを二体発見。周りに冒険者は居ない。

 小走りでオーガに向かう。フラムちゃんも半泣きで付いてくる…偉い偉い。


 オーガがこちらに気付き、真っ黒い瞳を向けて獰猛な笑みを浮かべる。

 そのまま、大きな足を鳴らして突進。


 フラムちゃんが声にならない叫びを上げる中、私も竜剣を抜いてオーガに駆ける。


「――無元流・四肢」

 ザシュン!――

 オーガの身体に剣閃が走る。

 そして、オーガが転んだ。


 転んだというのは間違いか。Vの字に両腕両脚を斬り落とされ、だるまの状態で転がっている。

 死ぬのは時間の問題。

 さぁフラムちゃん! やっておしまいなさい!

 …どうしたの? 怖い? 大丈夫だよ。噛まれなきゃ良いだけだから。


 …泣かないで。ごめんね。無理させちゃったね。フラムちゃんと一緒にラジャーナに来これただけでも幸せだから…


 …やる? じゃあ一緒にやろう? 魔力の吸収は半減するけれど、二倍倒せば良いだけだから。


「せーの!」

「――うひゃ! 簡単に斬れた!」


 竜剣は直したばかりだからね。フラムちゃんが泣きながらミスリルナイフで魔石を取り出し、魔石に魔力を通す。


「あっ…えっ? これ?」

「ん? もう壁超えたの?」

「たぶん…」


 どうやら、一つ壁を超えたみたい。確かに魔力が上がっている。これなら今日中に五回は壁を超えられそうだね! 頑張ろう!

 もう一体のオーガは、フラムちゃん一人で頑張っていた。壁を超えて精神も強くなったんだね。良かった。



「フラムちゃん、このミスリルソード使って止めを刺していってね。私は瀕死にするから」

「うん、頑張るよ!」


 壁を超えて、少し元気になったフラムちゃん。


 目の前には10体のオーガ。全部瀕死に止めるのは難しいけれど、フラムちゃんの為に頑張ろう。


 身を低くして走る。

 背が低いのも利用しながら、発見されるのを遅らせる。


 オーガが気付く前に、無元流・四肢で三体転がす。

 オーガ達が異変に気付いた。

 身を低くし、竜剣を水平にしながら走る。

 ジグザグに走りながら脚を刈り取って行く。


 ドスンドスンとオーガが倒れる音が響き、順番に手を刈り取っていく。


 振り返ると、フラムちゃんがミスリルソードを振り下ろしてオーガの首を切断している。

 五、六、……あと一体…よし、よくできました!

 倒したオーガの魔石を順番に取り出して魔力を通す。


「超えた?」

「うん…二回超えたと思う…凄い…」

「強くなっても、慢心は駄目だからね。身体の使い方も変わるから」

「うん!」


 身体の動きから見て、オーガ一体なら闘えそうだけれど…一つ技を教えた方が良いか。


「フラムちゃん、一つ技を教えるから練習しよ?」

「良いの? やった!」

「じゃあ…あっ、あのオーガで見本みせるね」


 教える技は割と簡単な技。

 身体を少し沈ませて、力を溜める。

 そして、一気に解放する様に全身のバネを使って飛び上がりながら突進。

 すれ違い様に剣を振る。


「――無元流・首狩り」


 ――スパンッ

 ポーンと首が飛び、反応出来なかったオーガは直立姿勢。


「とまぁ、こんな感じ」

「…凄いね…アスティちゃん。格好良い」


 練習してみてね。……そうそう。

 全身を使ってね。……良い感じ。


 人相手に使っちゃ駄目だよ。

 後は練習。来週実践ね。


 遠くに冒険者が見えたから移動。絡まれたくないからね。フラムちゃんが居るし。


 ……おっ、ギガース種。


「ちょっと行ってくるね」

「行ってらっしゃい!」


 良いな、この感じ。

 ギガースまでは百メートル。

 小走りで近付いていく。

 後ろからフラムちゃんが付いてくる形。

 体長は十メートルちょい。

 普通サイズだから骨は斬れる。


「ライトソード」


 ブォン――光属性を付与。長さと攻撃力上昇効果。


 ギガースがこちらに気付いた。

 気にせず駆ける。

 ギガースが腕を振りかぶり手の平を叩き付けて来る。

 脚に力を入れ、速度を上げ躱す。

 そのまま懐に入り、

「――両断!」

 お腹に一閃。

 スパッと上半身と下半身に分かれ、ズドンと上半身が落ちる。


 フラムちゃん早く早く!

