14.言うなればそれは必然であり、偶然である。
私が笑顔で言ってのけたことに唖然とした生徒会長様を私は総スルーしてさっさと席に着いた。
「恭歌、あれは流石にかわいそすぎない?」
会長様が去ってから苦笑いをし私に話しかけてくる成沖に私はどこが?ときいた。
「良いんじゃなくて?あの神宮寺様を対象と見ていないって伝わったのだから。」
そうわらう氷の女帝に私はにっこりと優菜ちゃんに言った。
「ねぇ優菜ちゃん。私の婚約者探し、手伝ってくれない?」
私が言えば優菜ちゃんはにっこりと笑って肯定してくれた。成沖、私はあんたにも手伝ってもらうつもりなのよ?
「死んじゃうぐらい楽しみなの。婚約者探し。」
こんな楽しいこと初めてよ…死にそうなほど不安で、気が狂いそうで、もう目の前が灰色になる光景なんて。
「ああ、早く初恋を思い出したいな。」
私は忘れかけた思いでの箱の中身をぶちまけた。そして私は興奮を押さえつけながら笑った。
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私の初恋は私が10歳のとき、親のお友達が集まる、簡単に言うとこの学校卒業者の同窓会へ連れてこられたときに親と離れてしまったときに私と一緒にいてくれた少年だったの。
怖くて独りでいたときに大丈夫大丈夫と頭を撫でてくれたあの子に私は恋をしたの。それから手をつないで2人っきりでお絵かきしたりしたの。あっという間に仲良くなった彼と私はあだ名で呼ぶようになった。私のことは「ユキ」、彼のことは「つきくん」と呼んだ。
あだ名は確か私の恭と言う漢字が「ユキ」と読むからでつきくんのは………思い出せない、多分月に関係する名前だったからのはず。
でもそんなに楽しい時間はあっと言う間に過ぎてしまった、そのとき私はつきくんと小さな叶わない約束をした。
私をつきくんのお嫁さんにしてもらうこと。
私はこの初恋を忘れたくなかった。つきくんは私の大切な王子様だもん。
私の王子様はつきくんしかいない、だからきっと私の婚約者がつきくんじゃない限り私は愛をその人にはささやけない。私の初恋は終わっていないんだから。
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私はそんな思いを込めながら2人に言った。
「でも、何で男嫌いになったんだ?いや、おまえの場合女嫌いも激しいけど。」
成沖がそういえば私はああ、と心当たりを言った。
「西園寺さんが私に刷り込み式で男の人の恐怖を教えていたからかな?」
ま、むしろ男の人より強くなる羽目になったけど。と私がいえばふーん、と成沖が笑った。ただし目は笑ってない。
「大丈夫、わたしはつきくんと成沖以外の男子には今のところ気を許す気がまったくないから。」
私は女として生きることを諦めた、籠の中の鳥。
「せめてもの自由はつきくんを探すこと。」
わたしがこの学校に来た目的はそれだったりする。だからこの婚約者探しはとても良い話だった。
覚えてますかつきくん、私はあなたのことをまだ慕っています。
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俺のことを忘れているなんて嘘だ、絶対に忘れてない。ユキと呼んで良いのは俺だけでつきくんとの呼んで良いのはユキ1人だ。もう親にも納得させた。だからユキ、愛してるから、早く俺におちてこいよ、もう待ちくたびれたんだ。
ああ、こんな事ならおまえを閉じこめてしまえば良かった。
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恭歌が凄く大人ぶっていたのはそのせいなのかと俺はため息をついた。成沖、成沖、と呼んでくれる恭歌はかわいいかわいい俺の大切な友達。これは恋愛感情じゃなくもっともっと深くてどろどろした家族愛より深い何か。
だから、だから、俺はそのつきくんとやらに心当たりがあるから話しかけに行くことにした。
恭歌と優菜が死なないためにはそうするしかない。おまえを信用するのはしゃくだけど、恭歌が惚れている相手なら仕方がない。俺は急いであいつのいる教室に向かった。
もしもおまえが恭歌を傷つけるなら俺はお前を許さない。
そう心に誓いながら。
つきくんはもう話の中に出てこられています。そうですね、一つ大きなヒントと行きましょう。
さて、霜月の頃の寒さが恋しいこのごろですね、実は私は神無月が一番好きなつきなのです。
わかりやすいかもしれませんね。では近々、恭歌に頑張ってもらいましょう。
皐月はすぎ、次は水無月と参りましょう。