第四部 二ヶ月前:中庭にて
※※※※※
一瞬目に浮かんだのは白昼夢。どういうわけか思い浮かんだ、妹と結び付けなければほとんど思い浮かぶこともないような場所。
そこは大樹の広場。特徴的な四色の花に、整然と整備されている芝生。時間的には真夜中だろうか、辺りには闇の帳が下りており、周囲に人影一つ存在しない。
そこに、その少女はいた。
まだ年齢を両手の指で数え切れそうなほどの幼さをたたえた少女。大樹の下に祈るように膝をつき、何かを願い続けている。
音のない、世界。
そこで、その少女は何かを願い続ける。誰かの幸い、あるいは刹那の時間を。
何故そんな光景を見てしまったのか、俺には理解が出来ない。気がつけばこんな情景がふっと頭に浮かび、そしていつの間にやらとらわれていた。
もしかすると、何かの予兆であるのかもしれない。が、だからといってこんな抽象的な形では何がなにやらまったく理解が出来ないし、何よりこの夢からどんな未来が待っていると予想できるというのだろうか。
そして何より、俺には眼前にいる少女が誰なのかが理解できない。
まるで関係のない人物であるかもしれないし、俺の知り合いであるのかも知れない。が、最もありそうな可能性である俺の知り合いの線を押したところで人数が如何せん多すぎて絞り込むことが出来ない。
あるいは、この白昼夢に意味などないのかもしれない。
妹から引き継いだ役目、それを意識しすぎたがゆえに思い浮かんだだけの、単なる幻想。その線を押すとすると、眼前で願い続けている少女は妹だろうか。ありうる。あの役目を引き継いだのは相当昔のことだったし、あの頃の妹の身長は丁度あのぐらいだった。
まったく、まだ振り切れてないのか………
ぼやくように、再びその妹思われる少女に目を落とし、
そしてその首に小さな真珠の細工を施された指輪が鎖に通されてかかっているのを見て、
意識は、現実へと帰還した。
※※※※※
「………………………」
一瞬、意識が主観に対応できずに白紙状態になった。
「………なんだったんだ?」
つぶやき、あたりをぐるりと見回して現実把握に努める。
目に入った景色は芝生の青が目にまぶしい庭園のようなところのほぼ中央。少しはなれたところにぐるりと囲むように白亜の壁、背中には樹皮の感触、ややひんやりとした感覚が付きまとうのは俺が今木陰の中にいるからだろうか。
そこでようやく思い出した。
ここは病院の中庭だ。
小米姉さんの急襲にあったのはもう三日も前のこと。それ以来令も何かしらの用事が多くなったのかたずねてくることがなくなり、急に暇をもてあますようになったのだ。
もともと俺はインドア派の人間ではない。
そんなわけで窮屈アンド退屈きわまりない病室から抜け出し、それほど足に触らない距離にある暇つぶしスポットを探したところ、この中庭が引っかかったのだ。屋上も一応候補に挙がっていたのだが、この足で階段を登るのはきつい。
しかし、移動したからといって、
「………――――」
退屈でなくなるわけでは、なかったりする。
ここにいたところで、病室で常に付きまとう微妙な閉塞感がなくなる程度。やることがないのには変わらないのだ。魔法の練習しようにも、いつ誰が入ってきてもおかしくない病室内でやるにはリスクが大きすぎるし、中庭ではことさらに目立つ。
「……………退屈だ………」
中庭に生えている木を背にしたまま、上を見上げる。
目に入るのは背もたれにした木が広げた葉っぱの数々と、その隙間から伺える空。時刻は昼ちょっとすぎ。今の時期を考えると、もう授業は終わっているだろう。ま、関係ないか。見舞いラッシュは終わったし、それに不在だったところで誘引連中なら俺の所在ぐらい見当が「あ、明見っけ」つくだろう。
ほら、ここでも一人。
「ね、ここにいたでしょ?」
「ぬう………わしも年をとったもんだ。小さい頃から一緒に追ったもんの行きそうな場所もわからんとは――」
あれ? 渋い声も一緒?
