表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻燈館「地獄の世界」  作者: 独蛇夏子
【入口】
1/19

【入口】

 観覧車に回転木馬。

 ジェットコースターにコーヒーカップ。

 回る回る、めくるめく遊戯の園の片隅に、黒いテントが張ってある。


 「地獄の世界」と名付けられた幻燈館に訪れる人は、その異様さからか、まばらである。

 出入り口の側にはチケットもぎりの従業員が立つ。

 従業員は幻燈館の雰囲気に合わせているのか、黒いシルクハットに黒いマント、そして一つ目の描いてある目隠しをした奇妙な格好をしている。


 従業員は時折、アナウンスする。


「ようこそいらっしゃいました。こちらは幻燈館「地獄の世界」でございます。

 幻想夢幻に囚われた憐れな人々の『記憶』を標本にした光が浮かぶ展示場。

 それぞれに物語が映されており、好奇に猟奇、怪奇に満ちた、人々の裏側、闇の一面がご覧になれます。

 案内人が一人つき、それぞれの幻燈の物語をご紹介致します。

 入ってしまったら最後、もう後戻りはできません。

 哀れで奇妙で愚かで滑稽で残酷な・・・オカルトとロマンス。

 ・・・貴方自身の心の中の何かを呼び覚ましてしまうかも知れません。

 己の好奇心に負けたなら、お入りなさい、この【入口】から「地獄の世界」へ―――」


 テントの異質さか、「地獄の世界」というタイトルのせいか、従業員のアナウンスのせいか。

 それとも他に、テントの奥底から滲み出てくる何かがあるのか。


 一人、足を止め、吸い込まれるようにテントに入って行った―――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