第一話 決まってしまった運命
「えっ?」
「ついに勇者の剣に選ばれた勇者様が現れたぞ!」
歓声が上がる。
リリィは勇者の剣に選ばれた。
大きな拍手をするもの、
感謝を伝えるもの、
泣き出すものまで現れた。
そんな中リリィの親友アイオラだけがリリィの変化に気づいていた。
少し悲しそうにこちらを見ている。
もしかして、勇者になるのが不安なの?
そう思った、アイオラはひとしきりお祝いが済んだ後すぐにリリィの元へ向かった。
「リリィ?やっぱり不安?」
「アイオラ…」
「リリィ?!」
突然泣き出したリリィをアイオラが抱きしめる。
「あのね、私、25歳までしか生きられない…」
「なんで?」
「分かんない、勇者の剣を抜いた時急にそんな感じがして」
この時リリィは20歳の誕生日を迎えたばかりだった。
「でもね、私が行かなくちゃ…みんな、死んじゃう…」
「だから、だから、私が行かないと、…頑張らないと」
ただ黙ってリリィを抱きしめる。
アイオラは自分を責めずにはいられなかった。
なんで、悲しそうにしているのに気づいていたのにこの子を抱きしめにいかなかった?
自分の運命が決まったのに感謝されて、喜ばれて、そんなの悲しいに決まっている。
歓声を上げた奴らもだ。
リリィはこんなに苦しんでいる。
アイツラを憎んでも仕方ないのに、
みんな死んじゃうからと今も無理して進もうとしている。
なんで、リリィなの?
リリィは私の親友で普通の女の子なのよ?
「アイオラ…」
「なに?」
「ついてきてくれる?」
「………ええ、もちろん」
「あとね、アイオラもう一つ頼みがあるの、聞いてくれる?」
「いいわよ」
「この呪いのことは私たち二人の秘密ね、みんなにバラしてしまったら、きっと、枷になってしまう人も現れるから」
「………分かったわ」
リリィをもう一度強く抱きしめながら答えた




