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第二話 もう一度だけでいいから微笑んでほしかった プロローグ 〜 虚しく呟く男 〜
第二話開始です。
「あと少し、あと少しで……。レイコ、君にはやく逢いたい。待っていてくれ、もう間もなくなんだ……君にまた逢うことができると思うと嬉しくて仕方がないよ。あぁこれ以上、私を独りにしないでくれ……」
朧月が霞む空の下、いくつもの蝋燭の火がユラユラと燃える妖しげな部屋があった。中央には祭壇のような台座があり、そこには宙を仰ぎながら虚しく呟く男が立っていた。
ジャラジャラ、ジャラジャラ。
その部屋の隅には、鎖で手を繋がれた女が一人。
呟く男は宙を仰いでいた目をその女に向け一瞥し、祭壇の端に置いてあった血みどろの斧を手にした。
そして、ユラユラとその女の所へ歩み出すのだった。
「さぁ、君も私のレイコのために、喜んでその身を捧げてくれるね? クックック……いいんだよ、わかっている。涙を流して、そんなに嬉しいのかい? ありがとう、きっとレイコも喜んでくれるよ」
「い、いや……こっちにこないで! いやぁぁぁぁっ‼︎」
ブシャっと飛び散った鮮血は、蝋燭の灯火をかき消し、部屋は外と同じく暗闇に包まれるのであった。




