9.さて、ゲームは始まった!!
今回でこの世界観について少し解るかも…しれません
成冲としばらく喋っていると勢い良く私が転んでいる部屋のドアが開いた。
「恭歌!大丈夫ですの!?あーの雌猫!どうしてくれようかしら…!!」
氷の女帝、と言われる私の親友は結構怖い顔をしながら入ってきた。成冲が落ち着けってばと声をかけると優菜ちゃんは安心したように顔を綻ばせた。
「成冲さんが恭歌をお姫様抱っこして連れて行ってくれて良かったですわ、あの雌猫は私が何とかして差し上げましょう。」
「その単語を出すなよ。俺も言いたくなるだろ。」
「なら言えばいいじゃない。」
駄目だこの女帝何とかしないと、と言う成冲に私はクスクスと笑った。
「さて、私も教室に戻りますかね。転校生はクズですし?」
目に入っても不愉快なだけでせう?私は「前」と同じようににこやかに笑った。
「…本当にお前。」
「もう、頑張るわね!無理しなくて良いのよ?私の私の大切な恭歌は変わらないわよ?」
成冲がそう言えば私は笑みを深くした。そんな私の顔を見て優菜ちゃんは顔を真っ赤にしながら笑った。
そのまま保健室から教室に戻ると未だに転校生、つまりヒロインに男子が群れていた。くっリア充女子爆発しろ。
「あ、優菜おかえりー!どこ行ってたのぉ~?」
私の親友を呼び捨てとは良い度胸だなおい。ほら見て見ろ女帝が怖いぞ。気づいてんの私と成冲だけだけど…!!
「ふふふ、当ててみて下さいな?」
「私が教えてって言ってるんだから教えて?」
このヒロイン図々しすぎてうざいなぁ?
「結香が教えてって言ってるんだからさっさと教えろよ。」
…え?声をかけられては吃驚してしまったが声かけてきたのはまさかの西園寺さん。ほう、こいつ殴られたいのか?
そして成冲の横に立ってるのを見た瞬間に西園寺さんは私のところにきた。
バチンッ
頬に走った痛みに私は顔に手をやりながらみた。
「お前うざいんだよ。餓鬼の頃からちまちまとおれのとこ来やがって、どうせ権力目当て何じゃねぇのか?お前はここにいるべき存在じゃない、さっさと消えろ。」
私は唖然とする前にニヤリと笑った。勿論誰にも見られないように。
「へぇ、西園寺さん。女の子に手を挙げるんだぁ…?」
「駄目だよ晃太君!」
私の独り言にかぶせるようにヒロインは叫んだ。はっこのヒロイン私のこと消したいみたいだなぁ?
「なんで、何でこんなことするの…!?」
顔に計画道理って書いてありますよヒロインさん、
「あんた、私の可愛い可愛い可愛いし「黙ってな!」」
私が叫ぶように言えばヒロインも、優菜ちゃんも黙った。私は一呼吸ついてから、まだイチャイチャしている目の前のクズ共に声をかけた。
「私は西園寺『さん』に迷惑をかけましたか?あなたよりも私の親友の方が位も高いのに何であなたに媚び売らないといけないのかしら?」
私は心底解らないように言ってみる。すると成冲が視界の端で吹き笑いしそうなくらいに震えていた。こいつ肝座ってるなぁ…と呆れそうになる。
「あと、私には可愛い身内がいるの。」
私がそう言った瞬間にヒロインの目が私に突き刺さった。わかりやすくて呆れるわ。私に話しかけてこようとするヒロインを一睨みする。
「あんたには関係ないでしょう…?出しゃばらないで下さい。第三者が入るとややこしくなるんだから。」
そう言えばヒロインはでも、と言い始めた。
「でもでも、晃太君が、迷惑してるって言うから。それにそんな事してても誰も喜ばないんだよ…?」
ゲームと同じセリフを吐く、ヒロインに私は殴りたくなった。
「はぁ、今から私は行くとこがあるんで。その電波脳何とかしてから話しかけて下さい。」
ひるを返して私は教室を出ようとした。放課後のチャイムもなっていたし、正直保健室で成冲と喋りすぎた。恭歌ショック!
「…恭歌、」
その声に私は苛々としながら振り返った。
「私の名前を呼ばないで下さる?西園寺『さん』」
私がそう言えば西園寺さんはショックを受けたように固まった。そうだろう私は限りなく嫌いだったり、関わりたくない人のことは名字に『さん』と呼ぶのだから
今度こそ教室を出た。
さて、これで解った。このまま行くと確実に生徒会は西園寺さん見たくなる。つまりだから、
生徒会に置き土産をするのだ。
生徒会室について、私は鞄に入れていたクッキーをそれぞれの役員の机においた。
そして部屋の中心にお手製のミルクキャンディーも。
全員味は違う。双子は好きな香辛料や好きな香りすら若干違う。だから私は慎重に作って置いておく。
「後1日、私は生徒会を完全に辞める。」
そう呟いて私は下足場に向かう。そこには心配性の親友が2人もいるんだから。
明日全物語が動き出す。
次は恭歌、生徒会辞めるの巻です。