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大会の人も大変だなぁ。

 

 お腹が空いたので、パンパンへ。

 ヘルちゃんなんてかなりお腹が空いている。私のせいで胃の中が空っぽだから。


 うわ……凄い行列。

 何時間待ちなんだろう……裏から入るか。

 裏に回って裏口から入った。


 休憩中の店員さん達に挨拶をして、キッチンを覗く。

 こんにちはー。

 ランチセットを二つを銅貨二枚…二千ゴルドで頼んだ。


 直ぐに作ってくれたので、休憩中の店員さん達に紛れてご飯を食べる。お邪魔しまーす。


「今、何がパンパンで流行っているの?」

「今はアクセサリー作りですよー」


 えっ、私もやりたい。

 ビーズアクセサリーや、羽根飾り、ネックレス等様々……素材屋さんで材料を買って、夜にみんなで作っているのか…


「ヘルちゃん、一緒に作ろう!」

「ええ、良いけれど…みんなアスティと一緒に作りたいと思うわよ」


 ウンウンと店員さん達が頷いている。

 後ろを振り向くと、他の店員さん達も頷いている…仕事しなさい。


 金具や紐、工具を買わなきゃ。素材はある程度はあるけれど……一度作り始めると拘ってしまうからなぁ…

 準備を済ませたらやろう。

 みんなの分を作りたいし。

 ヘルちゃんは雷魔獣の素材、フラムちゃんは火食鳥の素材、ミーレイちゃんとチロルちゃん用の素材が無いなぁ…探すか。後は店員さん達の分もか……


「まだ準備したい物が多いから、とりあえずグンザレスさんの所に行こうか」

「ええ、そうね」


 夕方まで過ごして、武器屋へ行ってみる。

 大通りの武器屋も、他の武器屋もいつもより人が多い。

 闘技大会が近いから、みんな武器を買いに来ているのかな?


 到着してみると、準備中の看板が立て掛けられていた。

 ノックをして入ってみるとまだ一人男性のお客さんが居る様子で、グンザレスさんと話している。

 店内を見渡すと、ほとんど武器が無い。大盛況だったんだね。


「お願いします! そこをなんとか!」

「無い。帰れ」


 武器を探しに来た人かな?

 グンザレスさんが、私達をチラリと見て親指を後ろに差す。中に入っていろって事かな。


 お邪魔しまーす。カウンターを潜り抜けて、奥にある休憩室らしき場所に到着。うーん…汚い…つまみばっか食べて、栄養偏るよ。


「ちょっと掃除しよっか」

「ええ、ここに座るのは無理よね」


 家具はグンザレスさんが自分で作ったであろう出来が素晴らしい。だからこそ、この汚さは勿体無いなぁ……よし! お世話になっているから掃除だ掃除!


 とりあえず食べ掛けの物を片付けて……

 散乱している紙を纏めて机を整頓。…これいつの伝票さ。ちゃんと整理しないと商業組合がうるさいぞ。

 本は本棚へ、食器は台所……台所……台所はどれだ……あるのは解る…解るけれど、どれが台所か解らない……ここも掃除か……


 あっ、ヘルちゃんがダウン。おっさんの部屋を掃除って、皇女は中々経験出来ない事だよね……

 埃で眼鏡が白くなるとか辛い。

 帰ったら即刻シャワーだな。


 ……まぁ、なんとか軽く掃除は出来た。

 まだまだ汚いけれど、また今度にしよう。


 あのお客さんはまだ居るのかな?

 あっ、まだ居るよ。何をそんなに粘っているのかね?


「お店の奥に隠しているんじゃないですか?」

「もう引き渡した。無いぞ」


「あっ、君! 白銀獅子の剣を知らないかい!? ここにあるって聞いたんだよ」


 あー、なるほど。噂を聞き付けたんだね。確かシエラが事情聴取で話していたらしいから、そこら辺で情報が回ったのかな。

 ふっ、一足遅かったな。もう私の収納にあるから渡さんよ。


「知りませんよ」


 白銀獅子の剣は無いよ。

 あるのは雪華だよ。


「えー! 本当に無いのかぁ……あー…どうしよう…あの! 引き取った人を教えて下さい!」

「他を当たれ。信頼に関わる事は出来ない…今すぐ帰らねえと騎士団呼ぶぞ」


「……ぅっ…はぁ…解りました…」


 グンザレスさんの威圧に、男性は諦めたのかトボトボお店を出て行った。

 何か理由があるのかな。


「グンザレスさん、あの人どうしたんですか?」

「あぁ…闘技大会の景品集めをしているらしいんだが、目玉景品が無いみたいでな。色々な所を駆けずり回っているんだってよ」


「ふーん。お金じゃ駄目なんですか?」

「大会上位者は金に困ってねえ。それこそ、珍しい物や強い武器を求める」


 もう一ヶ月を切っているのに、大変だなぁ。

 商業都市なら珍しい物くらい沢山ありそうだけれど…


「SSランクの素材ってそんなに貴重なんです?」

「そりゃあな。剣聖クラスの強さを持った奴じゃねえと倒せないし、数十人規模で戦えばなんとかなるが被害が多すぎるのと、素材がボロボロになるから割に合わねえ。だから一年に一回素材が出回れば良い方さ」


 ほうほう。じゃあ雷魔獣の素材はあの男性が喉から手が出るくらい欲しいんだね。でも素材はほとんど使う予定だからすまんね。余ったら考えよう。



「あっ、部屋汚かったんで軽く掃除しておきましたよ」

「……あっ…悪い。女房が出張に行っていてな」


 だからと言って家事くらいしなされよ。あれ見たら怒られるレベルじゃあ無いよ。

 奥さんどんな人? …元A級冒険者。凄い人なんですね。

 息子さんは商業都市に居るのか。


「じゃあ素材見ます?」

「おう! 裏に来てくれ!」


 急に元気になったな。

 裏は工房になっていて、広いスペースがある。

 その広いスペースに先ずは三メートルを超える片腕をポンッと出した。


「……サンダーホークじゃねえのか?」

「はい、雷魔獣っていう奴らしいですよ」


「……まさか……そいつは、雷を落とすデカイ狼男か?」

「おっ、よく解りましたね。そんな感じです」


「雷牙王じゃねえか! まじかよ!」


 雷牙王って格好良い名前だな。


「有名なんですか?」

「あぁ…先代剣聖が勝てなかった奴だ……ははははっ! 凄えよアスティ!」


 もっと褒めて下さい。

 私自身成長しているからね。あと雪華の斬れ味のお蔭。

 リックが炎と雷で、先代も似たような属性なら勝てないか。


「剣は何本出来ますかね?」

「このサイズなら恐らく…片腕で二本。脚は槍や斧の方が良さそうか…試しにやるか。少なくとも五本は作れるぞ!」


「じゃあ剣は五本お願いします。 追加で混ぜる素材は渡しますので、一本ずつ話し合って作りましょう」

「おっ、良いね良いね! 腕が鳴るぜ!」


 素材は安全の為に少しずつ渡す事にした。

 あの男性みたいな人が聞き付けたらうるさいから。

 先ずはヘルちゃん用の剣を一本試しに作ってくれる。


「ヘルちゃん、楽しみだね」

「ふふっ、そうね。あなたを誇りに思うわ」


 槍って言っていたな…ルルは槍を使っていたし、使い方は解る。

 キリエの記憶でルルの技も一応視たから…少し挑戦してみようかな。

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