8.出会いは突然に起こってそして抱えきれないほどの友愛を
今回は2人の親友についてのお話です。
最初、俺達は全く出会う予定はなかった。あの日たまたま図書室に行って、気が狂っていると言われていたイケメンが図書室で告白しているのを見るまでは。
あいつはきっと誰もいないと思っていたのだろうけど俺はその日先生に頼まれものをされてたまたま、ほんとうにたまたま図書室に向かった。
「辞めて下さい!離して!その本を返して下さい!」
「ヤダ、こんな本があるから君は僕を見てくれないんでしょ?ならこんな本捨てちゃえばいい。」
「返して!返しなさいよ!!」
そんな声が聞こえて俺は急いで図書室に向かった。だだっ広いこの高校の図書室は誰も寄りつかないから油断したんだろう。
「「本に罪はねぇんだから離せって言ってんだろ、餓鬼。」」
俺も回し蹴りとそのこのかかと落としが重なってセリフまで被ったことに多少びっくりしながら俺はそいつを蹴り上げた。
「何で、いる。」
動揺を隠しきれない少女に俺は笑顔で振り返ってから、まだぶん倒れているそいつに目線をあわせるためにシャツをつかんだ。
「ふぐっ」
「本を愚弄してなにに何の?しかもそれプレミアつくほど貴重な本だし、その神経呆れるね?しかもその女の子青スカだよ?僕からあの家に伝えるけどいいの?ん?ちなみに、僕の家も君のこと一応潰せるけどどうする気違い君?」
そう言えばそいつは怯えるように図書室を出ていった。俺はそのままふぅと一息ついてから少女に向き直った。
「ごめんね?大丈夫だった?これプレミアつくほどの本だから大事にしてよ?」
「助けてくれてありがとう。」
本を受け取ってからほほえみながら言う少女はどこが機械的だった。俺は少し本性の方がいいなぁと思いつつ少女のことをみた。
「ところで君は何でこk「恭歌…!!大丈夫ですか!?あの男はどうしましたの!?」
少女の声を遮りながらいう美少女が図書室の入り口にたっていた。青みがかった腰より長い黒髪は凛とした雰囲気を、少しつり目の目は強い意志を宿して、そして白い肌は雪を思い出させる。ゲーム脳の俺が一言言えるのはただ一つ。
「「マジ女帝だな、おい」いつものことながら」
そう言ったのは隣にいるさっきの少女で俺は勢いよくその子に手を伸ばした。
「「同士よ!!」」
どうやらこの少女、俺とすごく気が合うらしい。
「私の名前は一ノ瀬恭歌、さっきはありがとう。良い回し蹴りだった」
「いや、もうちょっと早かったらと思うとごめんね?俺は耶蘇川成冲。よろしくね。」
やっぱりこの子は面白そうだ。
「私を置いていかないで下さりますか、恭歌の親友の乃崎優菜ですわ。どうやら恭歌を助けて下さったようですね。ありがとうございますわ。」
凛とした雰囲気のままそう言う乃崎さんに僕は唖然とした。
「私の婚約者様以外に恭歌に近づく男は排除するつもりでしたが、あなたは大丈夫そうですから私が言うのもなんですが、恭歌のことよろしくお願いします、友達として」
この子ってギャップがすごいんだよねぇ知ってたけど、知ってたけど!
「もちろん、一ノ瀬とは仲良くしてもらうさ。ところで次の日曜日、いっしょにアニメ○トにいかない?」
「もちろんいく!」
これが彼女たちと俺のファーストコンタクト。家に帰ってから親父が泣きながら礼を言ってきて小遣い(大量)を渡してきたのはびっくりだった。もちろんお願いであの気違い君を俺の家に取り込ませたのは言うまでもない。
その日から俺は恭歌と遊んだりほんの話をしたり、いろいろと楽しんだ。
それえ解ったこと、恭歌は自分のことより相手のことを考えて行動してしまっている。
「恭歌は危なっかしいの。」
覚悟を決めたように呟く氷の女帝に俺は同意を示した。
「恭歌は俺たちで守ってみせる。」
もちろんと返ってくることを予想しながら言えば氷の女帝は予想道理勿論と微笑んだ。俺は気の合う相棒のために恭歌を守ると決めた。
恭歌は無意識に俺たちを励ましてくれる。俺はそんな恭歌を守ろうと、また、少しずつ過保護になっていく。
まぁ、後悔のkの字も無いけどね?
