第20話 2日目 付属文字
月・水・金に更新すると言ったのに、日付を間違えて投稿してしまいました、すみません。
というわけで、今週4回目の更新です!
楽しんで読んでいただけたら幸いです。
「おはようございます、バマハ先生、シュヌさん。今日もよろしくお願いします。」
寝ぼけ眼で顔だけ出したシュヌさんは、挨拶だけするとまた二度寝をしに行った。――昨日私がシュヌさんに挨拶出来なかったと気にしていた事をバマハさんはシュヌさんに伝えてくれたらしい。――本当に二人とも優しい。5才児にそんなに気を使わなくてもいいのに。……でもその対応が嬉しい。見た目はチビだけど、中身は26才の成年の私は、一人前に扱ってもらえることが地味に心に染みた。
「今日は付属文字を教えるね。……その前に昨日のテストをしようか。」
シュヌさんを見送ると、さっそくテスト宣言来た!予想はしていたから、予習はバッチリだ。
真っ白な紙を1枚だけ取り出し、昨日覚えた11文字の基本文字を書く。書きながら発音も同時にする。
「*……これは“あ”」
「**……これは“か”」
書くのと、読むのを11回繰り返す。
「うん、さすがバッチリだね、合格だよナコちゃん。」
「うふふん。ありがとうございます。」
さくっと合格をもぎ取った。バマハさんも笑顔で褒めてくれる。
「じゃあ次は、付属文字ね。これは5つあるよ。」
5つ?――その数字に私はちょっとした予感を覚えた。――5つならすぐ覚えられそうだ。
「まずは“*”……読み方は“あ”」
初めて教えるような顔をしてシュヌさんは話をしているが、これは基本文字の1文字目と全く同じだ。――私の予感はどうやら当たっているかもしれない。――デジャブのようだ。1日目の1文字目と全く同じ内容を繰り返す。
「じゃあナコちゃん、今度は自分で書いてみて。」
「はぁい。」
デジャブだが、1日目と同じように“*”と書きながら「あ……あ……」と発音を繰り返す。
「うん、いいだろう、では付属文字2個目だ。」
次は“‡”……読み方は“い”
次は……
基本文字11文字に対して、付属文字は5つ。半分の時間で書き終えた。
先程の私の予感は、たぶん当たりだ。……でもなぜ?異世界のはずなのに……なぜこんなに日本語に親和性があるものか?……謎は深まるばかりだった。そしてそれを聞ける相手もこの異世界にはいない。
(どーでもいいけど、異世界に来たのが日本人じゃなくて、アメリカ人とかイタリア人だったら、この文字難しいかもねww)
来たのが日本人の私でよかった……と頭をふっとよぎった。
*****
「次は言葉の作り方だ。まずは自分の名前を書いてみよう。」
シュヌさんはそう言うと、別の新しい紙に「ナコ」と異世界文字を書いた。
「∩*……∫∮……これでナコ。」
基本文字+付属文字で、1文字を構成する。……うん、日本語で言うローマ字の構成だね。
「でも例外もあって、青……この洋服の色なんかは、*……∮……、付属文字だけで表記する。」
うん、それもローマ字と同じだね。*、‡、∩、∋、∮、付属文字5個の発音をする時は、付属文字単体で扱う。
「“あ”だけは基本文字でもあり、付属文字でもある、ということですね。バマハ先生。」
「そういうことだ、さすがナコちゃん、理解が早いね。」
……まぁ大昔に習った内容ですから、とは言えない。……なんだか神童フラグが立ってしまったような気がするが、あえて気にするまい。“二十歳過ぎればただの人”である。
「######……バマハ。」
「#####……シュヌ。」
バマハさんは身近な人や物の名前を文字で書いていく。
「#####……チコ。」
「#####……ノンノ。」
「#####……キクリ。」
私も家族の名前を書いていく。
「……家族の名前かな?さすがナコちゃん、言葉はもう完璧だね。」
「ありがとうございます!バマハ先生のおかげです。」
「さて、ナコちゃん。文字の基本はもう終えてしまったけれど……文字を覚えたかったのは、確か手紙を書きたかったということで良かったかな?明日は手紙の書き方を教えようと思うがどうかな?」
「はい、そうです。よろしくお願いします。」
いやっふぅ!ようやくお手紙を書ける。青い石をくれたカリン様へも書きたいし、紙を譲ってくれたお店のおじさんにも書きたい。バマハさんへも授業のお礼を書こう!
わくわくしながら、2日目の授業は終了となった。
*****
授業を終え、バマハさんとシュヌさんと分かれて帰路に着く。家に帰ってしばらくしても、今日は父さんが私の様子を見に帰ってくることはなかった。当初の予定通り、一人で文字の復習をする。
まずは復習がてら、異世界文字で、ローマ字50音表を書いてみる。縦にA、I、U、E、Oと付属文字を書く。次に横にAを除いたK、S、T、N……と基本文字を書く。――もちろんアルファベットではなく、異世界文字で*、‡、∩、∃、∮というように書いている――
「こうして文字表を作ると、ちょっと形が違うだけで、まるっきりローマ字だねぇ……。」
ますます不思議だ。
ローマ字に似ているということは、この文字を作った人は、日本人ということ??うーん……もしかして異世界に転生した人が私以外にもいるってこと??
謎は深まるばかりで、でも解決方法は無く、疑問が増えるばかりだった。
ただ、ローマ字と分かれば、手紙を書くのも簡単だ。バマハさんは明日、手紙の書き方を教えてくれると言ったけれど、私的な手紙を書くくらいなら問題ないだろうか。
(よし、お礼の手紙を書こう!)
持っている紙の中で状態が良さそうなものを選び、手紙を書き始める。
『バマハ さんへ』
宛先だけ書いて、既に止まってしまった。……敬称は『さん』それとも『様』『先生』のが良いかな?
……既に書いてしまった、まぁいっか。明日添削してもらおう。
『バマハ さんへ
文字の先生を引き受けてくださって ありがとうございます
この村には 文字を教えてくれる方がいらっしゃらなかったので バマハ先生に会えて とても嬉しいです
短い間ですが もっともっと 沢山のことを学びたいです
どうぞ よろしくお願いします』
(句点『。』とか読点『、』が無いと読みづらいね……)
でもローマ字には句点も読点も無い。アルファベットのような記号が並んでいるだけだと、なかなか読みづらい。
前世の日本では、名前や駅名くらいしかローマ字を使う機会は無かった。でもいざ文章を書いてみると、なんて読みづらい文字なんだと気付く。ローマ字は2つの記号でようやく1文字の音を成す。
それに引き換え、漢字や平仮名は文字の節約が出来るし、音だけでなく意味も合わせて伝えられる。
AMEというローマ字に対して、雨なのか飴なのかによって意味は大きく異なる。
(日本語優秀!)
いくらかの不便さは感じたが、バマハさんへの手紙を書き終えると手紙を四つ折りにして仕舞った。
評価・ブクマありがとうございます。
更新する度にptやブクマが増えていてめっちゃ嬉しいです!
そして誤字すみません・・・。気をつけます。