と、いうことは………
声の飛んできた方向、左斜め後方を伺う。
そこにあるのは外科病棟側の出入り口のあるほう、そしてその出入り口付近には、明るい色彩の私服に身を固めた悠と、その脇を歩く渋い色の服装の――――
「やほー! 明!」
俺の視線に気がついたらしい。悠が入り口のあたりで若干飛び跳ねながら手を振って来る。そのまま子犬を思わせる動作で老人の下から樹下の俺の元へダッシュ。
「もう、病室にいなかったから探しちゃったじゃない! 事故って大怪我なんだからおとなしく病室にいないと。それほど害のない時期でよかったけど、それでも大怪我なんだからね!」
「……悠、ちょっとテンション落とせ」
と、いうかそのテンションがはじめて見舞いに来たときに発揮されなかったのが不思議だ。
悠は不満そうに腰に両手を当て、
「却下! この間はなんだか悩んでたみたいだったから遠慮してたけど、今はもう大丈夫みたいだから容赦しないからね!」
ああ、なるほど。そういうことか。見舞い可能な状態になったのがつい十日前、で、悠が見舞いに来たのも十日前だ。一応普通の精神状態っぽく落ち着いたとはいえ、まだまだ沈んでいた頃だったし、はっきり言ってはためから見れば鬱状態に見えないこともなかったと思う。そんな状態だ、遠慮しても、まあしょうがないだろう。
で、その必要もなくなったからこうなった、と…………
相変わらず元気な奴だ。
「複雑骨折なんでしょ学校出て来れないんでしょ! だったらせめて病室でおとなしくしてないと駄目じゃない! 受験は終わってたから何とかなったけど、三学期の分の勉強ぜんぜん出来てないんだから! おじいちゃんの学校入って後悔しても知らないから!」
「まあまあ、悠。そのぐらいにしておいてやりなさい……それに病室を抜け出したことを責めるのは正解といえば正解だが、わしはそのほうがいいと思う。なにせあの部屋は息が詰まるんだ……」
ゆったりペースで追いついてきたらしい、悠と共にいた老人がなだめるように言った。
「むっ―――おじいちゃんまで………」
「確かにあの部屋は療養には丁度いい。だがまだまだ若い青少年があんな部屋にこもりきりでどうする? まだまだ若いんだ、著と無理があるぐらいで丁度いい」
ゆったりと渋くはあるが硬くはない声で言いながら、自分は俺の正面に配置されているベンチにゆっくりと腰を下ろした。
「ほら、悠も明も、そんなところにいないでこっちへ来たらどうだい? 確かに木の下は心地よいが、会話にはむかんだろう」
そしてその老人は軽く笑った。
―――時瀬葵。
悠の祖父にして俺の昔からの相談相手。早くに両親を亡くしてしまった俺たちを、よく助けてくれた人物だ。
加えて言えば、かなりの財力、人望を有する人物でもある。
苗字からもわかるとおり、俺がこの春から通うことになっている大学付属高校とも無関係ではない。と、いうかこの人の建てた学校なのだ。
…………断言しておくが、別に仲がいいからといって受験に融通を利かせてもらうなんて事はしていない。まあ、入学金のあたりで融通を利かせてもらったなんて事は………ないこともないが、その一点を除けば俺も悠もそれぞれ自分の実力で合格通知をもらっている。
「…………確かに、そうですね」
「うん、同感」
葵さんの勧めに従い、悠は葵さんの右隣に座る。俺はとりあえずこの状況から考えて最適な場所である葵さんの左隣に
「こら」
座ろうとして、怒られた。
「…………………」
じと目でにらんでくる葵さんの視線をかわすべく、なれない松葉杖を使って仕方なく、悠の隣に座った。なにやらしたり顔で葵さんが微笑んでいるのが少し気になるが、気にしてもしょうがないだろう。隣で悠が縮こまったのも気になるといえば気になるが。
「………………………」
「………………………」
