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魔法使いとヴァンパイア  作者: 桃月姫
一章 
12/16

11 出会いというのは

――薄っすら目を開くと、何処か見慣れた景色が視界に入り込んできた。

真っ白な天井、少し古びた何処か懐かしい香り。

ここは、俺の指定されたギルドの仮部屋だろうか。


「ッ……ヅキッ……ハヅキッ!!」


その声で、俺は完全に目が覚めた。

左手には温かく柔らかい感触がする、誰かに握ってもらっているようであった。

俺の名前を連呼してたのはアリスだと声で判断した。

手の温もりの主が知りたくて、俺はゆっくりと顔を上げる。


――側で手を握ってくれてたのは、あの時の少女あった。

頬を赤らめ、俺を落ち着かせるように少女は微笑む。


うっ……やばい、この表情は愛くるしい……。

どこか独り占めしたくなるようなもどかしさに俺は襲われた。

次第に体温が上がっていく……毎度の事だがこれは一体なんなのだ……。



考えてると突然、右手側からアリスが俺に飛びついて来た。


――我に返った。あるいみ、危ないところだった。一人で瞑想入りしそうだった。いや、してた。

止めてくれたアリスに心の中で、そっと感謝をした。


「……ハヅキッ!身体は大丈夫なの?もう平気なの?」


アリスは抱きつきながら、目に涙を浮かべ、こちらを見つめる。

いらぬ心配をかけたらしく、アリスには少し申し訳ないと思った。


にしても二個したのロリっ子だからか、一ミリとてドキドキはしない。

飛びつかれたときは驚いたけど流石になぁ。


「大丈夫。気を失ったときのことはあんまり覚てないんだけど、多分へーきさ。この通り話せるし」


そう明るく振る舞って、彼女を安心させる。


「……っ良かった……!シュリさんがあんなめに遭って、ハヅキもそうなる可能性があって……不安で不安で……堪らなかった」


ハヅキの意識が暫く無かったからなのか、珍しくアリスの方から正直に話してくれた。


「今日は素直だな。」


「べ、べべ、別に?!そ、そんなことないっ……!」


そう言ってプイッと口を尖らせる。

浮かべた涙を引っ込め、少し恥ずかしそうにムッとあさっての方向を向いている。

何気のないやりとり……戦いの後だからだろうか。

俺にはそれすらもなんだか幸せだな、と思えたのだった。



――数分後


「っと、コユキさんも、ハヅキを助けてくれてありがとう!」


会話初参戦、フルールが茶髪の少女に向かってそう礼を言う。


「い、いえっ!!あ、あたしは別に……偶然、彼のところに鉢合わせただけで……!」


………ん?あれ?いま“コユキさん”っていったような………?

何処かで聞いたことあるような……。


「わ、私もコユキちゃんとは仲良くしたいなぁ。一緒のパーティーだし………?」


初対面だからか、少し照れ臭そうにそう呟く。

やはりアリスもコユキという固有名詞を言っている――?

というか一緒のパーティー………あの優女と……?


そこで気付いた、目の前にいる茶髪の少女こそが――あの男性職員の言うコユキちゃんだと。


「アリシアさんおおきに!うむ……自己紹介したほうが良さ気かな?」



「是非」


コユキと呼ばれる少女は、微笑みながらアリスに返事をする。

アリスに関してはアリシアじゃなくてアリスってよんでよー!とひとり口答えをしていた。

そうふてくされるアリスをみてフルールはクスクス、と笑っている。

俺は改めて思った――やっぱ平凡っていいなぁ。


もちろん、質問には俺が誰よりも早く即答した。

そして一文字も逃すあるまいと、俺は彼女に耳を傾ける。


「私の名前は……冬降粉雪(ふゆおりこゆき)。職業はアークウィザード。コユキって、馴染みのある呼び捨てでお願いしたいなっ」


メンバー二人に、居合わせたコノハや王都援軍の者は歓声と拍手で、彼女を出迎えた。

ただ一人、ベッドの上に座りながら、ソウマハヅキはその笑顔に心を締め付けられポカンとしているのだった。



           ★★★


――数時間前


「――ハリケーンッ!」


真っ暗だった脳裏に、眩しい光がさす。

微かに聞こえたその声で何が起きたのかは察した。

……さっきの少年が、“あの技”を使っていた。

あれは次期勇者候補にしか……あの技は………伝説の………あの人との約束の……!


