選択二、
爽やかな秋の午後。
木枯らしが、冬が近付いていることを暗示するかのように葉の服を脱がされたもの寂しい木々を吹き抜けてゆく。
春にはその華やかな色で見る者を楽しませる桜の並木も、今や数枚の葉がその冷たい風と必死に闘うだけである。
ガシャーン!
その桜並木の前に立つ小さな家に石が投げ込まれ、窓ガラスがキラキラと砕け散った。
見れば、その家の門は壊され、壁や塀には、
『死ね』『人殺し』『悪魔』
などといった落書きが色とりどりのスプレーで書かれ一面を覆い尽くしている。
・・・・・・・・・・
『えー、ただいま入りましたニュースによりますと、
西崎第二高等学校生徒、連続通り魔殺人事件の犯人が逮捕されたもようです。
えー、どうやら犯人は未成年者らしく、顔写真や実名などの報道は一切伏せられております。
しかし、犯人は同じ学校に通う同級生である可能性があるとの情報も流れておりまして・・・・・
えー、いずれにしても、新しい情報が入り次第お伝えしたいと思います。
それでは次のニュースです。
昨夜北朝鮮入りした総理大臣ですが、拉致問題に関しては・・・・・』
復讐という道。
民主主義のこの時代、私刑など、絶対に許されるべきものではない。
だからといって国の法律が、どれほど人権を守れているのだろうか。
現にイジメは減らない、犯罪は減らない。
刑罰もまた然り。
何年も服役した犯罪者が社会復帰し、再犯することも往往にしてある。
実際にそれが犯罪の抑制になっているかは疑問だ。
法など結局、ただ被害者の復讐心を満たすためだけのものに過ぎないのではないのか。
だから少年法の改正など、短絡的に刑を重くすれば済むと考える人が多いのではないのか。
さもすれば、法律に定められた刑罰など、実行者が国であるということを除けば、私刑となんの違いがあるのだろうか。
彼女がしたことは大罪である。
しかしその復讐という行為こそ、最も人間らしい行為である言えるだろう。
彼女の選択が正しかったのかどうかは誰にも分からない。
もし分かるとしたら、それは彼女だけなのだ。
・・・・・自らの命を立つ道。
・・・・・復讐を遂行する道。
そのどちらも彼女が最も納得し、満足できるものであったはずだ。
物語のエンディングとしては、どちらも十分であると思う。
しかしもし、それ以外の道もあるとすれば・・・・・?
四話目で「次号最終回」とか言っておいてまだ続きます(汗;)。
でも次こそ本当に最終回ですので・・・m(_ _)m)謝