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魔法使いとヴァンパイア  作者: 桃月姫
一章 
10/16

9  たたかい

いつもより長めです

訂正しました!!ごめんなさい!!

……!

俺達はやっとの思いで洞窟に辿り着いた。

“俺達”といっても後方の者はまだ来てはいない。

一部、来る途中に全滅した小隊もあるのだ。


「ハヅキ!向こうにちっさいレッドポイズンの集団いるで!」


「なんだよちっさいレッドポイズンって!使い魔ポイズンでいいじゃねえの!」


第二小隊のメンバーから声が上がった。すぐさま戦闘態勢に入り、シェルブレードで貝殻を投げつけ始めた。

使い魔ポイズンは怯みながら攻撃を拒否をした。


「いだぃっっ!!ちょ、ちょっとまてぃ!攻撃とめろっ、とめてくれぃ!」


目の前にいる使い魔ポイズンたちは完全武装で戦闘態勢の俺達に話で割って入ろうとする。

何が狙いなんだ。でもとある聞きたいこと聞けるかもしれない、と思い始めた。


「なんだよ。俺らはお前らを倒す義務があるんだって」


「そうそう、だから片付けさせてもらうで」


そういって第二小隊の者により戦いが始まると思いきや、焦らしというやつであろうか。

『電気ショック』や『手裏剣』といった初級魔法をつかっててきのあちこちを痛めつける。


「ぃだっ!やめ、やめろぉ!っていってんだろぅ!!おまぃらは話し合いのぉ一つも出来ないのかぁ!!」


なに、なんなのこいつら。めっちゃ口が動くんですけど。頭も働いてんですけど。知的モンスターとか初耳難ですけど!

ちょっと鬱陶しいし話し方腹立つ。聞きたいこと兼ねて俺のストレス発散の役目を果たしてもらおう。


「てかお前らなんなの?魔王軍の生き残りが魔黒軍(まこくぐん)なんじゃないの?面倒くさいことなってるじゃん!いちいちお前らの設定細かくてめんどくさいんだけども!」 


ハヅキは怒り気味に奴らに質問のマシンガンを浴びせてみる。さぁて、どうなることやら。


「いーやいやいやいやぁ、何事も賛否両論あるのがぁ普通じゃあない?魔王軍とて全会一致(ぜんかいいっち)なんてとてもむりだぃ!魔黒軍推奨派(まこくぐんすいしょうは)とその他の生き残りでぱっかーんってさぁ、まぁ単純に新しい王と前の王どっちにつくかでねぇ。魔黒なんちゃらって名乗るやつらとは政治的にぃお別れしたんだよぅ。」


てかこの使い魔の奴、全会一致とかよう知ってんな。

こいつら魔王軍生き残り組っていうのは知的生命体なのかっ!

……だとしたら魔黒の奴らも知的な可能性が高いのか?


「お、おう。そっちもなんか大変だったんだな、お疲

れさん……?」


「で、話し合いって何だよ。」


二班の一人が呆れて奴らに問う。

うむ、たしかになんの話し合いがしたいんだ?こいつらは。

奴らの言い分を聞いてみようじゃないか、どのみち倒すけども。


「実はおぃらたちもなぁ、仕事できてんだあ。魔王軍の生き残りでそれぞれしっかり綺麗な石をまもってんだぁ。魔黒なんちゃらっていうやつらに渡したくねぇし、あいつらとは昔にぱっかーんてお別れしたから狙ってきたらもう敵だしなぁ。もちろんおまぃらにも渡さねぇけどな?おまぃらが見逃してくりゃあ命の保証はぁしてやるぜぃ?」