「………………………」
しばしの沈黙。しかし不快な沈黙というわけではなく、普段の喧騒、わずらわしい観念などに縛られることがない、どこか達観したような感覚が付きまとう、まったりとした沈黙だった。
ふむ、普段から静かなところを好んでいるが、こういうのんびりした沈黙は久しぶりだな。特に悠がいる環境では。昔からのんびりしているところに乱入して、その状況をめちゃくちゃに破壊してしまうのがこいつだった。けど、今は静かだな。どうしてだろう。
「………………ひどい様子だったと聞いていたが、もう大丈夫そうじゃないか」
つい零れ落ちた、という風に葵さんがおもむろに言った。
俺はギプスでガチガチに固められた脚を軽く持ち上げ、
「ええ、普通の骨折程度には回復しましたから、あと一週間もすれば退院できるそうです」
「はは――確かにそりゃいいことだ。だけど、わしの言っとるのはそっちのことじゃあない」
ゆったりした様子で、葵さんは空を見上げた。
「一週間前の様子からすると、だいぶ良くなっとる酔うじゃないか、明。悠から聞いた様子より遥かにマシになっとる」
一週間前、というと令に会った翌日のことだな。悠がいきなり突撃してきて、妙にしおらしい態度のまま帰ってしまった日。
「………いえ、だらしなく一人で沈んでただけです。復活できて当然ですよ」
「肉親の死というものはいつの時代でも重くのしかかるもんだ。ましてや唯一の肉親、その若さでのしかかってこられて軽いなんて事はあるわけがない」
穏やかな口調のまま、葵さんは続ける。
「わしももうこの年だ。もう何年も前に息子も嫁も亡くしたが、それでも家族の死というものは答える。ましてや明はまだこの年、しかも亡くしたのは妹と来ている。沈まないほうがどうかしているというもんだ」
「……確かに、そうですね」
そういえは、似たようなこと令にも言われたな。いなくなってしまった人が、それだけ大事だったということ。そう、その通りだ。
「うん、私も、しょうがないと思う」
今まで黙ったままだった悠が、唐突にい穏やかな口調で言った。
「私みたいな友達でも、大事な人だったんだから――鷺ちゃん。お兄さんだった明が堪えないはずないもんね……」
「まあな………」
そういえば、昔はよく三人で遊んだりもしてたな。あの頃は巫女ヶ浜のお役目はどうとか、人生が半分だとか、そんな事はまるで関係なく無邪気にやったもんだ。
「………まあ、大事がないなら何よりだ。悠と来たら事故にあったその日にどれだけ動揺してたか筆舌には尽くしがたい」
「!」
おっと、となりの悠が一気に真っ赤に。あの日の令が茹蛸だとすると、悠は柘榴の実といったところだろうか。
「ちょ……おじいちゃん、いきなり何言って――」
「だってそうだったじゃないか。明が事故にあったって聞いたその瞬間、わしゃ一瞬お前がお百度参り決意した恨み深い女のようにみえたんだから」
「お百度決意した恨み深い女の顔って、一体どんな顔になったんだよ、悠」
「いやだからそんな顔してないって……」
「いいや、悠。あのときのお前の顔はまさにそんな感じだった。寿命が縮むかと思ったぞ」
「だからそんな―――」
「命に別状がないってわかったあともあの顔のまんまだったじゃないか。わしとて心配だったが、あそこまでになるとなると……こりゃあ、ただ事じゃないな」
「!」
あ〜あ〜いいように遊ばれちゃって………
パワーバランスはいつになっても変わらないのね。
「今日だって面倒くさがり屋のお前が『そういえばおじいちゃんまだ明のお見舞い言ってなかったよね』なんて言い出したりなんかして…熱でもあるのかと思ったぞ」
「わわわ………」
「そのくせ何か裏があるのかと思ってみてても何もなし。つまり、お前の目的ははじめからここに来ることにあったってことじゃないか。ここに来たところで何もない。じゃあ今回の目的は――」