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私の親友はもうとても面白い子。そして聡明でいてとても美しい子。
当たり前じゃない、私の大切な親友はとっても貴重な存在で、あの方に一度も媚びなかったんだもの。
初めて出会ったときはただの娘だと思っていたけれど、私はあの子に助けられた。
ある日私が教室で1人本を読んでいたときわざと私に消しゴムを投げてきた子がいた。私はその子のことを睨まずただただ呆れていた。
「大丈夫?あいつただのバカだから気にしないで、私が絞めといたから。」
そう言いながら来てくれた子はとてもかわいらしかった。親へのわがままで公立中学校にきた私に声をかけてくれた子だったから。
「いえ、大丈夫ですわ。ありがとうございます。」
私がそう言うと彼女はにこやかに笑った。まるで花が咲くように。
「私は一ノ瀬恭歌って言うの。いっつも本読んでるよね、なんて言う本?」
「米国の作家が書いた推理小説ですの」
私がそう言うと彼女は目を輝かせた。さっきからこの少女だけ輝いて見えるのは何故だろうと心の中で聞いてみる。
「!?いいなぁ、私も読んでるの推理小説なんだ!」
そう言う彼女に私はあ、あのと声をかけてしまった。少女は私になに?と首を傾げながら聞いてきた。
「和訳してありますから今度お貸ししましょうか?」
自然とでた言葉に彼女は花咲くように笑ってくれた。守りたいと思ってしまった。その笑顔に私は自然と笑った。
「良いの!?じゃ、お願いする!私も穴場の作家さんの持ってくるから交換しない?」
「良いですわね!そうしましょう?」
その日から私たちは本を交換したり、たわいもないお喋りをしたりしていた。そんなある日私はお父様から声をかけられた。
「市民と仲良くしているそうじゃないか。」
「ええ、彼女は私の親友ですわよお父様。」
私がそう言えばお父様は微笑んだ。
「そうか、仲良くしなさい。きっとその子はいい子だろうから。」
今度その子にこの小説を書してあげないさい、そう言って私に渡した本はお父様のお気に入りの作家のものだった。
「それと、いつでも書庫に遊びにおいでと言っておきなさい。」
歓迎しよう。そう言ってくれたお父様に私はありがとうございます。と頭を下げた。
それから数週間後私の家の書庫に恭歌が遊びに来た日、何故かその書庫には私の婚約者がいた。私は唖然としてしまった、もし恭歌が彼のことが好きになったと言い始めたらと。でも恭歌はただ楽しそうに言っただけだった。
「彼格好いいね、凄く凄く、優菜ちゃんが大好きなのも解るよ!!逃がさないようにきっちり捕まえといてね。私美男美女のカップル見るのが好きなんだぁ」
そう言う恭歌の目はどちらかというとオモチャをもらった子供みたいで私は気を抜いた。
これだからこの子は面白い。
それから私は彼の目の届かないところに恭歌をやって私から取られないようにした。大好きな恭歌には良く変な虫が付く。だからその虫をケチらせるように私は力を付けようとした。今では家の権力の二分の一を私が使えるようになった。すべて恭歌を守るため。
きっと恭歌は彼の顔を忘れている。だから今警戒することは彼女を彼と私の親友に近づけないため、成冲さんもきっと私と一緒の考えだろう。だって恭歌はこの娘のせいで倒れたのだろうから。
「あ、優菜ちゃん!私優菜ちゃんの友達になりたいなぁ?」
「ふふふ、良いですよ?あ、でもちゃん呼びは辞めていただきたいですわ。」
私は氷の仮面と言われた微笑みを柔らかくして目の前の少女に向ける。
「うん!!なら優菜ってよぶね?」
「どうぞご勝手に」
私はそのままひるを返した。さぁ早く恭歌のところに行かないと。
「私が守ると決めたんですから、あの雌猫には指一本も触れさせませんわ。」
私は保健室に向かった。
うん、うん、さすがに氷の女帝は言い過ぎたかもしれないけど後悔はしてない。
次はいつも道理、恭歌ちゃん視点。次回氷の女帝も本編参戦、ついでにヒント、西園寺君、ちょっと校舎裏に来い(#´▽`)編