第六話 ジ・アウターズゲート 〜 門番vsフュージョナー 〜
二体はマキに向かって構えた。牛頭の馬鹿力を精密に操縦者するのはやはり馬頭のようで、この流れからすると馬頭の介入によって真価を発揮するのだろう。
まずは牛頭が飛び出し、相変わらずのハイパワーで斧を振り下ろした。マキはそれをこれまで通りにかわす。
「シッ!」
回避した直後、今度は馬頭の槍による鋭い突きが飛んでくる。すんでのところで、態勢を崩しながらもこれも回避。
「ブルァ!」
またその回避の直後に、今度は牛頭の斧が降り注ぐ。
「うっ、《瞬迅》ッ‼︎」
マキは辛くも門番達による息の合った連撃から抜け出した。
今のはかなり危なかった。もし魔Rockブーストがなかったら、今頃真っ二つだっかもしれない。やはりこの二体相手では魔Rockブーストがあるといえど、戦況はかなり厳しい。
「しょうがねぇ、こっちも本気出さねぇと勝てそうにねぇな。キリカ、エレン! 魔Rockを中断してくれ。フュージョンで一気に蹴散らす‼︎」
ディサイア・シスターズは「はいよー!」と返事をして演奏を中断した。
「マキ、目にもの見せてやれ!」
「マキさん、無理はしないでくださいね。今回の目的はあくまでゲートの封印ですから」
姉妹はそれぞれそう言い残し、その場を離れて行った。
「オヤオヤ、なにかハジマルみたいデスネ。ゴズ、ナニがオキルカワカリマセン。しっかりとキをヒキシメテおいてクダサイ」
「ワカッテイル。ドンナコトがアッテモ、ナンピトたりともココハトオサン!」
門番達は警戒網を厳重に張りながら身構えた。
「そうかい、門番さん達もやる気満々ってな。だったら、お構いなく行くぜ!」
マキは不適な笑みを浮かべニヤつき、狂気を纏った大きな笑い声と咆哮を上げた。するとマキの身体から赤黒い光りが放たれ、苦しそうにその場に倒れこんだ。身体中のあちこちが不自然に盛り上がったりと凸凹とした。やがて立ち上がり強烈な光りを発したかと思うと、そこには黒い悪魔が立っていた。
「オオっ、コレはマサカ……」
「ムッ……」
門番達はそのマキのフュージョンを目の当たりにして、何か心当たりがあるのか驚きを隠せずにいた。なぜ驚いていたのかは、マキ達の知るところではないが。
「グッハッハ!行っくぜぇ‼︎」
黒い悪魔は早速、一歩の跳躍で瞬時に超接近状態に持ち込んだ。
ドゴンっ!
詰め寄ると同時に繰り出されたその右拳は、馬頭の顔面を正確に捉えブチ抜いた。馬頭は吹っ飛び、やがて背中から地面に着地するがその殴られた勢いはまだ死なず、背中を引きずりながらもなお吹き飛び続けやがて停止した。
「メズっ! オマエ……ユルサン‼︎」
牛頭は自前の巨大な斧を振り上げ、黒い悪魔目掛けて一気に振り下ろした。
しかし、断ち切ったのは空であり、斧の刃は地面を割っただけであった。
「オラオラっ! そんな欠伸の出る遅さじゃ当たんねぇぜ‼︎」
黒い悪魔の勢いはとどまることを知らず、牛頭の横っ腹を蹴り飛ばした。蹴り飛ばされた牛頭は、馬頭の吹き飛んだ位置まで吹っ飛ぶことになるのだった。
「ガァ、スサマじいハカイリョクですね……」
「ナンテパワーだ。サキホドまでとはクラベモノにナラン」
門番達は黒い悪魔のその恐るべきパワーに戦慄した。
「シカシ、ワレワレも『地獄の門番』のイミョウをモツミ……マケテはイラレマセン!」
門番達は立ち上がり再び構え直した。先ほどマキを追い詰めた、息の合ったコンビネーション攻撃を繰り出すようだ。
「グハハハ! そうこなくっちゃな!」
黒い悪魔は飛び出した。すると馬頭は黒い悪魔が攻撃してくるであろうタイミングに合わせて、持ち前の大きな槍を突いた。
「おぉっと!」
黒い悪魔は空中で身体を翻して回避し、門番達の前に着地した。
「ブルァ‼︎」
その着地を狙って牛頭は斧を振り下ろした。しかし、振り下ろした先に黒い悪魔はすでにいなかった。
「ソコデス‼︎」
牛頭の攻撃を回避した黒い悪魔に閃光のような突きが繰り出された。しかし、それも空を突いただけに過ぎなかった。
「当たらねぇな! 今度はこっちの番だ‼︎」
馬頭の突きを跳躍でかわした黒い悪魔は、空中で手を組んで馬頭の頭に叩きつけた。
ドゴン!
馬頭はその一撃で顔面から地面にめり込んだ。
「ウシ頭! 次はテメェの番だ‼︎」
「クソォ‼︎」
牛頭は巨大な斧を振り回して乱舞した。重く激しい連撃が黒い悪魔を襲う。
黒い悪魔はその連撃を嫌い、一度離れ距離を取った。そして再び、今度は牛頭目掛けて一歩の跳躍で瞬時に殴りかかった。
バキンっ!
牛頭は巨大な斧でその打撃を受けた。しかし、あまりの威力に後方に吹き飛んだ。
「オラオラっ! こっからが本番だってな‼︎」
黒い悪魔は吹き飛ぶ牛頭の後方に瞬時に回り込み、飛んできた牛頭の背中を蹴り飛ばした。牛頭は前方に吹き飛び元の位置まで来ると、待ち構えていた黒い悪魔に今度は蹴り上げられるのだった。高い天井に向かって突き進む牛頭に待ち受けるは、黒い悪魔の地面に向かっての正拳であった。
直撃を受けた牛頭は一直線に地面に向かい、馬頭の上に墜落した。
「グッハッハっ! チリ一つ残さず消しとばしてやる‼︎」
黒い悪魔が両腕を広げると、その両の手に禍々しい赤黒い光りが集まりはじめた。そしてその光りは次第に大きくなっていく。
「消えろやこのボケが! 《アガレス砲》ッ‼︎」
両腕を身体の真ん中で合致させると二つの光りは一つになり、手の先から巨大な砲撃が発射された。
微動だに出来ない門番達はそのまま《アガレス砲》に飲み込まれ、その砲撃のあとに何も残るものはなかった。




