こんな転生、ありますか!? ②
次に意識が戻った時、私は不思議な場所で倒れていた。
ゆっくりと体を起こすと、どこも痛くなく怪我もない。
前を見ても後ろを見ても、上を見ても下を見ても左右を見ても、どこを見渡しても青空に白い雲が浮かんでいる。
立ちあがろうとそっと下に手をつくと、ぴちゃりと液体が手に触れる。
恐る恐る両手を左右に振り水面をかき乱してみた。
よくよく液体を見ると、頭上の青空と雲が水面に映っている。
ゆっくりと立ち上がり改めて辺りを見渡すと、どこまでも青空と雲が広がっていて、地平線がどこまでも続く景色のように終わりが見えない。
「ここは......」
記憶を辿る。
確か寂しい25歳の誕生日を、誰も待っていない部屋で過ごすために家路についていたら、辺りが急に白い光に包み込まれて......。
「ここにいた」
何度見渡しても青空と雲と私だけの世界。
もしかすると......いや、絶対ここは死後の世界だ。
そう考えると、全て合点がいく。
やっぱり私、あの時死んだんだ。
恋人がいないまま死んでしまうなんて神様、あんまりだ。
恋人とデートしたりイベントごとは一緒に過ごして、もちろん お互いの誕生日は盛大にいわったりしたかった。
悲しいというか、惨めだというか、残念だというか......。
思い残すことが山のようにある人生でした......。
がくりと肩を落としていると、背後から「みゃー」という鳴き声がする。
振り返るとあの白猫が足元にいて、私を見上げていた。
「かわいそうに、君も死んじゃったのね」
抱き上げると、体は柔らかく軽い。
あの光のさえなければ、私たちは死後の世界に来ることもなかったのかな......。
「まだ死にたくなかったね」
頭を撫でてやると、白猫は「みゃー」と鳴く。
まるで私の言葉に同意したみたいだった。
「あ〜あ。こんな時、優しい女神様が目の前に現れて、今流行りの『転生』とかしないかな。 その時は君も一緒に転生しようね」
ありもしないことを言い、自分の気持ちを盛り上げ前を向く。
この景色がどこまで続いているかわからないけれど、進むしかない。
どうせなら第二の人生。楽園で過ごしたいな。 1人と猫1匹、歩き出した時、