 腕も斬っておくから。

 やっちゃってやっちゃって。

 …そうそう。良くできました!


「…うぉ! また超えた!」

「やったね。そういえばフラムちゃんって魔物倒すの初めて?」

「うん、初めてだよ。魔物を倒す実習とかは中等部からだし」


 そうなんだ。初めて…オーガが初めて…お揃いだね!

 私もオーガが最初!

 泣きながら魔石とったのもお揃いだね!



 今日はこのくらいでお開き。

 ミスリルソード返してね。…あげないよ。一緒に稼いだお金でお揃いの剣買お? それで良いね。


 うーん…ギガースに光の魔力を当てて、フラムちゃんを抱えてダッシュ。

 ギガースが倒れたのを見たのか、冒険者がこっちに来ていたからね。逃げるさそりゃ。絡まれるの嫌だから。


 私のダッシュは早い。

 フラムちゃんの全力疾走の20倍速い。


「アスティちゃん。良かったの? 素材置いてきて…」

「大丈夫。光の魔力を当てたから直ぐ大地に還るよ。

 オーガやギガース系統は魔石の値段は高いけれど、素材は安いからね」

「オーガ系以外は闘わないの?」

「闘うけれど気分を変える時だけ。オーガは無難なんだ。

 オーク系統は肉に油が多いから、斬ったら剣に油が付いて切れ味が落ちるし…魔法を使う魔物は不意討ちがあるから…やっぱりオーガ系が無難かな」


 オーガが一番倒しやすい。

 魔石が良いから魔力吸収も良いし。




 直ぐに南門へ到着したので、フラムちゃんに地味眼鏡を渡す。

 衛兵さんに挨拶をして詰所へ。

 デートかい? って言われたからデートって言っておいた。


 フラムちゃんと一緒の時は預金せずに、そのままお金を受け取る。お金はしっかり分配しないとね。


 フラムちゃんは値段に驚いているけど、その内それが普通になるよ。受け取ろうとしないから、お金を貯めて一緒に旅行へ行こうねって言ったら受け取ってくれた。


 …んー、そろそろ収納出来る魔導具欲しいな。私が持っている収納の腕輪は容量が少ないし、フラムちゃん用の収納魔導具も要る。


 値段を知りたいから、魔導具屋さんに行こうか。





 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 帝都に到着。

 地味眼鏡を返して貰ってお店に向かう。

 大通りにある、前に魔法書を買ったお店の隣。


 魔導具のお店。

 色々な魔導具が並んでいるのは当たり前だけど、魔法使いの武器や防具も売っている。

 高価な魔導具はガラスケースに展示。


「すみませーん。収納系統の魔導具見せて下さい」

「はい、こちらのコーナーですよ」


 店員のお姉さんに案内されて、ショーケースを眺める。

 高いって事だね。

 んー…収納の鞄…白金貨3~10枚。

 収納の腕輪…白金貨8~20枚。

 収納の指輪…光金貨2~8枚。


 高いなぁ…オーガ50体ぐらい倒して収納鞄かぁ…

 オーガの魔石は銀貨3~8枚で換金出来る。個体差あるから売れる値段はバラバラ。

 オーガの魔石は安いって思った? 二体倒せば一ヶ月生活出来るって思えばそれなりだと思う。


「フラムちゃん。どれを目標にする?」

「んー、アスティちゃんとお揃いが良いけど…同じの無いね」

「私のは容量少ないし、思い入れも無いから買い換えるよ。お揃いの買おうよ」

「じゃあ、最低でも腕輪かな。鞄って邪魔だし」


 腕輪ね。オーガ二百体ぐらいかな。

 二人分だから、四百体だね。頑張ろうか。






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