10.生徒会への決別とあの家からのやっかいごと
今回超長いです。で、あとなんというか恭歌ちゃんドンマイ!
快晴吉日!生徒会室退職日よりですな!
朝からテンションが高く昨日からオリジナル小説を読みあさっていたら日の出を迎えてしまった一ノ瀬恭歌です。え、知ってる?気にしない。
「さっすがに一睡もしてないのはきついなぁ。」
私はそう言いながら下足場に向かう、暇すぎて弟も起こさずに先に学校に来てしまった(a.m.6:00)早すぎたのは自覚しているけど後悔はしていない。
今思ったら部活動すら来てないよ…。
私はそう思いながら教室に向かう。(教室の鍵はあらかじめ職員室に取りに行った。)そして教室で光合成する。
え、光合成というなのひなたぼっこのことです。
まぁ、何というか教室でぽけーっとしていたら私の教室の前に人影が見えた。私はそれを横目で確認した後なんとなぁくため息をついた。
「俺の前で良くため息なんてつくよな、おい。」
はいそこには案の定のじょう、生徒会長様がたっていた。いつ見ても絵になるわぁ…
「だって、ただの人相手になんで怖がる必要がおありで?」
私はとびっきりの笑顔で言う。勿論外にヒロインがいるからだ。あの女がそろそろ仕掛けてくるんじゃないかなぁと思いながら私は早めに学校にきた。まぁ、生徒会長様に会うとは思わなかったけど。と言うかいつの間に来てたの、そして堂々となに他クラス侵入してるんですか…
「私、もう疲れたの。そろそろ1人にしてくれないかしら。」
本当に疲れたように言うと会長様は本当に心配の色を顔にだした。私は出来るだけ、出来るだけ震えるような声を出して退室を進める。
「例え貴男がなんであろうと私の評価は変わりませんわ。どうか下がって下さいまし。」
私はそう言って完全にその存在を視界のそっとにやった。
私はとにかく、イケメンに近づきたくない。ああいう奴らと一緒にいたら良いことがあった例がない。
私が無視していると生徒会長はどうやら出て行ったらしい。そして私は机から本を出して活字の海に飛び込んだ。
授業が終わって暫くしてから私はいつも道理生徒会室によった。そこには案の定、ヒロインがいた。私は気にすることもなくただただ自分の席から数枚の資料を持って生徒会室を後にしようとした。
「あ、駄目だよ!それ涼我くんの書類!生徒会じゃない人がここに入ってきたら駄目なんだよ!」
ヒロインは私のハーレム邪魔すんなボケと目で語りながら私に言ってきた。私がえ、と声を上げるとヒロインはしてやったりと言う顔をして私に出て行ってよと言ってきた。
「…へぇ?」
私が一言だけ発すると瀬宮君と速房先輩はビクリと反応して言い訳をしようと言うように声を上げようとした。私は分かりました。と言って手に持っていた書類を教室の入り口近くにあった椅子に置いた。
「瀬宮君頑張ってね?私はもうここに来ないから。」
じゃ!と楽しそうに笑いながら教室から出ていこうとしたら誰かに肩をつかまれた。
「やだ、いっちゃん帰っちゃうの。」
私は苛々しているんだから触らないで欲しいものだ。私はそのまま笑顔で瀬宮君にふりかえった。
「私は部外者なの、解る?明日から来ないのは私が生徒会を辞めるから、簡単なことよ?」
小声で伝えると瀬宮君は顔色を真っ青にした。私はできるだけ自然に不思議がってるヒロインに話しかけた。
「すいません、私会計様の補佐をしていたのですがやはり書類を持ち出すのは厳禁でしたか。」
そんなわけがない私が持っているのはどうしようもないがらくたの処理だ。
「当たり前だよ!気よ付けてよね♡」
私はにっこり笑顔で言ってやる。
「それに私今日でここにくるのも最後ですし、でもでも家の用事もあるんですよね。」
生徒会にいた奴らは私になにも用事がないことを知ってるだろう。困ったように言えばヒロインはニヤリと笑ったように見えた。
「あ、なら私が手伝う!計算得意だし!」
私は今度こそニヤリとその場にいる(脳内妄想に取り組み始めたヒロインを除いた)全員に見えるよう笑った。
「あ、ならお先に失礼します。永遠にさようなら。」
きっと私は今世に生まれて一番の笑顔だろう。私はにこやかに生徒会室からでた。
ああ、明日もう一度先生に出しに行こう。
私は軽やかな気分で家に帰った。
はずなのに
鏡を見たときに頬に伝った涙に私は唖然とした。
「…なんだ、この子は悲しいんじゃんか。」
頑張ってきた努力をヒロインに持って行かれたようで悔しい、私は泣き叫びたいのを我慢して部活を頑張っている弟が帰ってくるまでクッキーを作った。
ピンポーンピンポーン
チャイムが鳴って弟が帰ってきたのかと思いながら玄関に向かう。私の弟は変わっていて毎回チャイムを鳴らして私が出てくるのを待っている。私が迎えに行くと満面の笑みなのだが…正直なにがしたいのか解らない。
「はーい」