目を開くと、少年が伝説の双剣を手にし強敵に刃を入れていた。

それも、ずっと宙に浮いた状態で――

そんな状態を可能にする職業なんて、限られている。

他の職業なら飛ぶことは出来ても、すぐ地面に降りることになる。

宙を自由に行動出来る職業なんて数えるほどしかない。

……魔法使い、精霊使い――そしてヴァンパイア。


「っんと……っい……!」


彼の元へ行こうとしたが思うように身体が動かない。

まさか、彼にこんなところで逢うなんて……思ってもいなかった。

来てるかもとは考えていたがまさか本当に逢うなんて……。


「これ、お前のだろう?」


ふと、後ろから懐かしい声が聞こえた。

彼はそういいながらコユキに桃色の十字架――ロザリオを渡す。

彼女にとって、ロザリオがどんなに大切なものなのか、コノハは知っていた。

なにせ幼少期からの仲……つまりは幼馴染というやつだ。

コユキはロザリオをギュッと握りしめて返答。


「っ……!コノハ(にい)ありがと……」


そうしてるや否や、光は広がり辺り一帯を包む。

やがて、光や大双剣は(おろ)かレッドポイズンや手下達もが消え去った。

その場には喜びや安堵の間もなく……依然、危機としている。

意識が無いのか、ハヅキが頭からゆっくりと地面に落ちていく。

それはとても危険な状態といっていいだろう。


・・・

あのままだと死んじゃう!

気を失ってるってことはまだあの力をコントロールしきれていないんだ……!

助けなきゃ、いますぐ助けなきゃいけないんだ……!

あの人が、私の運命の………とにかく、私が行かなきゃ……!


「ハヅキくん……!」


刹那、コユキのロザリオが桃色に輝き、傷ついた彼女の身体に自由を与える。

コユキはコノハやロザリオのことを気にする間もなく、起き上がったと思えば即座に彼の元へと駆け出す。

ゆっくりと地面に落ちてくる彼を静かに受け止め、コユキの腕の中で休ませる。


「コユキ!……ハヅキくんは?」


次いでコノハも急ぎ追いかける。

その場は先程の戦いの余韻に浸るかのように、うっすらと金色の光を頭上に漂わせていた。

また、コユキ達のもとは桃色の光で輝いていた。


「意識が無いみたい……初めて神具を使ったんだもん、無理もないよね。でも大丈夫。暫くこうしていれば、きっと――」


コユキは自分のロザリオとハヅキの“髪飾り”として装備されてるロザリオと合わせていた。

ロザリオは淡い桃色に発光し、その光はコユキたちを優しく包み込む。


「えっと、コノハ(にい)にはプラチナレッドの回収を頼みたいんやけど……」


コユキはその光景を呆然と目の当たりにしているコノハにそっと問う。


「あぁもちろんだ。探索中の援軍の方も呼んで、ハヅキくんや君をテレポートでギルド本部に送ってもらおう。」


返答したコノハはプラチナレッドの側に駆け寄る。

赤く光るその宝石は、コノハの持参した岩石の箱へと彼により姿を隠す。

プラチナレッドは無事とのことでコユキは安堵。

コノハは近くにいる援軍を連れてくるとのことで、箱を抱えてその場を去った。


「ハヅキ……もう、心配ないよ。これから、一緒に頑張ろね」


コユキはそっと声を掛けながら彼の頭を撫でる。

それはまるで子守をする母のようだと、誰もがそう言うであろう光景だった。

やがてスゥー、と寝息をたてる彼をコユキは見てホッとする。


そして数分後、コノハと援軍によりギルドへと送られた。

駆けつけた彼の仲間と共に――

最近投稿速度が遅めです〜

これからは週に何度かの投稿になりそうです

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