15.水無月に双子の片割れは気づき歌に恋をする
今回は双子のお兄ちゃんのお話。
歌ちゃんは何故か前から僕達のことを見分けがつかないフリをしていた。
僕は麻琴で、弟の麻織はいっつも僕のことを嫌ってた。多分やろうと思ったことを僕もやろうとしたからかもしれないけど両親はそれを双子特有の何かだととてもうれしそうにしていた。
そんなとき歌ちゃんがやってきた。学年主席なのにお嬢様じゃなくて特待生。で、青スカ。珍しいと思って見に行ってみればみんなが騒ぐほどの顔でもなかった。言ったら多分中の中、ぐらいだと思う。
そんな歌ちゃんはいっつも僕達を避けていた。たぶん何か言われると思ってるのかもしれない。僕たちは顔が良い。それはみんなの目線で分かる。それに声も一緒だしもう多分どっちがどっちでもいいと思ってるんだと思うくらいにきれいにファン?の数も分かれていた。
お菓子だって同じようなお菓子ばっかり僕はどっちかって言うと甘いお菓子よりさっぱりしたお菓子の方は好き、だからお菓子だって家では別のをこっそり食べてる。なのに麻織はまだ気づかない。多分気づいているんだとは思うけど、気づいていない振りをしたいんだろうなと思った。
でもある僕たち二人が歌ちゃんの所に行くと歌ちゃんは満面の笑みで「自信作、いる?」と聞いてきた。
「なにこれ」
僕が言うと歌ちゃんはにっこり笑顔で食べて見ろよ、と言った。僕は黙って一粒食べた。甘い、甘すぎる。僕が麻織を見ると麻織は眉間にしわを寄せていた。
「どう?」
歌ちゃんは可笑しいように笑った。
「甘い」
「酸っぱい」
「だろうね」
初めて同時にいった言葉が違うように思った、僕は何で?と思いながら自信満々に言った歌ちゃんをみた。
「じゃ、袋交換して食べて?」
そう言われて麻織が持っている袋の飴を食べるとと程良い酸味とあまさがくちにひろがった。
「「美味しい」」
僕が言えば同じように僕の持っていた袋のを食べた麻織と声がかぶった。
「だろうね」
また同じことを言う歌ちゃんに僕は聞いた。
「君たち地味に味覚が違うから配合に困った。ま、でも喜んでくれるならいいわ
歌ちゃんは僕の抱えてた思いをいつの間にかくみ取って僕好みの味を作ってくれた。
「歌ちゃん、」
僕が声をかけると歌ちゃんはにやりと笑った。
「違い見つけたならさっさと兄弟喧嘩やめて仕事してください、私に仕事が回ってくるんですから。」
そう言いながら自分の席に座る歌ちゃんに僕は目を見開いた。そこまで分かったんだと。麻織は機嫌を直してさっさと仕事に励んでいた。僕も急いで仕事に戻った。
これが今年の4月のこと、僕はその時はあと一年の間ずっと見分けてくれる歌ちゃんと仕事をするんだと思ってた。
僕らの学校は大体一年間同じ人が生徒会を引っ張る。だからあと1年は一緒に出来るんだと思ってた、なのに4月の頃から歌ちゃんはいつもいつも辞めたい辞めたいと言っていた。それを五月まで延ばすと宣言していたのに。だからずっと一緒だと思ってたのに。
変な転校生が来てから僕達はその転校生に夢中になった。
「あ、麻琴くん!麻織くん!こんにちは!」
元気な女の子が僕たちに話しかけてきた。僕はそのこの目に吸い込まれそうな気持ちになった。
「こんにちは、君は?」
麻織が聞くとえっとね、と麻織君達を見かけたからつい話しかけちゃったと笑った。
あ、五月の転校生ってもしかしてと思って麻織を見てみれば麻織は面白そうに女の子を見て笑っていた。
「私は一之瀬結香って言うの!好きに呼んで?」
「じゃ、結ちゃんって呼ぶね!ね、麻琴?」
即答でそういう麻織に僕はにっこりと笑った。次にすることが分かるから。
「「ね、今からどっちでしょうゲームしない?」」
僕たちは少し先の角を曲がってくるくると回ってからどっちでしょうと聞いた三回連続当てられたのは歌ちゃんだけ。
だったのに、その子は五回もやっても全部正解した。麻織と僕はテンションがあがってすっかりその子がお気に入りになった。
その次の日歌ちゃんが生徒会から抜けた。嘘までついて、さっさと抜けちゃった。なのにみんなそのことを気にしてないみたいに笑ってた。いつの間にか歌ちゃんの居た場所には結ちゃんが埋まってて、それが当たり前になってた。
ある日麻織ばっかりが結ちゃんに絡まれてたから僕は意地悪で麻織の机の上にあった飴を食べてやった、どうせ同じ味だろうと思って。
な の に
それはとっても甘く感じた。それでなんか悲しくなった。僕は急いで自分の机の上の飴をなめた。少し酸味がきいてて僕の好きな味、麻織と違う。
僕は違和感を感じた。
歌ちゃんの居場所がない。歌ちゃんはどこに行ったの?ずっとそのことが頭から離れなくなった。そして、周りを見てみるとみんな変わってた。
「ねえねえ、麻琴、結ちゃん今日来てくれるかな!!」
弟だって変わった。
「ふふ、」
副会長はなに考えてんのかわかんない。
「結は僕のこと見てくれる?結、結。」
書記さんは独り言がひどくなった。
「…もう、結は仕方ないなぁ」
補佐くんは、会計になってから結ちゃんしか見なくなった。
「…絶対に許さない。」
会長はいつも異常に目つきが悪くなった。
なのに歌ちゃんはなにも気のしてないようにこの生徒会を出て行った。僕はこっそり結ちゃんに見られないように歌ちゃんを見に行ったことがある。
「自業自得、あの方々には私のことはもう必要ないでしょう。」
人の変わったように言う歌ちゃんに僕は少しびっくりした。なんで?結ちゃんがきたから歌ちゃんが消えちゃったの?
「僕が悪かったのかな」
まだ一つだけあの生徒会室を出て行く前に、僕の机の上においてあった飴を僕は握る。
やっぱりこの飴を作れるのはあのこじゃなくて歌ちゃんだよ。だから。
「あ、歌ちゃん!僕も一緒にご飯食べて良い?」
偶然を装って歌ちゃんと耶蘇川くんと乃崎ちゃんの所に顔をのぞかせる。すると乃崎ちゃんと耶蘇川くんは僕を厳しい目で見てくる。しってる。だって僕は少し前まで結ちゃんしか見てなかったから。
「歌ちゃん、ダメ?」
僕は固まったままの歌ちゃんに僕は声をかける。歌ちゃんはため息をつきながら笑った。
「もちろん、麻琴くんいいわよ。」
僕はその言葉に頬が緩むのを感じた。
ああ、やっぱり歌ちゃんはすぐ分かるんだなぁ。
そう思いながら。
「ありがと!歌ちゃん大好き!」
僕は歌ちゃんに抱きつきながら言う。いつものこと。僕はいつも道理にそう行動する、ちょっとずつ歌ちゃんに近づいていけばいい。
歌ちゃんは僕の大好きな太陽だから。
あいつらなんかに渡さないよ?
ざぁーんねん、双子くんはもうシナリオ道理には動かない。と言うのは置いといて、麻琴君は依存率はヒロインから恭歌に変わってしまいましたね。どうなるのでしょうか?