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美味しいね、パンケーキ。

 ……どうしよう。というか、一組は午後も授業あるんじゃ無いの? 土の日は午後無いの? そう…


「…ミーレイちゃんは来たばかり?」

「は、はい」

「とりあえず…一緒に食べる?」

「はい! 良いよねナナリー!」

「うん! 良いよ!」


 友達のナナリーちゃん。一組の友達。オレンジ色の髪が綺麗な女の子。帝都は美人が多いなぁー…流石都会だ。


 説明って困るよなぁ…女の子ってバレなければ良いか…信用出来るなら女の子ってバラせば良いし…


 正直、四人掛けのテーブルに一人で座るのは寂しかったし。

 目の前にミーレイちゃん、ミーレイちゃんの隣にナナリーちゃんが座った。


「ミーレイちゃん、ポプリは気に入ってくれた?」

「ふぇ? ポプリ? なんで? あれ?」


 地味眼鏡をスチャッと掛ける。

 うんうん。驚いている驚いている。なんか楽しいな。友達も驚いているけれど、ミーレイちゃんの驚きようは凄い。落ち着いた雰囲気だったのに、口をパクパクさせて少しキャラが崩壊しそうだ。


 地味眼鏡を外すと、ナナリーちゃんがポワーッてしていた。凄いよね、この眼鏡。ほんとに別人になるから。そんなに見てもあげないよ。


「秘密にしてね」


 ウインクをして誤魔化してみる。


「「――ぶごぉふぁ!」」


 流石お友達…見事にシンクロしてる。いやそうじゃなくて、秘密にしてね。良い? ありがと。


 …どうしたの? お話しようよ。大丈夫? 具合悪いの?



「お待たせしましたー! デラックスパンケーキでぇす!」


 ナイスタイミング店員さん! パチリとウインクしてくれた…可愛いのう。

 デラックスパンケーキは、パンケーキの上にクリームが三種類乗って、高級フルーツも沢山。美味しそう…


「あっ、二人は注文しないの?」

「ふぁっ! ふぁい! あっ、な、何にしよっか」

「あっ、あっうん」


「ねぇ、秘密にしてくれるお礼に今日は奢るから、同じパンケーキ頼もう?」

「う、あ、良いの?」

「良いよー。あっ、すみませんお姉さん。デラックスパンケーキ2つお願いします」


「かしこまりましたー!」



 …食べて良い? ありがと。

 ……うめぇ…うめぇよ……決めた…土の日はパンパンに行こう…メニューコンプリートしよう…

 メニューは30種類…週一じゃ足りないな。


 何? そんなに見てもあげないよ。同じの頼んだじゃん。

 奢るのは秘密を守らせる為さ。物で釣るなんて、私は悪い子。


 ……


 あぁ…直ぐに食べ終えてしもた。

 私の目の前には綺麗なお皿。ミーレイちゃんとナナリーちゃんの目の前にはデラックスパンケーキ…良いなぁ。

 ん? 食べないの?


「食べないの?」

「う、うん。食べるけど…」

「緊張して…」


 まぁ、デラックスパンケーキなんて高級パンケーキだから緊張するよね。値段はパンケーキの中でもトップクラスの銀貨一枚! 結構良い定食が10皿食べられる!



 デラックスパンケーキの先輩として、何かしてあげられたら良いけれど…ほれ、食べなされ! 冷めるよ!


 ナナリーちゃんはプルプルしながら、なんとか食べてらっしゃる。美味いだろう美味いだろう。


 うほぉ…ミーレイちゃん、緊張してらっしゃる。頑張れ! ナイフで切って、そうそう。フォークで刺して…フォークで刺して…プルプルしておる。頑張れ! あぁ! 落とした!


「もう、ミーレイちゃん緊張し過ぎだよ」


 少し身を乗り出して、お皿の端にある今にもテーブルに落ちそうなパンケーキをフォークで刺して、ミーレイちゃんの口元へ。

 ほれ、冷めるから食べなされ。口を開けてー…よし、食べた。



「美味しい?」

「………うん」

「ふふっ、良かった」


 ミーレイちゃんの目はハートマークだね。そんなに美味しいなら奢った甲斐があるよ。アスティちゃんは嬉しいよ。

 ナナリーちゃん。不器用な振りしても駄目だよ。ちゃんと食べられるのを私は知っている。甘えん坊さんですね。


 店員さん…期待した目でどうしたんですか? 食べさせて貰いたいんですか? 私のお皿は空ですからまた今度ですよ。それでも良い? じゃあ来週また来ますね…っという会話を目でした気がする。


 なんとかミーレイちゃんも、自分で食べる事が出来たみたい。良かった。美味しいよねぇ。


「あの、アレス君って何で顔を隠してるの?」

「学校では、地味に憧れているんだ」

「地味って…確かに…学校では凄く地味だったけれど…それだけ?」

「そうだけど?」



 上司の指示なんて言えないし、地味に憧れているのは本当だから。


「フラムちゃんは知ってるの? あの、アレス君の事」

「知っているよ。学校に行く前に知り合ったからね」

「そ、そうなんだ…」


 店員さん…他の女の子の話題は駄目よ? そんな視線を送っていないで、仕事して下さい…呼ばれていますよ。



 …そろそろ武器の修理終わってるかな。店員さんがこちらにやって来たので、伝票と銀貨四枚を渡す。パンケーキ代と紅茶代…お釣はチップです。


「じゃあ、用事があるから帰るね。紅茶を頼んでおいたからゆっくりしていってね」


「う、うん。ありがとう…ご馳走になっちゃって」


「一人は寂しかっただけだから気にしないで。二人と過ごせて楽しかったよ。じゃあ、また来週」


 手を振って『パンケーキのお店パンパン』を出る。店員さん、なんですか? あっ、手を振って欲しかったんですね。また来ます。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 お店から出て、大通りを少し歩き路地裏へ。武器屋に到着。武器屋の名前は『グンザレスのお店』…店長の兄弟ですかね? まぁ聞かない方が良いか。


「こんにちはー」

「おう、出来ているぞ」

「わぁ! ありがとうございます!」


 刃身を確認。勿論刃こぼれは無い、完璧…流石プロ。


「この魔石は自分で調達したのか?」

「はい! 頑張りました! でもそのせいで刃こぼれしちゃって…」


「凄いな、あいつが絶賛する訳だ。道具は使われる為にあるから気にするな。また何かあったら来い。サービスしてやる」

「ほんとですか! ありがとうございます!」


 やっぱり店長の知り合いは優しいな。


「アスティ、白銀獅子って魔物知ってるか?」

「いえ、知らないですねぇ。ランクはいくつなんですか?」

「ランクはSSだ。ラジャーナの奥地に居る。もし素材を手に入れたら、その竜剣よりも強い剣を打ってやる」

「白銀獅子…分かりました」


 SSランクの魔物…Sランクでギリギリだったから、まだ勝てない。


 自信が付いたら、挑戦してみようかな。




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