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魔界の神様

 

 ポキッ。

 ポキッ。

 宿の部屋を取って、力加減の練習。

 もちろん部屋は二つ取ってある。

 ポキッ。

 ポキッ。


「エーリン、真面目にやってよ」

「真面目…ですー」


 練習として、手のマッサージを頼んでみた。

 凄いね、骨をバキバキに解してくれる。


 痛いな。痛いけれど、慣れてしまったからなぁ…人としてどうかと思うけれど、慣れる必要があるから仕方無いか。

 それよりも、今汗だくで力を調整しているエーリンだな。


 赤鬼族を人間の国で見ない理由が解るな…

 力の土台が違うから、日常生活に支障が出る。

 迫害されるから、生きにくいよなぁ…


「…今日はこのくらいにしようか。…ところで、帽子って取らないの?」

「あー、あの…私…」


「鬼人族でしょ? 別に隠さなくて良いよ。追い出したりしないから」

「…解っていて、一緒に居てくれたんですか?」


 はっとした顔で私を見詰める赤い瞳が、少し潤んでいる。きっと立ち寄った人間の町で心無い事でも言われたのかな。


「まぁね。あっ、抱き付かないでね。骨折れるから」

「えっ…ありがとーございます」


 腕を広げて私に踏み込もうとしていたから、危なかった。抱き付かれたらバキバキだからね。

 エーリンが帽子を取ると、頭の天辺に赤い角。綺麗な円錐形…近くで見たいな。


「近くで視ても良い?」

「えっ、恥ずかしーですよー」


 両手で顔を覆って、少し頭を下げてくれた。

 ……ほうほう。この角が魔力や力の増幅を行っているのか。恐らく…エルドラドでは角が折れたら死も同然…弱者に成り下がる。


「触って良い?」

「あっ、それは駄目です。家族以外は触っちゃ駄目なんでー」


 それは残念。命と同等に大事なものだから、家族もしくは恋人のみ触れるのか……残念。


「この角を封印したら人間の中で生活出来るよ」

「封印? そんなの駄目です。鬼人族の誇りを封印したら、魔界の神様に顔向け出来ません」


「そっか。じゃあ自力で頑張ってね。魔界の神って?」

「はいー、私達鬼人族は魔界が故郷と言われています。なので、故郷の神様を奉っているんですよー」


 じゃあエルドラドの一部はアラステア様を信仰していないという事か。魔界の神…ねぇ。


「魔界って、どうやって行けるの?」

「魔界へは、魔界へ繋がる霊木が世界各地にありまして、そこから行けるという話ですー。エルドラドにもありましたが、力を失っているみたいで行けないらしいですー」


「……この木?」


 邪霊樹の枝を出すと、うえっ! という顔をしながら仰け反った。


「なななななんて事をしているですかー! 傷付けたら災いが起こるんですよー!」

「起きなかったよ。魔界って裏世界の事なんだね」


「裏世界? 知っているんですかー?」

「まぁね。因みに魔界の神って何ていう名前?」


「後で教えて下さいねー。えーっと、魔界には破壊、混沌、邪悪の三柱の神様が居るんですが、破壊神ルナリード様、混沌神カーナンミイラ様、邪神セッテンシュゼツ様ですー」


 ……なんだろう…この感じ…

 邪神キリエじゃないのか……

 ルゼルやロンドは神様じゃないのかな。


「裏世界の王って知っている?」

「王? 知らないですねー。魔界に国があったら王が居るかもですけれどー」


 まぁ、そりゃそうか。

 でも、裏の神達よりルゼルの方が立場が上っぽいんだよなぁ…

 今度会ったら聞いてみよう。


「じゃあ、眠いから寝るね。おやすみー」

「えー! もっとお話したいですー!」


「夜は駄目なの。朝に会おうね」


 夜は駄目なんだよ。エーリンに構っていられる余裕は無いんだ。予約待ちだからね。今日はクーちゃん…あっ、エルドラドについて聞いてみよう。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 部屋に転移ゲートを設置して、扉を潜る。

 直ぐに私の部屋へ到着。便利だ。


「クーちゃん、ただいま」

「レティ…会いたかったです。……ん? 鬼臭い」


「赤鬼族の女子に会ったんだよ」

「赤鬼…危険です。帰っちゃ駄目です」


 クーちゃんがグリグリと頭を私に擦り付けている。よしよし。


「エルドラドについて詳しく教えて」

「鬼女に興味ありです?」


「エルドラドに興味あり、かな。魔界を信仰しているみたいだし」

「……角触ったです?」


「触っていないよ」


 不機嫌なクーちゃんも可愛いな。

 エルメシアとエルドラドは仲悪い?

 詳しく聞こうじゃないか。

 色々シながら。



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