第五話 レッツ・マキ車‼︎ (後編) 〜テングとの決着 〜
「なぁ、エレン。なんかマキのヤツ、様子がおかしくないか?」
キリカはギターをかき鳴らしながら聞いた。
「うん、なんか変かも。マキさんが変身したのにはビックリしたけど、またその時とは違う雰囲気がする。なんだろう……なんか恐い」
ドラムを叩きながら不安な表情だった。
たしかにエレンのいう通りかもしれない。マキから発せられる得体の知れない『力』に、なぜか恐怖を感じる。このままで大丈夫なのだろうか。
そのマキ……いや、アガレスはというと、テングが放出した電撃をこれまで以上の凄まじい速さで回避し、すでに何発かぶん殴っていた。いきなりの変わりばえにテングは驚きを隠せず、声を漏らした。
「ぐはっ。な、なんですか、その『力』は! いったいどうなっているというのですか⁉︎」
アガレスの激しい猛攻に、テングはもうフラフラの瀕死であった。
驚くのも無理はない、なにせこちらもびっくりしているくらいだからだ。魔Rockでパワーアップはわかっているが、猛威を奮っているのは他のファクターによる影響な気がしてならない。ただその正体はわからないが。
「グハハハ! モットダ、モット血ヲナガセェェェ‼︎」
一度飛び上がり、上空で円を描くように旋回してもの凄い速さで降下すると、低空を高速飛行しながらテングに向かった。そして右腕を思いっきり振りかぶった。
「おいっマキ、やり過ぎだろっ! もうやめろってぇ‼︎」
「マキさんダメェェェ‼︎」
キリカとエレンは魔Rockを中断して叫んだ。しかしその叫びは虚しく響いただけで、進撃は止まらずに振りかぶった右拳は放たれようとしていた。
「オォォォォ! コレデクタバレェェェッ‼︎」
「うっマズいっ‼︎」
テングは反射的に身構えた。
※※※
…………あたりに沈黙が流れた。
「マキのヤツ、動きが止まった……ぞ?」
テングの顔面の直前で、アガレスもアガレスの右拳もピタリと止まり静止していた。いったい何があったのだろうか。
「……ふぅ。あやうくぶっ殺しちまうとこだったぜ。テングさんよ、降参でいいよな?」
アガレスが元のアガレスに戻ったようだ。姿はそのままだが、さっきまでの荒々しさや発せられる得体の知れない『力』は感じられなくなっていた。
ボロボロの身体で瀕死のテングはアガレスの問いに苦々しく答えた。
「……えぇ、そうですね。私の完敗です。はぁ、負けるなんてまったくいつぶりでしょうか。記憶にないくらいですね」
テングは溜め息をつくと元の燕尾服姿に戻り、その場にゴロンと横になりながら言った。




