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雨垂れは

作者: 綾瀬数馬

 彼は雨の日が好きだと言っていたけれど、私は雨の日が嫌いだ。


 彼は喧騒を和らげる雨音が好きだと言っていたけれど、私はすべての音を掻き消す雨音が嫌いだ。


 彼は雨が描く風景が神秘的だから好きだと言っていたけれど、私は雨が描く風景は現実味がないから嫌いだ。


 彼は雨によって命が芽吹くから好きだと言っていたが、私は雨によって命が汚されるから嫌いだ。


 彼は汚れが流れるから雨が好きだと言っていたけれど、私は感情ごと流されていくような気がして雨が嫌いだ。


 彼は足元を滑らせて泥まみれになった私が可愛らしくて好きだと言っていたけれど、足元を滑らせて血まみれになった彼を見るのが辛くて嫌いだ。


 転ぶのはいつも君のほうなのに。


 雨垂れが綺麗だと言って外へ出る君。


 嫌な言葉が脳裏によぎるも黙ってついて行った私。


 伝う涙が雨に紛れて流れていく。


 今日は君が雨に連れて行かれてしまった日。


 こんな日に限って雨が降るとは、なんて君は憎らしい。




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