13.黒百合の騎士は毒々しく笑う
今回は学校での恭歌の変化に注目です。
さて、昨日お義父様に承諾を言い渡し、婚約への重要なる書類にサインをして帰宅した恭歌です。
それから一日たったこの日、何故か我が家にまた祢音さんが来られました。はい。で、私に渡したのが今私の胸元で輝いている『指輪』です。
「あー、これで後戻りできないじゃない…」
私は空を仰ぐように手を頭にあげた。
この指輪はどうやら「青色スカート&青色ズボン」をはいている生徒達の中で婚約している証拠の『婚約指輪』らしい。
つまり私の婚約者様も今日から指輪をしているそうなのだ…。
しかし、一学年8クラスのこの学校。
人多いわぁ…
その中で指輪をしている人を捜すのも容易じゃない、指輪を服の中に入れていたりしているから。ちなみに氷の女帝は服の中に入れてます。
私は征之さんに言われた通りに普通にネックレスとして付けておきますとも。付けてなかったらなんと言われるか。
「おはようございます。」
そんなことを考えながら昨日と同じ時間に教室に行けば成冲と優菜ちゃんがもう来ていた。
「おはようふたr「「恭歌ーー!!!!」」
二人に声をかけようとしたら二人に声を遮られてしまった。というかボリュームが凄い…!
「なによ二人とも。」
「婚約とか聞いてないわよ!?で、『あの家』のご子息って、もう、私すら顔を拝見したことがありませんのに、そんな方と婚約なんて許しませんわ!」
「ゆ、優菜ちゃん、落ち着いて…」
すっかり熱くなってしまっている優菜ちゃんに私はおろおろとしてしまった、らしくないのは分かっている。それどころじゃないんだよ。
「こんな事なら僕の家と婚約していることにしておけばよかった、そしたら変な虫を追い払えたって言うのに…!」
「成冲はツッコむとこが違う!それはなんか駄目だろ色々な面で!」
優菜ちゃんを落ち着けてから私は成沖を軽く叩いた。
「情報が回るのはやい、やる気出しすぎだろあの人。」
もちろんあの人とは征之さんのことである。私が言えば成沖はため息をついて指輪を見せてと言ってきた。私が渡すと成沖は吃驚したようにその指輪を見た。
「……あちゃぁ、これは完璧恭歌のサイズに合わせて作ってあるよ…」
アハハ、そうなんですか知りたくなかったですねぇ。リアルでorzしたかったけれどここはお坊ちゃまお嬢様学校。何でこんな難易度の高いところに入学したの私、オタクの話大声で出来ないじゃない。(いや、いったん落ち着こう私)
「大丈夫ですわ、もし、恭歌に手をだす不届き者が居たら私が直々に倒してあげるから。」
にこやかに言う氷の女帝に私はもちつけ、と言った。いや、恭歌が落ち着けと言ってくる成沖は綺麗にスルーしておく。
「絶対に私はその婚約者には落ちないから安心して?」
そう、落ちたら負け。だって、私は殺される可能性があるんだから私は無感情に二人を守らなきゃならない。
「私が落ちるシナリオはぶち壊してあげるから。」
にこにこと言えばそうよね!と優菜ちゃんは言う、この本当の意味が分かるのは成沖だけだけど私はいつも道理に言ってのけてみせる。
結婚なんて論の外、私はこの親友達さえいれば人生をエンジョイできるんだから!
「無理だけはしてくれるなよ、騎士様」
にこやかに笑う私は氷の女帝の騎士としてこの学園を去ってみせる、だからこそ成沖にだけこの私最大の秘密を打ち明けた。
「勿論、この騎士にお任せ下さいませ。」
そう、守られるなんて私らしくない。私は守る側の方が向いているのだから、ヒロインになんて負けてたまるものですか。
「…中二病ごっこも終わりにしろ。」
後ろからかけられて声に私は振り返った。
「あら、何時からいたの?生徒会長様」
嫌みったらしく言えば会長様は唖然としながら私の胸元をみた。
「ちょっと、私の親友を変な目を見ないで下さいます?神宮寺様。」
優菜ちゃんが言えば会長様は嫌そうに優菜ちゃんをみた。私はこの指輪がどうかしました?といやそうにいった。
「生徒会長様、私の婚約者様の名前わかりませんか?私、自力で探さないと行けなくて」
私は婚約者を捜しながらこの人達をかわさなければならない、そう思いながら言えば会長様は苦虫を噛み潰したような顔になった。
「…婚約者の名前も分からないのか。」
「「あの家」の旦那様に行って下さいませ?私は知りません、そういっているでしょう。」
ニコニコと言えばますます苦虫を噛み潰したような顔になって私は声を出して笑いたくなった。
「ああ、でも一つだけヒントはいただきましたよ?」
そう言えば今度は優菜ちゃんも成沖も私の方に顔を向けた。ああ、きっと私は悪い笑顔をしているかも知れない。
「私の近くにいるとてもかっこいい人、なんですって。探すのが楽しみですね?」
このバ会長様にはどう聞こえるか知らないがとても嫌みになっただろう。優菜ちゃんもそこまで吃驚しなくても良いじゃない、私はただ日頃の仕返しをしたかっただけなんだから。
さぁ、ここからどう返すか、この人達にうまく「程良く嫌われる」には、どうするか。
ショータイムは始まった。
次回から、恭歌は本気で頑張ります。
もし誤字脱字がございましたら教えていただけると幸いです。
また、〇〇くんサイドの△話が知りたい!みたいのがあったら教えてくださいませ、それも書いていこうと思います。