「わわっ! おじいちゃんストップ! あ、私ちょっとジュース買ってくる! おじいちゃん、後はよろしくね!」
言うが早いか、悠はそのまま飛び上がらんばかりの勢いで立ち上がり、外科病棟入り口へ向かってダッシュ。
「…………………………」
残されたのは俺と、
「………はは、かわらんなうちの孫は」
のんびりと笑う葵さんだけ。
しかし葵さんの真似をするわけではないが、ホントウに昔から代わらない奴だよな、悠って。
「ほんとに、変わりませんよね……」
「ははは、ホントウの感情はそう簡単に変わったりはせんよ」
「え?」
「いやいや、なんでもない」
ゆったりと笑ったまま、葵さんは空を見上げた。
「さて………本題に入るとするか」
「本題……ですか?」
ああ、と葵さん。
「さっきから何か聴きたそうにしておったし、それに悠の前だと話しにくそうだったじゃないか」
さすがに鋭い………
確かに俺は葵さんに聞きたいことがあったし、悠の前だと言い出しにくかったというのも真実だ。
「……よくわかりましたね」
「年寄りを舐めるもんじゃない。それに明は昔からわしら一家の隣におったし、悠との付き合いも長い。わからんほうがどうかしとるよ」
言いながらも微笑みは崩れない。俺は姿勢を脚に負担がかからない程度に正し、正面に目線をやりながら言った。
「……葵さん、学校の生徒のこと……どれぐらいわかります?」
「わしの学校のことなら大概の事は知っとるよ」
それはわかっている。そうでもないと学長なんて務まらないだろう。
「なら、生徒の顔と名前、どれぐらい一致してます?」
葵さんは考え込むように顎に手をやり、
「ふむ………最近は少しぼけてきたから一時期のようにはいかんが……おおよそ八割といったところか」
十分すげえじゃねえか。
ちなみに私立時瀬大学付属含めての生徒数はおおよそ980人ほどだと聞いている。その八割だから……概算で780人ぐらいか。その年になってこれほどの数の顔と名前が一致しているとは……たいしたものだ。
「……わしの学校の生徒のことで、聞きたいことでもあるのかい?」
「……ええ、まあ………」
生徒であるという確証はないが、初めてあったときからずっとあの制服であったことを加味すれば、相当な確立で時瀬大付属の生徒である可能性がある。
「葵さん、雨鏡令って人のこと、何か知ってます?」
これで葵さんの覚えていない二割のほうに入っていればアウトだが、恐らく………
「雨鏡……雨鏡………ああ、あの子か。大人びた感じで、長髪の。何だ、病院であったりでもしたのか?」
「……まあ、そんな感じです」
しかし、嫌にすんなりと病院という単語が出てきたものだ。
「その人、何ですけど……学校ではどんな感じなんですか?」
「何だ? 気になるのかい?」
「ええ、まあ」
ふむ、と葵さんにしては珍しく不満そうな吐息が漏れた。そして何事か口の中でもごもごとつぶやき、
「―――まあ……だいか…………やれやれ、明も隅に置けない。もうすでに留年が確定している生徒に目をつけるなんて」
「留年確定?」
意外だ。少なくとも会話した限りでは少し変わってはいるものの、頭は悪いほうでないことが押して知れるし、それに性格も真面目なほうに属する。頭の良し悪し=成績なんて思っているわけではないが、少なくとも真面目に努力するような性格である令に限って留年なんて単語に縁があるようには思えない。
「ああ―――入学初期の頃に長期入院して、出席日数が足りずにしょうがなく。成績も性格も進級させるには申し分ないんだが………残念ながら」
入学初期、という事は今は一年。それも留年確定という事は、俺が入学する頃にもまだ一年というわけか。
「友人関係は?」
