こんな転生、ありますか!? ⑤
「二つ目は......爆乳に、なりたい」
前世の私にあった唯一の特徴。
それは『微乳』であったこと。
おっぱいの世界には四つのレベルがある。
まずたくさんの人がいるレベル『スタンダード乳』 大きくもなく、小さくもなくいわゆる『普通』の大きさ。
スタンダード乳より大きい人を『巨乳』もしくは『爆乳』と言われている。たわわでふくよかな胸の方。
スタンダード乳より小さい人を『貧乳』
小さめの胸の方。
そして貧乳よりさらに小さい人を『微乳』。微妙にあるかも? ないかも? な乳を略して『微乳』
膨らみが......ほぼありません。
そして私は微乳。
どんなに頑張って胸が大きくなると言われる食べ物や飲み物を飲んでも、ストレッチ体操をしても変化なし。
努力が全く実らない体質。
だから絶対生まれ変わったら爆乳になりたかった。
これはいくら美の女神でも、できないかもしれないな。
様子を伺うように女神を見ると、
「そんなことでいいの? 私みたいに爆乳で美しい形の胸にしてあげる。他には?」
まだ叶えてくれるの?
じゃあ女の子なら一度は願ったこれ。
「フリフリドレスが似合うお姫様」
「フリフリドレスが似合うお姫様ね。任せて」
私は今度こそ、穏やかな暮らしがしたい。
「場所はそうね〜、自然豊かな田舎がいいな。もう前世みたいに時間に追われて、せかせか生きたくない」
「確かに、あなた達は私達より短い時間で生きてるんですもね。ゆったり過ごしたいのはよくわかる。じゃあ、ゆったり過ごせる田舎暮らし……と。他には?」
まさかまだ希望を叶えてくれるだなんて思ってもみなかったから、返答に困る。
「ほら、お金持ちだとか、頭がいいだとか、運がいいだとか」
女神が例をいくつか挙げてくれた。
そりゃお金もあったほうがいいし、賢いほうがいいし運が良ければなおいい。
でもそれは自分でなんとかできそうなことなので、自分でなんとかしてみよう。
すべて用意された人生なんて、面白みに欠ける。
「それは自分でなんとかします」
「なんでも願いが叶うのに、容姿系しか頼まないなんて謙虚。いい子すぎるから、私からシークレットプレゼントを用意するわね」
私が生きていた星に、隕石を落とした女神からのシークレットプレゼント。
不安でしかない。
「それってなんなんですか?」
返答によってはシークレットプレゼントは、拒否しないとね。
なのに女神は、
「秘密。でも特別な出会いと再開を用意しておくからね。では新しい世界での新しい人生、楽しんでき てね」
女神がそう言った瞬間、先ほどまで固かった水面が液体化し、
「きゃ〜!」
水の中に落ちていった。