無口少女の策略
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その頃の鈴は………
「むふー……明日は健一とデート。ふふっ……どうせにぶちんな健一はただの遊びだと思っている筈、だから明日は健一をその気にさせて必ず悩殺?させる」
健一をデートに誘えた事が余程嬉しかったのかキングサイズだと思われる豪華な水色のベットの上をコロコロと転がり続けている。
因みに鈴はお風呂を入った後なのか、水色のワンピースの様な寝巻きを着ていた。
そもそも女性と2人で遊ぶという事はほとんどの人が2人で遊ぶ=デートと発想する筈なのだ、そこを気付かない健一は流石鈍感野郎、あるいは朴念仁と言ったところだろう。
男女の友情が成立すると考えている方はそのままでいいと思うが。
………鈴は違う。
そんな風に興奮が冷めないのか鈴がベットの上で転がっていると主人の痴態を見たくないからか側にいたメイド服に身を包むレイナが鈴に声をかけた。
「お嬢様、明日三丈様と会えるからと言って興奮をするのは分かりますが、明日も早いと思いますのでもう就寝しては如何ですか?」
「む……レイナだって明日健一と会えるのが嬉しいのかさっきからそわそわしてる、そんなレイナに言われたくない」
「なっ!?そんな事は………」
鈴に注意をするはずが図星を突かれてしまったレイナはタジタジになってしまった。
そんなレイナを見て鈴は明日の邪魔をされたくないのと抜け駆けをさせない為に釘を打つ事にした。
「レイナ……明日は私と健一のデート、レイナが健一と仲が良いのは知っているけど明日は私の邪魔はしちゃ駄目……だからね?」
「し、しませんよ!それに私は別に三丈様と仲良くなんて、ゴニョゴニョ………」
「………‥」
レイナのその分かりやすい反応に鈴は無言ながらジト目を向けていた。
最初は鈴もレイナが健一と仲が良い……健一の事を好きなのは知らなかったが、会う度会う度健一に自分から絡みに行くレイナを見ていたら、違和感を覚えていた。
それでもまだレイナが健一の事を……好きだとは気付かなかったが、鈴はある現場を見てしまったのだ。
トイレに行く途中にレイナの部屋の近くを通った鈴はレイナの部屋のドアが開いているのが気になり近付いた。
その時に何か気になったのか鈴が部屋の中を見たら、何とあのいつも冷静沈黙な表情のレイナが顔を緩ませてある人形に顔をスリスリしていたのだ。その人形が何故か健一の顔ソックリだったのだ。
鈴がその事を知っているとレイナは知らないかもしれないが、その時から鈴はレイナの事を恋の敵としてレイナを敵対している。
「も、もう!お嬢様!私の事は良いのです!それに明日は邪魔をしませんのでお早めに就寝してくださいませ!」
鈴の無言の圧力に耐えられなかったのか、はたまた恥ずかしさに耐えられなかったのかは分からないが、鈴の返事を聞かず、主人に対してあるまじき対応をしてレイナは鈴の部屋を後にして出て行ってしまった。
でも鈴はその態度に何も言わなかった。
昔からの付き合いというのもあるが自分が揶揄い過ぎたという自覚は鈴にあるのだから今回は何も言わない事にした。
「ん、私ももう寝る。明日遅れたら嫌だから」
鈴も遅れるのは嫌なのか、レイナの言いつけ通り早目に就寝する事にした。