私がドアを開けるとそこにはふにゃっとした笑みを浮かべてくる美人(超私好み)がいた。
「一ノ瀬恭歌様ですね!私、祢音ともうします。旦那様よりお連れしろと仰せつかったので私と来て下さいますでしょうか?」
私は突然のことに戸惑ったがその女性が着ている服にあの学園の校章が付いていたから解りましたと言ってその人の運転する車に乗った。
「恭歌様、事情により外をお見せできませんのでお許し下さい。」
私は外が見えないようにされた車に乗せられ向かった。
かれこれ30分ほど車に揺られていたらどうやらついたようだった。私は車から降りて地下駐車場からエレベーターで連れて行かれた。
「ここが旦那様のお部屋です。」
祢音さんがドアを開けて下がっていったので私は失礼しますと言ってその部屋に入った。
「やぁ、よくきたね!顔を見せてくれ。ホントに2人そっくりだ!もう良いところばっかりとって!おっきくなったな恭歌くん!」
「すいません耳元で叫ばないで下さい。」
私が部屋に入った瞬間に見知らぬ男の人が私の両肩をつか見ながら私を観察した。どうやらこの人があの家の主人らしい。発言から私の親と知り合いのようだし、どう見ても父と母と同い年ぐらいの顔をしていたからだ。
「いや、すまないすまない。つい2人の子供だと思うとテンションがあがってしまってね。」
「できれば説明を下さい。今すぐに」
私がそう言うと目の前のナイスミドルはそうだったと言いながら私に笑顔を向けた。
「私に名前は征之と言うんだが、君にお願いがあってね。」
私に客人用のソファーに座るよう進めながら征之さんは向かいに席に座った。
「私の息子と婚約して欲しい。」
私に新しい厄介事を持ち込んできた。そろそろ私とこの子は泣いても良いと思う。どうしてこうなったのか教えて下さい。
「……征之様、私のことをどう思ってらっしゃるのか全く解りませんが。私、『庶民』なのですけども?」
庶民の子供が金持ちの子供と婚約なんてやったら駄目だろ…と言う気持ちを視線に込めながら私はにっこりと笑った。
「そんな事ないよ!君の幼なじみが昨日から急に離れだしたと聞いてね、婚約のチャンスだと思って君を誘ってみたらなんと簡単に連れてこられた!!」
少し目を伏せながら言う征之さんに私は無表情を構えた。もう金持ちには情報が出回っているのかと。
「彼の家は勿体ないことをしたね。あの小娘に現を抜かし始めるとは、馬鹿らしい。それに比べ私の息子はどうだい?幼い頃から恭歌くん一筋と聞く!」
その小娘ってヒロインのことだろうか、と私は内心首を傾げた。あと何か聞き捨てのならないことを聞いたような気がする。
「恭歌くん、あの馬鹿のことは放っておいて私の息子と婚約しないか?」
その馬鹿は西園寺さんですね?と聞くはずもなく私はため息をついた。
「どうせ母さんと父さんと話し合った結果なのでしょう?」
私が目を閉じながら言えば、征之さんは満足そうに勿論、と言った。なら私がいえることはただ一つ、
「もし私の婚約者様に、私以外の思い人ができた場合破棄させていただけるのならば婚約いたしましょう。」
私は真剣にそう言った。理由は簡単だ、もしこの人のことだからきっと息子さんもこの学校にいる、もしヒロインに惚れても婚約破棄が出来るとなると私は殺されにくいだろう。そしてこの人は「あの家」の最高権力者で私が婚約する人はこの人の息子、もしそんな人の義娘を殺したとなるといろいろ困るだろう。
つまり死亡フラグを少し折ろうという魂胆だ。
「勿論!まぁ私の息子が……………君を簡単に手放すとは考えられないから、私から世間には公表しておくよ。」
嬉しそうに言う征之さんに私はよろしくお願いいたしますと言って、疑問に思った事を征之さんに聞いた。
「ところで私の婚約者様の名前はいったいなんというのでしょうか?」
そう言えば征之さんはにっこりと笑った。
「君の近くにいる、格好いい人さ。」
征之さん、それ答えになってないですわ!
それから暫く母と父と征之さんの高校生時代に話を聞いていたが、時間的にそろそろ帰らなければならなくなったので私は座っっていたソファーから立ち上がった。
「では、祢音さんも外に居られることですし私はそろそろおいたまさせていただきますわ。」
それを聞いた征之さんはもう行くのかい?と眉を下げながら言った。
「良いじゃないですかお義父様。また後日、ゆっくり父と母の話や学校でのお話もしましょう?お義母様にもよろしくお伝え下さいませ。」
私はそう言い残して部屋を出た。後ろで感極まった声が聞こえたのはもう聞かなかった事にした。
と言うか私の婚約者の名前はいったい何よ!?
すいません、本当すいません!なんというかそのですね…展開早いような気がしますけど…これからゆっくりなります!
で、次回はヒロイン、一之瀬結香の視点で参ります!