表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君が奏でる部屋  作者: 槇 慎一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/148

42プログラム

 

 3月始めに開催される、かおりのリサイタルのプログラムの印刷が完成した。


 かおりは、コンクールで圧倒的な一位で全部門でのグランプリとなったため、副賞として、予選で演奏したプログラムのリサイタルの権利を頂いた。


 合計約150分の内容だったため、約50分ずつ3回の公演を入れ替え制で行うことにした。



  公演1(13時開演)

 ドビュッシー/プレリュード 第1巻

 バッハ=リスト/オルガンのためのプレリュードとフーガ イ短調



  公演2(15時開演)

 リャードフ/オルゴール

 リャードフ/バルカローレ

 メンデルスゾーン/ロンドカプリチオーソ

 シューマン/ピアノソナタ ト短調

 バッハ=ブゾーニ/シャコンヌ



  公演3(17時開演)

 バッハ/平均律1巻より第3番

 ショパン/エチュードよりエオリアンハープ・大洋・別れの曲

 ベートーヴェン/ピアノソナタ第24番『テレーゼ』

 リスト/愛の夢



 1つの公演ずつ単品でも購入可能だが、ほとんどが3回公演通し券での注文で完売だそうだ。


 主催者から、プログラムもお客様に好評だと教えてくれた。コンクールのために、かおりの良さを生かして選曲したのは僕なので、嬉しかった。


 この他にシューマンのピアノコンチェルトを弾いていたのだから、本当にすごい。長い期間をかけたとはいえ、よく練習した。


 僕も前年度部門一位、全部門でグランプリだったので、それがどんなに大変だったかわかる。しかし、それでもこれからだ。僕は指導者としてまだ若い。かおりと教授が出会えたきっかけは僕の反抗期だが、それでもよかった。自分の生徒を、自分の師匠に指導してもらえるのはこの上ない幸運だ。



 そろそろ具体的な準備をしなくてはならない。


 シューマンのコンチェルトで着たドレスも良かったが、せっかくだから3回ともドレスを替えたらどうだろうかと、かおりとドレスショップに行くことにした。


 コンチェルトのドレスは、僕と僕の母親で決めてしまったが、今度はかおりと行こう。ウェディングドレスの見学も兼ねて、かおりに似合いそうなドレスショップを母親に聞いてみた。


 僕の母親はかおりのことが大好きなので、すぐにお勧めの店の試着を予約してくれた。費用の心配をしなくていいと言ってくれたのは、素直に有り難かった。僕はこれから社会人になるが、結婚式は両親の世話になることにした。


 母親が予約してくれたのは、結婚式を挙げるホテルと提携しているウェディングデザイナーのブライダルサロンだった。結婚式のドレスとリサイタル用のカラードレスを数着選ぶため、試着のための時間を長く用意してもらった。


 僕もかおりも、あちこちサイズを測ってもらった。僕は193センチで、かおりは168センチだった。僕は、サイズの関係で洋服の選択肢が豊富でなく、いつも父親がオーダーメイドを用意する時に一緒に誂えてもらっていた。演奏もするからタキシードを含め、スーツはいくつも買ってもらってあるし、洋服にはあまりこだわらないから、普段着もシンプルで良質なものがいくつかあれば充分だった。オーダーのシャツは、ピアノで腕を動かしても袖の長さが丁度良く、素材も上質で着心地が良かった。父親は、僕の普段着も一緒に用意してくれる。好みのものばかりで有難い。


 このブライダルサロンでは、僕のサイズに合うフロックコートがいくつかあった。黒は着る機会が多いし、明るいネイビーブルーのものが目に留まった。試着してすぐにそれに決めた。かおりが僕を見てくれたのは嬉しかったが、ちょっと照れた。かおりに見られるって、こんなに照れることだったんだな。


 かおりは、母親が言っていた通り、胸のサイズとウエストのサイズやドレスのタイプと身長のバランス、何より演奏のしやすさで向き不向きがあり、すぐに決められるものがなく、なかなか出てきてくれなかった。


 待ち時間は長かったが、かおりが試着室であれこれしているかと思うと、想像しているだけで楽しかった。


 すると、先ほどのメンズフォーマルの担当者が別の方と共に僕のところに来た。


 僕たちの実際の結婚式と披露宴で、そのブランドのドレスを来ている写真を撮らせてほしいという打診だった。その後のホームページや宣伝にも使いたいという話だった。

 また、ドレスショップ繋がりのアパレルグループからも、僕の身長と体型のモデルの打診もあった。


 身長が伸びた時期は、痛くて痛くて毎日眠れないほどで本当に辛かった。父親もそうだったと言う。それが、こんなことになるなんて。


 写真集の件も保留にしていたが、あれもこれも全てやってしまおうと気持ちが決まった。かおりも僕の写真を喜んでくれたし、ピアノ以外の仕事も、機会があるならやってみようと決意した。収入につながる話は有難い。


 着々と進んでいくかおりとの生活に、わくわくした。















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