どう?どう?これならいいでしょ?結構話してやったんだし、魔黒軍倒すなら仲間同然でしょ?とでもいいげな少しあやふやな表情を浮かべ、交渉の返答を待っている。


使い魔ポイズンの一部ではコイツなにベラベラ喋りやがってんだという表情の者もいれば、うんうんと頷く者もいた。


情報ベラベラ喋る辺りこの使い魔ポイズンは知的だけど馬鹿なのか、と思える。


「なるほど。わかった……小隊一班、二班出動!」


「えっ、えあ、え?!」


使い魔ポイズンたちはえ、だめなの?とばかりに慌てている。

情報話せば交渉が成立すると思ったのか、後悔気味にこちらを睨み、今更ながら戦闘態勢に入ろうとする


「お前ら自爆、ありがとな〜!『ライトニング』っ!」


「『メガライトニング』っ!」


刹那、交渉をしてきた使い魔ポイズンは雷に包まれ、それにより電磁波が生ずる。

奴の近くにいた他の使い魔ポイズンまで電磁波は広がり、敵側一帯は電気に包まれる。

それらは青白い電磁波を光らせ、最後にはボフッと硝煙をあげ消滅。


そう援軍の各小隊の魔法使い職により、その場にいた使い魔ポイズンは葬りさられた。


引き続き、俺達は洞窟の奥へと進む―


          ★★★


その時、フルール達はハヅキのもとに向かう準備を進めていた。


「ね、念の為!潜伏スキル発動させとく……」


少し恥ずかしそうに頬を赤らめ、アリスが言った。

二人分のスキルを発動し、まだ何な言いたげな顔をする。

すっかり立ち直り、やる気はあるがやはりさきほどの醜態(しゅうたい)は恥ずかしいのであろう。


「……あとこれ、さっきフリルにたのんでつけてもらった。い、位置情報のレーダー……ハヅキくん、の」


アリスは本気を出せば下準備からしっかりとやるやつなのだ。

両者ともに武装は完璧、いつここを出ても大丈夫であろう。


「色々助かるよ、ありがとう。……それじゃ、行こう!アリス!」


フルールは彼女なりの頑張りに感謝をし、それを有意義に使えるよう考える。

ハヅキの位置情報を確認し、そこまで最短で安全にどう行けば良いのか―

まぁ、潜伏スキルがあるから大丈夫だとは思うが。


そうしてハヅキ()を追いかけるように、彼の仲間二人は蛍鏡国(けいきょうこく)の遺跡へと


―今、旅立った。


          ★★★


その頃、ハヅキは絶体絶命の危機に至っていた。

小隊がそれぞれの持ち場に移動し、一人で辺りを探索していると洞窟内で怪しげな扉を発見。

いかにもここにプラチナレッド隠してます、と言うように扉の隙間からは淡く赤い光が漏れている。


毎度の戦いでは返り討ちとして全身所々に傷を負い、目の前には数十体の敵がいる。

―“ボス前の”使い魔ポイズンというやつだろうか。

それに、幾度と戦闘が重なったからか、いまの体力で持ちそうにない。


「おぃおぃ、冒険者さんよぉ。おまぃら、あのキラキラしてる石がほしぃんだろう?」


「諦めといたほうがいいぞぉ?うちの親方は激強ですしぃ?その身体で勝てるわけないしぃ?」


奴らはそう俺を挑発してくる。

もしかしたら今なら逃げても生かしてくれるかもしれない。

だが、それは許されない。コノハといくつか約束したのだ。

前線に立ち援軍の指示をすると。

蛍鏡国の遺跡にある七星、プラチナレッドを回収すると。

だから俺は奴らに宣言してやったのだ。


「っ、誰がお前らなんかに逃してもらうってんだ。俺は必ずやプラチナレッドを取り返す。それだけだ。」


「なぁんだよ。せっかく見逃してやろうと思ったのにぃ。その気が無いならとっとと失せろぉおおお!」


こちらの返答が気に食わないのであろう。奴らは狂気となってこちらに矢の尖端を向けている。


「汝、我が……」


挑発に乗ってたまるか。そうして俺はヴァンパイアの最強魔法の詠唱を始める。


「おいおまぃら!あいつなんか呟ぃてやがるぜ。」

「ひ、光ってるよぅ?よけて、よけて!」


奴らは慌てているようだ、よし!これなら今の状況でも切り抜けられる!

そう、確信した―


「『メガファイアフォグ』ッ!」


―魔法を唱えた。詠唱もしっかり唱えたはずだ。

だが、詠唱中に漂った淡い光はすっかり消え、体が軽くなった感覚を覚える。少し、目眩もする。


「……あれ?なんで発動しな……っ!」


あ、これってまさか……

我ながら察した。一切考えてなかった最悪の事態を。


「なぁんだ!魔力切れかぁ!……いいぞ、おまぃら!あいつを蹴散らしちゃぃな!」


今度こそ、本気でマズイ事になった。

本当にどうしよう、魔力切れのことなど一切考えて居なかった。

やばいやばいまじでやばい。

アレを使うときなのか?いやでも下っ端の段階で使う訳にはいかない……。


「よし、蹴散すぞぉ!喰らえぃ!『ポイズンシャワ…」


「『アイシクルハリケーン』っ!」


奴らを遮るように、どこからか聞こえた魔法を唱える声。

刹那、ハヅキの視界に入ったのは氷漬けされた使い魔ポイズン。

今度こそ終わりだ、そう思ったときの事だった。

目の前に魔法使いの少女、いや、大魔法使いの少女が現れた。

二つ結びの淡い茶髪に桃色の目を光らせるその少女は、急に現れたと思いきやハヅキを助けたのだ。


「“壊”!」


少女のその一言で、大魔法を食らわされた使い魔ポイズンは跡形もなく消え去った。

その少女はこちらへと足を運び、ハヅキの前に立ち止まる。


「もう大丈夫なはず。怪我は……ないかな?」


ハヅキを安心させるように微笑み、優しくその言葉を放ったのだった。


―何処か訛りのある柔かい声と微笑ましい笑顔。

このとき、ハヅキは少女を見る自分の頬が次第に熱くなるのを感じた。


「う、うん。大丈夫、あ、ありがとな!」


クスクス、と笑顔でこちらを見つめる少女をみると、慌てて返答した自分を少し恥ずかしく思う。


「それじゃ、進もかっ」


そういいながら少女は笑顔でこちらに手招きをする。

この訛り、日本で言う関西弁のような……それはまぁいいか。


それにしても何だろう、この気持ちは。

その少女を見ていると心の何処かがキュッと締まり、緊張のせいか鼓動が速くなり、戻ろうとしない。

でも何処か心地良くて、悪い気はしない。


―これは一体、なんなのだ。

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