こんな転生、ありますか!? ④
「あの、数点お聞きしたいことがありまして......」
教えてくれないかもしれないけれど、一応聞いてみた。
「なんでも聞いて。だって私、優秀な美の女神ですもの」
自称美の女神......もうこの際めんどくさいので、彼女のことを女神としよう。
「女神様は......」
「美の女神ね」
女神が『美の』をつけることが重要だと言うように、訂正する。
「美の女神様がはじめに言われていた『前世で良い行いをした人の中から抽選で1億人 を、異世界転生させてあげるキャンペーン』ってなんですか?」
「このキャンペーン知らない?」
「知りません」
「じゃあ簡単に説明すると『ある女神が隕石で遊んでいたら手元が狂って、遊んでいた隕石がある星に衝突してしまって、その星は隕石ごと消滅してしまった』という事件が起きたのよ。その女神、すっごく反省しているから許してあげてね」
とても言いにくそうに話すので、多分この『ある女神』は目の前にいる美の女神のことだろう。
女神は自分で言っておいて墓穴を掘ったと思ったのか「あっ!」と、両手で口を押さえる。
美の女神が言うことが正しいのであれば、あの目が眩むほどの白い光は、隕石が星に落 ちてきている時で、その光に包まれた時、隕石が衝突して星共々、その星の生命体はすべ て消滅したのか。
ということは、私が恋人と幸せな時間を過ごす夢を打ち壊したのは、この女のせいね。
今すぐにでも、どう言うことなのか問い詰めてやりたいけれど、そうすると話が進まな いので一旦保留。
「なるほど、では『落下する私を助けることができた人のみ、すべての希望を叶えてあげ ようじゃないですか』キャンペーン中とは、どう言うことですか?」
私がさっきの質問に対して何も問い詰めないので、自分の行いが許されたと思ったのか、 明らかにホッとしている。
そこは『ホッ』じゃないんだからね。
「全能の神が転生する善人の中から抽選で選ぶんだけど、そこで選ばれた人達は女神や神によって転生作業を行われるの。その際、私チームは身の危険が迫っている私を助けよう、または助けた人先着で100名を人に危害を加える条件でないかぎり、なんでも願いを叶え てあげましょう的なことをしてるの」
「本当になんでも叶えてくれるんですか?」
もし女神の話がすべて本当ならば、前世の私の願いは女神によって叶えられるのかもし れない。
一度死んでいるんだ。
ここは嘘かもしれない女神の話に乗ってやろう。
「私の願い一つめは絶世の美女にしてください」
前世ではなんの特徴もない平々凡々の容姿と言われた。
来世でもそんなことは言われたくない。
もし願いが叶うなら絶世の美女となって、一日中自分に見惚れていたい。
「私を誰だと思っているの? 美の女神よ。そんなのノーマルプランに含まれてるわよ」
自信満々に胸を張ってるけど、それならそうだと先に言ってよ。