「同い年に友達がいるほうじゃない。入学初期に入院したせいでクラスでも浮いてしまって、一人で読書しとる姿をよく見かけるよ」
一人、教室、読書。
なるほど、令に似合いそうなシチュエーションだ。
「あとは………大樹が好きらしい。よく首から四季の小瓶ぶら下げとるのを見るよ」
「四季の小瓶……?」
「ああ、明は知らんのか。わしの学校内での流行でな、大樹の花四種類を綺麗なうちにビンにつめて、お守りにしとるんだ。特に女子の間で流行っとる」
大樹の花を、ね………世の中には変わったお守りもあるものだ。って、変わった家の生まれの俺の言えたことじゃないか。
しかし、大樹が好きときたか。
しかも綺麗なうちにビンにつめなければならないお守りを常に持っている、と。
そうなれば大樹に通いつめる必要性が出てくるのは当然で、そうであるからには昼間のうちからでもよく大樹に通っていた妹と出会う可能性も当然――――
「………………………」
「しかし、突然どうした? 明がそこまで他人のことを気にするなんて珍しいじゃないか」
口調は柔らかでも、その裏に真剣さが見え隠れする声音。
昔から本気で聞きたいと思っていることがあるとき、葵さんはこんな声音になる。
「いえ、別段どうしたって事はありませんよ、葵さん。単純にちょっと気になったものですから」
「ふむ………なら、いいのだが」
……なんだろう、やけに葵さんの歯切れが悪い。
もしかして、
「…………令の入院してる、家族のこと」
「!」
驚いたように、葵さんの目が見開かれる。
「なんだ、知っとったのか」
「いえ、最初に令のことを持ち出したときに、妙に早く病院って単語が出てきたものですから、そこを気にしてるんじゃないかと思いまして」
普通何の脈絡もなく自分の学校の生徒のことを聞いてきたのなら、まずは接点を訪ねるだろう。俺は入試のとき以来時瀬大付属には行ってないし、葵さんともほとんど会ってないのだ。気にしないほうがどうかしている。
「ふむ………相変わらず鋭いな」
「いいえ、もともと家族が入院してる事は令から聞いてましたし」
「なら、その入院しとる家族が鷺ちゃんと知り合いだったことも筒抜け、か……」
「え?」
令の入院している家族が、鷺と、妹と、知り合い?
じゃあ、令のいっていた『知り合いの娘』というのは―――
「………知らんかったのか?」
「……その家族が妹ということと、鷺と知り合いだったという二点については」
しかし、言われてみれば納得かもしれない。令は俺よりも一つ上で、鷺は俺より二つ下。令の妹の年齢がどの程度のものなのかは定かではないためなんともいえないが、並外れて幼くない限りは小学生〜中学生の間ぐらいには収まるはず。
十分、俺の妹と知り合いである可能性を肯定できる。
「ふむふむ………あった事はない、と」
「ええ、それどころか妹がいること自体初耳です」
「ならあまり踏み込んだことは言えんが………まあ、名前ぐらいならいいじゃろ」
責任者らしく細かいところは守る人かと思っていたのに……案外いい加減なのか。
まあ、俺としてはぜんぜん困らないのだが。
「妹さんの名前は桜守梓。須玉学院に通う、今年二年生になる女の子だ」
「須玉………ってことは、」
「そう、鷺ちゃんと同じ中学」
という事はそこでの友人か。俺も鷺もそれほど友人のいるほうではないのでそれほど友人の話はしないのだが、その名前は微妙に聞き覚えがある。
「ま、わしが知っとるのは雨鏡さんとこに妹がおることとその妹さんが入院しとることぐらいだ。鷺ちゃんとどんな交流があったのかまでは知らんよ」
「わかってますよ。むしろ知っていたほうが驚きですって」
「はは……確かに」
しかし妹ね…………
何故だろう、先日の白昼夢といい、入院している令の妹の存在といい、それに大樹と令の接点といい…………
妙に嫌な予感がするのは、俺だけだろうか。