ナンパする側に回れば安全という事に気が付いたよ。
宿に到着した。
部屋はあったよ。
二人部屋。
仕方無いからエーリンと同じ部屋だな。まぁ寝る時は違うから良いけれど…
「外に出たくない」
「そうですねー。ナンパ野郎が徘徊していますからー」
「ナンパ野郎が居なければ……そうか、私が男になればエーリンとのカップルに見える訳か」
「男に? こんな女子女子しているのになれるんですかー?」
「なれるよ。ほれっ」
「おー! 男子になったー!」
地味眼鏡の男機能を作動。
どや。
エーリンは凄い凄いと跳ねている。そして私の胸をペタペタ触り…
「うぉぉ! 身体も男ー!」
違えよ。
無いだけだ。
ブッ飛ばすぞ。
まぁ…これで外に出られる。
エーリンと少し離れて宿から出た。
手は繋がない。折れるから。
「アレスティアー、機嫌直して下さーい」
「は? 機嫌なんて悪くなっていないし」
「それ、刺々しいんですよー。私のおっぱい揉んで良いですからー」
「あ? 自慢か? 嫌味か? 見下しか? 乳もぐぞ」
機嫌は普通だ。
至って普通だ。
普通に機嫌が悪いだけだ。
くそっ。やけ買いでもしてやる。
男になればナンパされない。
素晴らしきかな。
女子率十割の可愛い服屋を発見。婚活女子も多数居るな。
頼もー。
うおっ…めっちゃ見られる。
パチリとウインクして自分の服を探そう。
「エーリンも何か買ってあげるよ。その…巫女服だっけ? 目立つよ」
「目立っても大丈夫ですよー。でも寝間着が無いので欲しいです」
選べ選べ。私は白い服を大量購入。もう面倒だから白い服を極めるつもり。
「あっ、あの…王都の人ですか?」
「いや、違うよ」
ナンパの聖地だけれど、女子からも話し掛けるんだな。
「じゃ、じゃあ良かったら、一緒に観光しませんか?」
「うーん…連れが居るからごめんね」
すまぬな。私は女子なんだ。
因みにこのレイン王国は重婚が出来る。流石はナンパ王国。
帝国は上流階級のみ重婚可能。フーツー王国は重婚不可。国によって違う。
だから男性が既婚者なのに参加とか有り得るという…
まぁお国柄だし、それを解っている女子達だからね。
そんな事より買い物だ。
次は魔導具店へ。
「アレスティアー、転移ゲート買って下さーい」
「買える訳無いでしょ。諦めろ」
さて、何を買おうか。
……帝国の物の方が質が良いな。
わざわざ魔導具を買わなくても良いか……おっ? 新入荷?
魔導ブラジャー…だと…大きく見せられる魅惑のブラジャー……サイズ調整付きだから私にも使える……
欲しい…欲しいけれど、絶対に馬鹿にされる。
特に巨乳組にはそんな物いらないよ、と私の気持ちを無視してくる。
…私用じゃなくて、チロルちゃん用に買っておくか。
二個くらいあれば良いか…予備に…
「すみません、これ…二十個下さい」
「えっ…はい、かしこまりました」
あぁぁ…口が勝手に。仕方無い、買いすぎたから使ってあげよう。勿体無いからね!
…なんだよエーリン、こっち見んな。
魔導具店を出て、どうするか悩む。
婚活イベントまでまだ期間があるからなぁ。
暇なんだよなぁ…
仕方ない…時間を潰しを探すか…とりあえず王都を回ろう…
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「エーリン、お小遣いあげるから五日間自由行動ね」
「えー! もっと一緒に観光しましょうよー!」
「観光名所大したもの無いじゃん。それに婚活イベントが観光だよ」
王都は二日で回り切った。
もう暇人なんだよ。
魔物でも倒しててよ。
「やーだー! 一緒に居たいでーす!」
「わがまま言うな」
「じゃあ王都から出て観光しましょー!」
「何があんのさ」
「迷宮ですよー!」
「ん? 迷宮があるの?」
迷宮は魔物が徘徊する迷路のような場所。洞窟型や屋敷型、森型等様々で、最奥にはお宝が眠っている場合が多い。
迷宮の中はこの世界の理とは違うから、次元の狭間とも言われている場所……気になる気になる。
昨日エーリンが買った地図を眺める。
王都から西に十キロの地点に迷宮…あれ? ここって…
エライザの地図と照らし合わせる。
……邪霊樹がある場所だ。
…何か関係があるのかな?
「エーリン…行くか」
「はいー!」
準備はもう出来ているから、早速行こうか!




