第2話:呪いの石と、不幸な「救世主」(第1節)
ゴツッ!
鈍い音と共に、僕の頭がどこかに強くぶつかった。僕の視界は一気に暗転し、意識は、底なしの闇へと落ちていった……。
次に目が覚めたとき、まず感じたのは、ひどい頭痛だった。
頭を強く打ったのだろう、ズキズキと脈打つ痛みが、僕の思考を鈍らせている。
そして、もう一つ。
全身を襲う、鉛のような重だるさ。
重力に押しつぶされるかのように体が動かない。
「……ここは、どこだ?」
掠れた声が、ひっそりと響いた。
どうやら僕は、マンホールの底に落ちたわけではないらしい。
僕は恐る恐る体を起こし、頭上を見上げる。しかし、そこにあるのは、鉄製の蓋でも、空でもなく、ひんやりとした岩肌がむき出しになった、洞窟の天井だった。
不気味な形をした鍾乳石が天井からぶら下がり、ぼんやりと光る苔が足元を照らしている。
「……どうして、僕がこんな場所に?」
マンホールに落ちたはずなのに、なぜか僕は薄暗い洞窟にいる。まるで、映画や漫画のような非現実的な状況に、思考が追いつかない。
僕の不幸はついに、現実世界を飛び越えてしまったのだろうか?
僕は恐る恐る体を起こそうとした。
その時、手の中に握りしめていたものに気づく。
「……なんだ、これ?」
掌にあったのは、つるりとしたガラスの感触ではなく、ゴツゴツとした硬い石だった。
不気味な模様が刻まれており、どこか禍々しい雰囲気を放っている。
僕は、マンホールに落ちる直前に拾おうとしていたスマホを思い出し、慌ててあたりを見回した。
しかし、スマホの形をしたものはどこにもない。
その代わり、ポケットの奥底から、古びた地図と、奇妙な形をしたナイフ、そして革のポーチに入った、見慣れない金貨らしきものを見つける。
僕は呆然とそれらを見つめた。
マンホールに落ちたはずなのに、僕の身に何が起こったんだろうか。
そんな疑問を抱きながら、僕はもう一度、掌の上の黒い石を凝視する。
すると、石に刻まれた模様が、ぼんやりと光り始めた。
そして、僕の頭の中に、誰かの声が直接響いてくる。
――「我は、お前を導く者なり。この石は、お前の運命を示す『呪いの石』なり」
声は、不気味なほど澄み切っていて、まるで世界のすべてを嘲笑うかのように響いていた。
僕は恐怖に震えながら、その石を握りしめた。
この石が、僕の身に起きた不運の元凶なのだろうか……。
そう思ったその時だった。
洞窟の奥から、ぼんやりとした光を纏った一人の少女が現れたのだ。




