表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/35

勘違い②

読んで頂けると喜びます。


 双葉は双葉でいつもの無口が嘘の様に流暢に喋り出し、健一の事を赤子でも見るように微笑んできた。


 ただ、そんな事を言われた健一は屈辱の一言に過ぎる為、ありもしない記憶を捏造して話す事にした。


 言わなければ後から変な事にならなかったのに。


「ばっ…バッカお前……本当に俺はモテるしぃー!モテモテでしょうがないんですけど!……それに猥褻な行為?痴漢?そんなの序の口だろ!俺はもっと上に行ける男だぜ?なんなら今から強姦を出来るぜ!?」

「………‥」


 言ってしまった、モテないと言われて頭に血が昇らず暴走していたと言うこともあるがそんな事を健一は声高らかに双葉に言ってしまった。


 双葉はさっきまでは優しい表情をしていたが、今はそれも身を潜め道端で汚物でも見た時の表情になると無言でスマホを操作しだした。


(俺、なに言ってるんだよ!?いくらモテないと言われたからと言っても暴走し過ぎた、それよりさっきから悪鬼みたいな表情で双葉は何をしてるんだ?)


 健一が変な事を言った直後恐ろしい表情になったと思ったら何かスマホで操作しだしたので、気になったので聞いてみる事にした。


「な、なあ?双葉?双葉さーん?聞いてる?」

「………‥」


 健一は懸命に話しかけたが、一向に顔を向けてくれないし聞いてもくれない。


 ただ手に持っているスマホを弄るだけだった、それから数分したらようやく顔を上げてくれたのでさっきの事は冗談だと伝える事にした。


「やっと顔を上げてくれたか……双葉、さっきの事は冗談だからな?間に受けるなよ?」

「………連絡した」

「は?連絡?何に?」

「………‥」


 冗談だと伝えたが、双葉は何かを連絡したと言ったきり、無言になってしまった。





 そんな双葉の様子が怖くなり、もう一度何を何処に連絡したのか聞こうとした。

 

 その理由はもしかしたら健一が今本当に強姦をするかと勘違いして警察に連絡を入れた恐れがあるからだ、流石に無いとは思うが最悪のパターンは払拭しときたいから伝えようとした。


「双葉?本当に聞いて……んあ?」


 聞いてくれと健一は言おうとしたが、もうすっかりと真っ暗になっている空から「バタバタバタ」と何かが風邪を切る音が聞こえた為、空を見上げたら……航空機が健一達の頭上に飛んでいた。


 それも三機も空で低空飛行をしている、その状況を見て健一は口を開けたまま何も言えなくなって唖然としながら空を見上げていた。


 人間とは想定外な事が起こると脳の処理が追いつかなくて大体の人は無言になる物だ、マジピエン。


「………‥」


 航空機とは、よく自衛隊の人達が乗っている迷彩柄の戦闘機の事だ、訓練や様々な任務を行う時に使われているが、人1人が簡単に呼べる様な物ではない。


 ではそんな物を誰が呼んだと言うと……1人しかいない、ここ日本で三大財閥と言われている双葉財閥の令嬢、双葉鈴の手によって自衛隊は呼ばれた。


 健一は何も言えないまま唖然と見ていると、空中で低空飛行をしていた一機の航空機が広い屋上に降り立った。


 降り立った途端、中から迷彩柄の服を纏った人達が5人出てくると銃を持ちながら鈴の元に来た。


 その中のリーダーと思われる人物が、双葉の目の前で片膝を付くと安否の確認を取り出した。


「鈴様、我々双葉家直属の自衛隊が只今到着致しました!お怪我はありませんか?」

「ん、大丈夫、それよりさっき伝えた通りにして」

「はっ!分かりました!お前らその男を取り押さえろ!!」

『はっ!!』


 リーダーが他の自衛隊の人に声をかけると惚けていた健一をすぐ様囲み、地面に縫い付けると動かない様に羽交い締めにしてしまった。


 された健一は何をされたか一瞬の出来事だった為、カエルが潰れた様な泣き声を上げることしか出来なかった。


「グエッ!?」

『鈴村様及び他の人達に卑猥な行為をしようとした男確保!!』


 健一を取り押さえた自衛隊の人達はリーダーと双葉にそう伝えた。取り押さえられている健一本人は今何が起きてるか分からずパニックになっていた。


(ちょっ!?何々!いきなり戦闘機らしき物が来たと思ったら自衛隊の人に取り押さえられるとか訳が分からねぇ……ぐっ!地面に顔を無理矢理抑えられてるから上手く話せないし………)


 健一がその場からどうする事も出来ず、無駄な抵抗をしていると双葉達が話しだした。


「鈴様、私が意見を出すのもおこがましい事ですが、この少年を取り押さえました……が、本当に警察に明け渡しても良いのですか?空から少し様子を見させて頂きましたがご友人ではないのですか?」


 リーダーが双葉にそう聞いてくれた事により、健一は助かる希望が見えた。


(そうだ、良いぞリーダーさん!もっと双葉に言ってやれ!この後警察に捕まるとかマジ勘弁なんで!)


