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モノクロームの破壊者  作者: masato
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出会い

初めまして、masatoと申します。

衝動的に書き始めた、初めての小説になります。囲碁をきっかけに始まる一風変わった高校生たちの日々の物語、拙い文章ですが、もし読んでいただければこの上なく嬉しいです。

凪川アキは、迷わなかった。俺が築き上げてきたもの、思い描いた未来に続く芽。彼女の手は、大切なそれらを一片の躊躇もなく壊し、焼き尽くしていった。絶望に沈む俺を見据えるその顔に、表情はなかった。荒神と見紛うかのごとき、慈悲なき破壊を行いながら、その顔には歓喜の色も、哀れみの色もなく。


 生きていれば、当たり前に呼吸をし、食事をし、眠る。その延長にある、ただの生物としての営みを、いつものように行っただけかのように。

 彼女は無表情だった。そう、強者が弱者を蹂躙するという、この世界の当たり前の摂理。

 またひとつ、それが起こっただけ。なんの不思議もなければ、いちいち感情を伴って受けとめるようなことではない。()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 凪川アキは、また、俺を見た。何かを問いかけるように。いや、わかりきった答えを急かすように。

 そう、わかりきっていた。()()を、口にするべき時がきたということは。いままでに何千回と口にしてきた、そして、何度口にすれど体が慣れることはなく、心の底からの苦い響きを連れて、ようやく音の形になって声帯を震わせる、その言葉を。

 

 「負けました」


 何千回と聴き慣れた、その()を確認した凪川アキは、自らの手で蹂躙し尽くした直後の生々しい痕跡を、滑らかな手つきで片付けていく。夕焼けの赤色が射しこむ木造りの部室に静かに響く、碁石の音と共に。やはり、表情は無い。

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