この席のガッカリ感が凄い
会場に到着。外からしか見れなかったから、中はどうなっているのかな。
ピンクのゲートをくぐって、観覧エリアへ。
…なんだろうこの会場は…円形闘技場にしては広い。スポーツ観戦用の会場かな? 区画というより施設。ぐるりと周囲が観覧席で、階段状に観客が座る形か…安くなると遠くなる…これまともに観れんのか?
「ピンクを多用し過ぎて悪趣味ね」
「うん、残念な感じ」
席は何処かなー。あっ、あそこだ…うわっ…
会場の真ん中に小屋が並んで建っていて、半個室みたいになっていた。これは…
観覧席からは見えないけれど、イベント参加者から丸見えだな。
宿の一室みたいになっている…ソファーやテーブル…なんだろう、丸見えだから恥ずかしいな。
「アレスティアー、ここ恥ずかしいですー」
「見せしめみたいね」
「檻に囚われた美少女達だね」
「「「ようこそいらっしゃいました」」」
おっ、メイドさんこんにちは。私達より年上の可愛い人達…三姉妹かな?
「よろしくどうも。アレスティアです」
「エーリンですー」
「ヘルトルーデよ」
私は白兜を外し、エーリンとヘルちゃんは地味眼鏡を解除。
すると、メイドさんは私達を見て驚き、ヘルちゃんを凝視…徐々に顔面蒼白になっていった。ほらっ、解る人は解るんだよ。
「こっ…これはヘルトルーデ様…」
「あっ、気にしないで。一般人として来ているから…誰かに言ったら駄目よ」
「「「はっ、はい!」」」
ヘルちゃんがニコリとウインクすると、メイドさん達が嬉しそう。私にもしてー…あっ、プイッてされちゃった。
三人掛けのソファーに座る。私が真ん中。
『さぁこれより婚活イベントを開催致します!』
観覧席から拍手が巻き起こる。
すると、会場に女子達がわらわら入って来た。参加人数は千人は居るな…会場に設置されたテーブルの数も凄い。年齢は十歳から二十五歳くらいかな。
我先にと目的のエリアに走っている…なんかごちゃごちゃしてんな。
「アレスティア様、モニターがあるのでこちらで御覧になれます」
おー、ここはモニター付きか。ありがとうメイドさん。可愛いからチップをあげよう。
聞くと観客は、参加者の家族が半分くらいらしい。だからこんなに多いのか。
続いて男性達が現れた。人数は…三百人。
少なく感じるけれど、多い方らしい。
こちらの年齢も十歳から二十歳…
そして、最後の一人が現れた時に黄色い歓声が上がった。
「きゃー! エイベルさまぁー!」「お会いしとうございましたー!」「格好良いー!」
どうやら一番人気の男性が来たらしい。
「あれは第三王子のエイベル様ですよ」
「ふーん。多分嫌々でも参加するんだろうなー、王族も大変だねー」
おぉー女子達二百人くらいエイベルって奴に群がっている。なんも見えねえ。
「この席が不人気なのは、何も見えないからかしらね」
「うっ…すみません。でも臨場感はあるので…」
「参加者になって立食パーリーだけ楽しんだら安く済むよね」
「くっ…確かに…そうですね」
「モニターも声聞こえませんよー」
「あぁ…それは言わないで下さい…」
メイドさんを苛めている訳じゃないよ。
改善の提案だよ。
という事で、折角会場内に居るから…
「歩き回って良い? 疲れたらここに集合で」
「一緒に回らないの?」
「それぞれ好みのドロドロを観覧するのが目的」
「なるほどー。好みは違いますからねー」
それぞれメイドさんが付いて、解説付きで回れるから楽しいだろう。メイドさんもノリノリだ。
よーし、行くかー。