 健一が心の中で警察に捕まるのは勘弁と思い双葉に助けてくれとアイコンタクトをとった。


 当の双葉はそんな健一のアイコンタクトなど見ていなく、今一番言って欲しくない一言を自衛隊に伝えた。


「健一は友人、だけどその友人が間違った道を進もうとしてるのを止めるのもまた友人の私の務め、他の人に迷惑をかける前に私が終わらす」


 双葉のしっかりとした考え、それに昔より成長した双葉を見れて自衛隊の人達は感銘を受けていた。


「………そうですか鈴様にも考えがおありでしたのですね、分かりました、この扇しっかりとこの鈴様のご友人を警察の方達に無事届けましょう!」


 リーダー、改めて扇という男性は双葉の命に従い健一を警察署に連れて行こうとした、だが健一はそんな理不尽な事があってたまるかと思い暴れだし抵抗をした。


(うがぁー!こんな事で警察に捕まるなんて屈辱だわ!周りにも親にもなんて説明すれば良いんだよ!多分捕まっても俺は未成年だからそんなに罰は無いと思うが……今後に響くから嫌だー!)


 健一は捕まってしまった後の事を考え、どうにかしてこの状況を唾棄するために色々と考え、無駄な抵抗だと分かっていても暴れだした、そんな健一を見て何を思ったのか扇が双葉に最後の会話をしてはどうかと話しだした。


「鈴様、もしかしたらこの後当分の間この少年とは会えないかもしれません、最後に伝える言葉があるなら今伝えてあげて下さい」

「………ん、分かった」


 小さく返事を返した双葉は自衛隊に今も尚取り押さえられている健一の元に向かった。


健一も双葉が近付いてくるのに気付いたので暴れるのを辞めて喋る事が今は出来ないので話を聞く事にした。


「健一、残念だけど今の暴走している貴方じゃ真面な考えが出来ないと思うから、この後一度刑務所に入って今の考えを冷静になって考えて、それでもまだ強姦をするとかふざけた事を言うなら徹底的な調……指導も辞さない」

「………‥」


(だから!真面な考えはもうしてるわ、喋れないから何も言えないけどな!それに最後絶対お前調教って言おうとしただろうが!双葉の野郎この状況を楽しんでやがるな………)


 双葉に言われたが、何も喋る事が出来ない健一は心の中でそう考え、何かを訴える様に無言で双葉を見つめていた。


 見つめられていた双葉は何かを感じ取ったのか自衛隊の人達に健一の拘束を少し緩めて喋れる様に伝えた。


「………扇、この状況じゃ健一は何も喋れないと思うから喋れる様にしてあげて」

「はっ!お前らその少年の頭の拘束を少し緩めて喋れる様にしてあげろ!」

『はっ!』


 扇に言われた他の自衛隊の人達は何も文句を言う事なくすんなりと健一の頭の拘束を緩めて話せる様にしてあげた。


ようやく解放された健一はまず話す前に呼吸を整えると双葉達に勘違いだと伝える事にした。


「はぁー、ようやく息が出来る、やっと喋れるわ、まず双葉、俺の話を聞いてくれ」

「ん」


 健一の言葉に短くだがしっかりと返事を返してくれた。


その様子を自衛隊の人達は静かに見つめている。


「さっきの俺の強姦とかあれは冗談だからな?ちょっとムキになって口に出ちまっただけだから、それも俺がそんな事出来る訳ないだろ?だから俺の拘束を解いてくれる様に伝えてくれ!」

「………‥」


 健一の言葉を聞き、しばし無言になった双葉は少し考える仕草をすると答えが出たのか伝えて来た。


「ん……健一はまだ反省してない、取り押さえて」

「何でだよ!?待て、話し合いが出来るのが人の特権だべっ!!」


 双葉の言葉にツッコミを入れながらも話を聞いてもらおうとしたが、双葉の命で直ぐ様に動いた自衛隊にまた取り押さえられてしまった。


「健一、私は残念、頭が良い貴方ならもっと真面な考えを出すと思っていたけど、もう既に頭の中が性欲で支配されているみたい、次は刑務所の面会室で会う、その時は冷静になっていて」

「………‥」


(これ……もう詰んでね?双葉は何も聞いてくれないし………)


次回「過去の回想 デート?違う、デットの間違いだ!」を更新する予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