08 修行開始
修行開始
今度は赤い毬だ。
想像通りそれは火の魔法を凝縮した物だ。
そ例外に緑、青、黄色、透明といろいろな毬を渡されていく。
竜輝にはいろいろな色の鞠がある程度にしかわからない。
各家の当主が見れば顔色をなくすような力だった。
やがて竜輝は自分の体の中が熱くなってきたことに気づく。
いままで体の中には冷たいものがあることは知っていた。
それが体の中から湧き出してくることに気付く。
いままでいくら力を込めて一緒だ。
ただ冷たい力しか感じられなかった。
それに対して、湧き出してくるのである。
姉や家庭教師の人たちが一生懸命説明していたことがようやく一致する。
『体の中の熱い塊からはみ出してくる力を指先に集中して』
そう、いわれても意味がわからなかった。
それがいまはじめて判ったように思えた。
言われたように体の中に入れた力を反対の手に再現しようと力をいれる。
それと共に、男の言っていることを無視して試してみたくなった。
これは、男の恐れていたことだ。
別の修行で行なわれていたことが、男の修行を邪魔することになる。
瞬間それは起きた。
手のひらの上で爆発する。
男は、とっさに竜輝の作り出した魔法を両手で囲って覆い隠した。
「よし今日はここまでにしようか」
起きた現象を見た瞬間家庭教師の男は手を当てる。
それは奇跡のような瞬間だ。
広がった爆炎が家庭教師の方に吸い寄せられていく。
男の真の力!
それは竜輝と同じ魔獣の力だった。
思ったより飲み込みがよかったようだ、
まだ広がりきっていない器が小さかった。
男が予想したより、バックファイアははるかに早く起きた。
あまった魔力が竜輝の身体を熱くしてしまったらしい。
それ起きた瞬間、男はは予測してた。
そのため、なんとか収束できた。
しかし、本人はあわてただろう。
竜輝の態度と興奮から判った。
本人は知らないうちに、魔法総量は中級の魔法戦士が20人かけたぐらいの魔法弾を
飲み込んでいる。
容器の方がびっくりしたのだろう。
問題はここからだ。
今まで、しぼんでいた器が広がり始める。
竜輝に果たしてイメージを伝えることができるか?
そこが、最大のポイントだった。
いままでの家庭教師たちが何も教えていないことを祈るのみ。
「どうだ、これが魔法の発現だ、おもしろいだろ」
竜輝の興奮が最高潮に達していた。
少しはしゃぎぎみだ。
子供では仕方がないところでもある。
「うん、やっと姉さまたちが言っていた意味がわかった」
「ほう、今までに教えられていたことなのか」
「うん、体の中の熱いものを指先に集めるように言われていたの」
「それだけか、・・・」
思ったより基本のことしか教えられていない。
男は、そのことに安心だ。
結局、それさえも出来ない落ちこぼれ扱いだったのだろう。
「そうだよ、それさえ出来なくて姉さまはひどく落胆してたもの」
「そうか、体の中の熱いものというのは初めて経験したことなのか?」
「そうだよ、いまなら出来そう」
「そうか、だが今はやるな。これはまだお前の力になっていない。下手に出そう
とすると先ほどのように暴発するから」
「そうなの、せっかく力が使えそうだったのに」
「あせることは無い。まだ教え始めて数時間だ。どうだ少しは私の言うことが信用
できるだろう」
「うん、あきらめていたのに、僕にも魔法が使えることが実感できた」
「いまは、それを感謝するときだ。次の修行に入るぞ」
「はい、楽しみです」
そういってニコニコ顔でこちらになついてくる。
次の修行はイメージ形成だ。
これがおそらく一番難しい。
この村ではあちこちで実践している。
そのため、そのイメージがそのまま定着してる。
それがくせものだ。
力が弱いうちならそれで失敗や成功を繰り返していけばいい。
しかし、すでに村を破壊するレベルの力だ。
それを試しながら試行錯誤してくわけにもいかない。
力は封じておいた。
出せないのはいいが、イメージをどうするか?
男も初めての事というより、例外事項にマニュアルなど存在しない。
いつも行き当たりばったりだ。
男が、いろいろ考えている間子供は座禅をさせられていた。
子供のイメージがつかめない。
それが、次の修行に進めない理由の一つだった。
『魔法』というのは体内の気を発現させるイメージだ。
ある程度の大人ならイメージに共通認識がある。
だから、教えやすい。
しかし、『子供』というのはその辺が自由すぎる。
そこが、怖いところだった。
男の方針がようやく決まったとき、すでに二日たっていた。
子供はなぜ座禅ばかりさせられるのかわからない。
そのまま、不満をつのらせていた。
だがこの二日は無駄ではない。
いままでたたまれていた器の成長時間だ。
それは、一気に膨らみ始めていた。
縮んでいてさえ並の大人20人分の器だ。
それは、あっというまに数百人分まで膨らんでいた。
男はこの時間が欲しかった。
当然の事ながら、膨らんだ容器は中身をほしがる。
もしこの近くに人がいれば、おそらく食い尽くしてしまうだろう。
それが人を近づけなかった理由だ。
男は、いまこの瞬間にも気を送っている。
しかし、送る端から吸い込まれていく。
早く地球自身から吸い込むことを覚えてくれないと手間でしょうがない。
ところが、いまだに膨らみ続ける容器は納まる気配がない。
男が思ってた以上に大きな器と知る。
さらに二日たってようやく成長が終わった。
男も、竜輝の器が大きいと予測していた。
まさか並の術者一万人分とは考えていなかった。
まさに、『化け物』というべきところ。
大きさだけなら、男の物より大きかった。
しかし、器の大きさだけが魔法のすべてではない。
使うべき口の大きさこそが威力のすべてだ。
その意味では、まだ恐れる物ではない。
しかし、吸い込む魔力の量は十分に脅威となりつつあった。
いよいよ次の修行の始まりだ。
現在、器には底溜めの水程度しか入っていない。
だから、はやく地球とのコンタクトをしてもらわなければならなかった。
はっきりいえばいまこの離れの周辺は魔力の嵐だ。
『魔力と生命力の暴風雨の真っ只中』といったところだった。
近くの生きている動物は皆喰われていた。
野生の動物は本能で近づかない。
しかし、人間は好奇心がある。
そこで、寄ってきてしまうのが怖い。
もうすでに近くの虫もすべて喰らい尽くされている。
かろうじて、植物の生命力は異質なために外見は変化が無い。
それさえも、普段の元気が無くて、しおれ気味だった。
彼が動物と認識するもの。
そのすべての生命力は半径百メートルに関して存在していない状態だ。
男自身は回りに壁のような物を形成している。
それで、なんとか無事だった。




